79 / 104
第8章:アルビレオの日常
第71話:艦内プール
しおりを挟む
子供たちから「艦内プールを作ってほしい」とリクエストされた。
ソロルでみんな泳ぎを覚えたから、次に水惑星へ行った時に、感覚を忘れないようにしたいらしい。
特にプール推しなのはカールだ。
イルカは本能で泳げるから、練習はいらないんじゃないかな?
って聞いてみたら、泳ぎじゃなくてジャンプを極めて、みんなに見せたいらしい。
アイオはプール作りを快諾したよ。
既に大浴場を作っているから、プールはその応用で作れるみたいだ。
とりあえず、子供たちが泳ぐ水深80cmプールと、カールのジャンプ用の水深6mプールが作られた。
おまけに飼育水槽も作って、ソロル星で捕まえた魚たちの飼育まで始まった。
そのエリアだけ見ると、宇宙船の中というより水族館に思えてくるよ。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
「ねえねえ、おとうさん、また水惑星に行ったらお魚捕まえて飼いたいな」
「いいけど、その星の人たちから許可をもらってから捕まえるんだよ」
水槽内を泳ぐ様々な色の魚たちを眺めて、カールがおねだりする。
最初は母星の父王を想って「トオヤ」と名前で呼んでいたカールも、今では他の子供たちと同じくトオヤを「おとうさん」と呼んでいた。
「水槽が作れるって分ってたらアクウァの魚たちも連れて来たのになぁ」
残念がるカールの故郷にも、様々な色や形の魚たちがいる。
ソロルの魚たちを眺めて、カールはふと遠い故郷を想った。
「カール! これ見て!」
「お母さんが新しいフロートを作ってくれたよ!」
「プールに浮かべてみるから一緒に遊ぼう!」
そこへ、他の子供たちが賑やかに駆け寄って来る。
チアルムが嬉しそうに抱えているのは、アルビレオ号のミニチュアみたいな白鳥のフロートだ。
「うん! 行こう!」
カールも元気よく駈け出して、他の子たちと仲良くプールに向かう。
プールエリアの気温と水温は、水遊びにちょうどいい温度に保たれている。
大浴場と同じで、プールにも循環ろ過機能が付いていて、水はいつも清潔で適温を維持していた。
「みんな元気だなぁ」
みんな揃って水遊びに夢中の子供たちを、プール監視員代わりのトオヤが眺めながら言う。
トオヤも子供の頃にプールに入った経験はあるが、彼が育ったコロニー【ベネトナシュ】のプールは軍隊の水中訓練用で、遊ぶというよりは泳ぎの練習に特化していた。
「アニムスは最初は水が苦手でしたが、今は楽しいみたいですね」
トオヤに飲み物を手渡しながら、アイオが微笑む。
保護される前、渓流に落ちて死にかけたアニムスは、当初は水に入る事を怖がっていた。
お風呂と同じでトオヤに抱かれていれば安心するので、プールを作って間もない頃はトオヤが抱いてプールに入っていた。
そんなアニムスも、しばらくすると慣れてきて、今ではみんなと遊べるほどになっている。
「ねえアイオ、大人用プールも作ってくれない?」
「あたしたち、水中エクササイズがしたいの」
子供たちと一緒に水遊びを楽しんでいたレシカたち女性陣が、アイオにリクエストする。
後に水深1.1mの大人用プールが作られ、主に女性乗組員の間で水中エクササイズが流行し始めた。
ソロルでみんな泳ぎを覚えたから、次に水惑星へ行った時に、感覚を忘れないようにしたいらしい。
特にプール推しなのはカールだ。
イルカは本能で泳げるから、練習はいらないんじゃないかな?
って聞いてみたら、泳ぎじゃなくてジャンプを極めて、みんなに見せたいらしい。
アイオはプール作りを快諾したよ。
既に大浴場を作っているから、プールはその応用で作れるみたいだ。
とりあえず、子供たちが泳ぐ水深80cmプールと、カールのジャンプ用の水深6mプールが作られた。
おまけに飼育水槽も作って、ソロル星で捕まえた魚たちの飼育まで始まった。
そのエリアだけ見ると、宇宙船の中というより水族館に思えてくるよ。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
「ねえねえ、おとうさん、また水惑星に行ったらお魚捕まえて飼いたいな」
「いいけど、その星の人たちから許可をもらってから捕まえるんだよ」
水槽内を泳ぐ様々な色の魚たちを眺めて、カールがおねだりする。
最初は母星の父王を想って「トオヤ」と名前で呼んでいたカールも、今では他の子供たちと同じくトオヤを「おとうさん」と呼んでいた。
「水槽が作れるって分ってたらアクウァの魚たちも連れて来たのになぁ」
残念がるカールの故郷にも、様々な色や形の魚たちがいる。
ソロルの魚たちを眺めて、カールはふと遠い故郷を想った。
「カール! これ見て!」
「お母さんが新しいフロートを作ってくれたよ!」
「プールに浮かべてみるから一緒に遊ぼう!」
そこへ、他の子供たちが賑やかに駆け寄って来る。
チアルムが嬉しそうに抱えているのは、アルビレオ号のミニチュアみたいな白鳥のフロートだ。
「うん! 行こう!」
カールも元気よく駈け出して、他の子たちと仲良くプールに向かう。
プールエリアの気温と水温は、水遊びにちょうどいい温度に保たれている。
大浴場と同じで、プールにも循環ろ過機能が付いていて、水はいつも清潔で適温を維持していた。
「みんな元気だなぁ」
みんな揃って水遊びに夢中の子供たちを、プール監視員代わりのトオヤが眺めながら言う。
トオヤも子供の頃にプールに入った経験はあるが、彼が育ったコロニー【ベネトナシュ】のプールは軍隊の水中訓練用で、遊ぶというよりは泳ぎの練習に特化していた。
「アニムスは最初は水が苦手でしたが、今は楽しいみたいですね」
トオヤに飲み物を手渡しながら、アイオが微笑む。
保護される前、渓流に落ちて死にかけたアニムスは、当初は水に入る事を怖がっていた。
お風呂と同じでトオヤに抱かれていれば安心するので、プールを作って間もない頃はトオヤが抱いてプールに入っていた。
そんなアニムスも、しばらくすると慣れてきて、今ではみんなと遊べるほどになっている。
「ねえアイオ、大人用プールも作ってくれない?」
「あたしたち、水中エクササイズがしたいの」
子供たちと一緒に水遊びを楽しんでいたレシカたち女性陣が、アイオにリクエストする。
後に水深1.1mの大人用プールが作られ、主に女性乗組員の間で水中エクササイズが流行し始めた。
1
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)
あおっち
SF
脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。
その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。
その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。
そして紛争の火種は地球へ。
その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。
近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。
第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。
ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。
第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。
ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
「メジャー・インフラトン」序章2/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節FIRE!FIRE!FIRE! No1. )
あおっち
SF
敵の帝国、AXISがいよいよ日本へ攻めて来たのだ。その島嶼攻撃、すなわち敵の第1次目標は対馬だった。
この序章2/7は主人公、椎葉きよしの少年時代の物語です。女子高校の修学旅行中にAXIS兵士に襲われる女子高生達。かろうじて逃げ出した少女が1人。そこで出会った少年、椎葉きよしと布村愛子、そして少女達との出会い。
パンダ隊長と少女達に名付けられたきよしの活躍はいかに!少女達の運命は!
ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。そして、初めての恋人ジェシカ。札幌、定山渓温泉に集まった対馬島嶼防衛戦で関係を持った家族との絆のストーリー。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
8分間のパピリオ
横田コネクタ
SF
人間の血管内に寄生する謎の有機構造体”ソレウス構造体”により、人類はその尊厳を脅かされていた。
蒲生里大学「ソレウス・キラー操縦研究会」のメンバーは、20マイクロメートルのマイクロマシーンを操りソレウス構造体を倒すことに青春を捧げるーー。
というSFです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる