上 下
52 / 378
島猫たちのエピソード2023

カラスに襲われた仔猫の相談案件②

しおりを挟む
 


 6月21日に書いた「カラスに襲われた仔猫の相談案件」の続報。
 カラスに襲われているところを保護された仔猫4匹。
 現在は保健所に収容され、ミルクボランティアが育てています。
 翌日になり、付近に住む別の方からの情報で、仔猫は5匹いると分かりました。
 カラスに襲われていた4匹の他に、母猫と一緒に1匹いる筈との事です。


 餌やりがいるそうなので、情報をくれた人と協力してTNRしようという事に。
 母猫と一緒にいる1匹はそのまま母猫と生活してもらい、いずれ避妊去勢手術するのが無難なところ。

 仔猫がカラスに襲われる騒ぎは、野良猫の多い石垣島ではよくある出来事。
 これは、仔猫を保護しただけでは真の解決ではありません。
 母猫を避妊手術しなければ、次の子が生まれてカラスに襲われる事になります。


 ラリマーはTNRを呼びかけ、お手伝いをしています。
 石垣市は、野良猫の避妊去勢手術にも助成金を出しています。

 カラスに襲われている仔猫を見つけたら、その子を保護するだけでなく、母猫のTNRを考えてほしい。
 多くの人は自分で飼えないから保健所や保護団体に「保護してほしい」と言いますが。
 仔猫を奪われる母猫の事は、あまり考えられていないようです。

 我が子を連れ去られた母猫は鳴いて必死で探し回ります。
 授乳中なら乳が張って苦しい思いもします。
 仔猫の事だけじゃなく、母猫の事も考えてほしい。
 母猫にとっては、仔猫がいなくなるのだからカラスに食べられるのと大して変わりません。

 そして…
 育児を強制終了された母猫は、次の妊娠・出産に向かう
 …という事まで分ってる人は少ない。


 4年前、筆者の職場の敷地内でカラスに襲われている仔猫たちがいました。
 見かねた猫好きスタッフが仔猫を保護して自宅に連れ帰ったのですが。
 その後すぐ、敷地内を鳴きながらウロウロする母猫が出現。
 母子は別のスタッフが餌をあげている野良猫でした。

「ずっと鳴いてる。乳が張っていて可哀想」
 母猫を見ているスタッフは心配して言いましたが。
「カラスに襲われるから外には戻したくない」
 仔猫を保護したスタッフは戻す事を拒否。
 その後、仔猫3匹のうち1匹は保護したスタッフの飼い猫に、2匹は里親希望者に引き取られました。

 餌やりスタッフによれば、その母猫はこれまでに何度も仔猫をカラスに襲われて亡くしているという。
 産んで、カラスに食べられて、また産んで、そんな事を3~4ヶ月周期で繰り返していた母猫。
「TNRをしよう」
 筆者の呼びかけに30名以上が賛同、餌やりスタッフが捕獲協力。
 母猫の避妊手術が出来たのは2020年1月31日の事でした。


 TNR後の母猫は、妊娠や出産・カラスの襲撃から解放され、ふっくら毛ヅヤの良い美猫に変身。
 スタッフやお客さんにキャットフードやちゅーるを貰い、台風時には建物の中に入れてもらえる。
 地域猫の中ではかなり優遇された生活を送っています。




 今回の相談案件も、仔猫が保護されて終わりではない。
 これからが本番です。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

島猫たちのエピソード2025

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。 石垣島は野良猫がとても多い島。 2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。 「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。 でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。 もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。 本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。 スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。

独身男の一人旅 松山へ行ってみた

司条西
エッセイ・ノンフィクション
愛媛県松山市へ3泊4日で行った旅行記です。押絵に旅行写真を載せています。

【画像あり】八重山諸島の犬猫の話

BIRD
エッセイ・ノンフィクション
八重山の島々の動物たちの話。 主に石垣島での出来事を書いています。 各話読み切りです。 2020年に、人生初のミルクボランティアをしました。 扉画像は、筆者が育て上げた乳飲み子です。 石垣島には、年間100頭前後の猫が棄てられ続ける緑地公園がある。 八重山保健所には、首輪がついているのに飼い主が名乗り出ない犬たちが収容される。 筆者が関わった保護猫や地域猫、保健所の犬猫のエピソードを綴ります。 ※第7回ほっこり・じんわり大賞にエントリーしました。

くろいやつのくろいつらつらですわ~

黒幸
エッセイ・ノンフィクション
くろいゆきという謎生物がつらつらとしたものを書き連ねていくだけですですわ~。 日記は三日坊主になるので不定期更新になると思われたら、毎日、更新してますわね。 不思議ですわ~。 6/4現在、何を思い立ったのか、急にお嬢様言葉で書き綴ることになりましてよ。 6/8現在、一話からお嬢様言葉に変換中ですわ~! そして、短編から長編に変えておきました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

趣味で占いの勉強始めました

珊瑚やよい(にん)
エッセイ・ノンフィクション
 最近ゲッターズ飯田さんの五星三心占いにハマり始め、そこから火が付き五星三心占いの元になっている四柱推命、西洋占星術、宿曜占星術、算命学、あと昔あった動物占いや六占星術などを読み漁っています。そのうち九星気学も見てみようと思う。  楽しくてしょうがないのよ。止まらないのよ。人の生年月日がやたら気になる術式発動中なのよ(笑)  まだまだ勉強し始めなので(占い歴2ヶ月くらい)個人鑑定とかはやってないよ。でもそのうち出来るようになれば楽しいよね!!  このエッセイは、私の周りの人のこの星持ってる人はこんな感じ!!を書きたい時に好きなだけ書く場所です。書きたいのよ(笑)  

処理中です...