【猫画像あり】島猫たちのエピソード

BIRD

文字の大きさ
上 下
20 / 378
【猛猫リンネの物語】2024.4.15〜

第19話:皮手袋の防御力

しおりを挟む
 


 最近、リンネの圧が凄い。
 パンチはますます激しくなってきた。
 近所の人からもらった皮手袋は、毎回装備している。

「ウアーウゥゥゥ (早くカリカリを出せ)」
「そんな睨みながらゴハン待たなくても……」

 僕が保護部屋に入ると、ケージの奥から歩み出てくるようになったリンネ。
 空の食器の真ん前に立ち、こちらを睨んでいる。
 作業のためにケージに触れようとすると、パンチを飛ばす。

 食器の前に立つってことは、食べ物がもらえると分かってるよね?
 だったら、睨まなくてもよくない?
 攻撃する必要ないよね?
 もっと媚びてくれてもいいんだよ?

 しかし、猛猫の選択肢に「可愛く鳴いてみる」は無いようだ。

「ウアーオ! カッ! (とっとと出しやがれ!)」
「はいはい、恐喝やめてね」

 サランラップの芯をケージの格子の間から差し込むと、威嚇した後にガブリと噛む。
 噛まなくてもカリカリが出てくるのは知ってるよね?
 前は攻撃しなかった「食べ物が出てくる筒」にもパンチしたり噛みついたり。
 そんなことしなくても、毎回あげるのに。
 カツアゲするチンピラの方がまだマシかもしれない。

 リンネの御世話で一番の難関はトイレ掃除。
 ケージの扉を開けて、トイレ容器を取り出す時が一番危険だ。

「トイレ掃除するから、そこどいて」
「シャーッ! (なんだと!)」
「ちょっと失礼するよ」
「ウアーオゥッ! カッ! (入ってくんな!)」

 ケージの中に手を入れると、リンネがブチ切れる。
 トイレのプラ容器も毎回殴られている。
 取り出したトイレ容器から排泄物を取り除いて、減った猫砂を補充して、ケージに戻すのも一苦労。

「はい、掃除終わり。トイレ戻すからどいて」
「ウアーオゥゥゥ! (もう許さん!)」

 今日のリンネは特に機嫌が悪い。
 秒間3発の高速パンチを放ったぞ。
 猫ってこんなに速くパンチを出せるのか。
 技名をつけたくなるくらいに見事な高速3連撃だ。
 3発目を放った直後、低ジャンプからの噛みつき攻撃がきた!
 皮手袋をガブリと噛んだリンネは、そのまま足を踏ん張りながら後退して引っ張る。
 なんだか猫というより犬みたいな噛みつき方だな。
 手袋を脱がされないかと少し焦ったりもした。

「ウ~ウゥゥゥ~! (こんなもん引き裂いてやる!)」
「こらこら、防具破壊はやめてね」

 グイグイ引っ張られるのをどうにか振りほどいて、ケージの扉を閉めた。
 ケージの中で、リンネは唸りまくっている。

 パンチはともかく、鋭い牙による噛みつき攻撃を受けても無傷で済んだのは運がいいかも。
 噛まれたのは人差し指の辺りだけど、皮手袋が防いだので痛みも無い。
 確認してみると、皮手袋そのものも破損は無い。
 皮手袋が、百均商品とは思えないほど大活躍した日だった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

B型の、B型による、B型に困っている人の為の説明書

メカ
エッセイ・ノンフィクション
「あいつB型っしょ、まじ分からん。」 「やっぱ!?B型でしょ?だと思った。」 「あぁ~、B型ね。」 いやいや、ちょっと待ってくださいよ。 何でもB型で片付けるなよ!? だが、あえて言おう!B型であると!!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】初めてアルファポリスのHOTランキング1位になって起きた事

天田れおぽん
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスのHOTランキング一位になった記念のエッセイです。 なかなか経験できないことだろうし、初めてのことなので新鮮な気持ちを書き残しておこうと思って投稿します。 「イケオジ辺境伯に嫁げた私の素敵な婚約破棄」がHOTランキング一位になった2022/12/16の前日からの気持ちをつらつらと書き残してみます。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

【カク〇ム】での『公開停止』ってどうだろう?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
【カクヨム種別日間・週間1位・月間3位】全ての作者様へ。公開停止について細かく検証する カク〇ムでの公開停止処分について細かく検証する作品を作りたいと思います。 あくまで、細かく検証する事が目的であり、それにより、誰かを貶める目的はありません。 最後にじんわりするかと・・・。

「カクヨム」「エブリスタ」「小説家になろう」「アルファポリス」「ハーメルン」の比較と考察(サイト比較エッセイシリーズ③連載)

源公子
エッセイ・ノンフィクション
カクヨム・エブリスタ・小説家になろう・アルファポリス・ハーメルン。五つのサイトに全ての(一部載せられなかった作品あり)作品を掲載して比較した。各サイトは、私のホームズさんをどう評価したのか?そして各サイトの光と闇。これから新しいサイトを開拓したい方向け。

島猫たちのエピソード2025

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。 石垣島は野良猫がとても多い島。 2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。 「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。 でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。 もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。 本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。 スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。

処理中です...