24 / 378
【猛猫リンネの物語】2024.4.15〜
第23話:塩ビパイプを使ってみた
しおりを挟む「ウゥゥ~! シャーッ! (また変な物持ってきたわね!)」
「リンネが噛むからサランラップの芯が破れちゃったし、メイクマンで良さそうなのを見つけたから買ってきたんだよ」
ケージ固定の食器にドライフードを注ぎ入れる道具を変えてみた。
DIYコーナーに売っている塩ビパイプと、接続パーツ。
接続パーツの口径の大きい側が、前から持っている漏斗にちょうどいいサイズ。
塩ビパイプはケージの格子の間を余裕で通る。
サランラップの芯より丈夫な給餌器具を早速試してみると、長さ1mのパイプがケージの真上から底まで届くし、屈まなくても立ったままザラザラーッと素早く注ぎ込めた。
いいなこれ。お値段もパイプと接続パーツ合わせて500円未満だし。
「保健所の職員さんが狂暴な犬の給餌に似たような物を使っていたよ」
リニューアルした猛猫用給餌道具の話をしたら、近所の人がそんなことを言う。
保健所の犬たちはケージに食器が固定されていて、餌はパイプと漏斗をくっつけたような道具を使って注ぎ入れる。
そうか、なんかどっかで見たような気がすると思ったら、保健所の給餌道具に似てたのか。
「シャーッ! (何よこれ!)」
「はいはい、ゴハンが出るよ~」
食器にいつもと違う筒が差し入れられて、困惑気味に怒るリンネ。
ドライフードが出てきたのを見て、ようやく少し落ち着いた。
「そうだ、マイクルたちにもカリカリを置いておこう」
「ウアーオ! カッ! (うちの子に変な物近付けんな!)」
仔猫用ドライフードも買ってきたので、試しに置いてみた。
あっちもこっちも仔猫だらけの石垣島、お店にあったピュリナワン仔猫用は1袋だけ。
どうにか手に入れたそれを、マイクルたちがいる近くに注ぎ入れてみた。
お皿に入れて置くのは猛猫パンチでひっくり返されるだろうから、ケージの底トレーの角に少量そのまま置いた。
「キュー、キュー (なにか入ってきたでち)」
「キューゥ、キューゥ (粒々が出てきたでち)」
「キュ~ッ (味見してみるでち)」
仔猫5匹のうち3匹がモソモソと近付いてくる。
黒猫サンテとサビ猫ジョワが特に積極的。
煮干しを齧った経験あるマイクルは、仔猫用ドライフードに近付くと、迷わず口に入れた。
カリ、カリ、と小さな音が聞こえてくる。
「マイクル、なかなかチャレンジャーだな」
匂いに慣れさせるつもりで置いたのに、初見で食べるとは。
離乳食スッ飛ばしてドライフードをそのまま食べたマイクルは、逞しい食いしん坊かもしれない。
マイクルに驚いていたら、サンテとジョワまで食べ始めた。
この兄弟、みんな野生の食いしん坊か?
33
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
島猫たちのエピソード2025
BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。
石垣島は野良猫がとても多い島。
2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。
「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。
でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。
もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。
本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。
スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。
【画像あり】八重山諸島の犬猫の話
BIRD
エッセイ・ノンフィクション
八重山の島々の動物たちの話。
主に石垣島での出来事を書いています。
各話読み切りです。
2020年に、人生初のミルクボランティアをしました。
扉画像は、筆者が育て上げた乳飲み子です。
石垣島には、年間100頭前後の猫が棄てられ続ける緑地公園がある。
八重山保健所には、首輪がついているのに飼い主が名乗り出ない犬たちが収容される。
筆者が関わった保護猫や地域猫、保健所の犬猫のエピソードを綴ります。
※第7回ほっこり・じんわり大賞にエントリーしました。
くろいやつのくろいつらつらですわ~
黒幸
エッセイ・ノンフィクション
くろいゆきという謎生物がつらつらとしたものを書き連ねていくだけですですわ~。
日記は三日坊主になるので不定期更新になると思われたら、毎日、更新してますわね。
不思議ですわ~。
6/4現在、何を思い立ったのか、急にお嬢様言葉で書き綴ることになりましてよ。
6/8現在、一話からお嬢様言葉に変換中ですわ~!
そして、短編から長編に変えておきました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる