54 / 99
第5章:獣の惑星
第46話:襲撃
しおりを挟む
山猫団は街で窃盗行為をしていたから、討伐隊が送り込まれても不思議ではない。
アジトの外で爆音が響いた時、僕はそう思っていた。
お金を稼ぐ方法を、教える大人がいなかったマヤたち。
体内からウイルスが消え、これから大人になれる子供たちには、色々な事を学ばせてあげたい。
街の人々からは嫌われているし、本人たちが望むならアルビレオに乗せて連れて行こうと思う。
その襲撃が無ければ、僕たちはそっと旅立つつもりだった。
彼らが子供たちを殺しに来なければ、僕たちは何も知らずにここを離れていただろう。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
ベガの弟子カールは優秀だった。
彼は山猫団のアジトになっている小屋を精神波で覆い、飛んできた手榴弾を投げた本人へと跳ね返す。
小屋を爆破しようとした者たちは、自らの爆弾によって壊滅した。
「にゃ?!」
「今の音、何?!」
ナオがまたシッポを膨らませ、マヤも普段聞かない爆音に慌てる。
ベッドで眠っていたニアも驚いて飛び起きるが、身体がふらついて倒れそうになり、近くにいたアイオに抱き留められた。
「大丈夫、ボクたちが護ります。だからもう少し眠りましょうね」
ニアを安心させるため、アイオは優しく抱き締めて穏やかな声で囁く。
その言葉と身体の温もりに身を委ねて、少女は再び意識を手放した。
「ちょっと様子を見てくる。みんなは小屋の防衛を頼む」
「「「了解!」」」
トオヤの指示に、アイオ、カール、チアルムが応える。
しゃべれないアニムスも頷く事で応えた。
トオヤが小屋の外に出てみると、小柄な獣人たちが複数人倒れているのが見えた。
小柄といっても子供ではないように感じる。
街では見かけた事が無い、ネズミに似た獣人たちだ。
微かな呻き声が聞こえてトオヤが振り向くと、仲間が反射された爆弾の巻き添えを食った獣人が倒れている。
爆弾を投げた者は全員死亡しているが、1人だけまだ息があった。
「山猫団に討伐令が出たのか?」
聞きながら、トオヤは精神感応でネズミ獣人の心を読み取る。
聞かれた相手は黙秘するが、それは無駄な抵抗。
この星の住民はみんなサイキック未発達で、容易に心を読み取る事が出来た。
『政府が討伐令なんか出すものか』
その思考から、山猫団を襲った理由は政府からの命令ではない事が分かる。
『まさか異星人が味方していたとは。悔しい、あと少しで猫耳族を根絶やしに出来たのに』
爆弾犯たちは山猫団の討伐ではなく、猫耳族を滅ぼすつもりらしい。
その計画は、もっと以前から進められていた。
アジトの外で爆音が響いた時、僕はそう思っていた。
お金を稼ぐ方法を、教える大人がいなかったマヤたち。
体内からウイルスが消え、これから大人になれる子供たちには、色々な事を学ばせてあげたい。
街の人々からは嫌われているし、本人たちが望むならアルビレオに乗せて連れて行こうと思う。
その襲撃が無ければ、僕たちはそっと旅立つつもりだった。
彼らが子供たちを殺しに来なければ、僕たちは何も知らずにここを離れていただろう。
宇宙船アルビレオ号
艦長トオヤ・ユージアライトの日記より
ベガの弟子カールは優秀だった。
彼は山猫団のアジトになっている小屋を精神波で覆い、飛んできた手榴弾を投げた本人へと跳ね返す。
小屋を爆破しようとした者たちは、自らの爆弾によって壊滅した。
「にゃ?!」
「今の音、何?!」
ナオがまたシッポを膨らませ、マヤも普段聞かない爆音に慌てる。
ベッドで眠っていたニアも驚いて飛び起きるが、身体がふらついて倒れそうになり、近くにいたアイオに抱き留められた。
「大丈夫、ボクたちが護ります。だからもう少し眠りましょうね」
ニアを安心させるため、アイオは優しく抱き締めて穏やかな声で囁く。
その言葉と身体の温もりに身を委ねて、少女は再び意識を手放した。
「ちょっと様子を見てくる。みんなは小屋の防衛を頼む」
「「「了解!」」」
トオヤの指示に、アイオ、カール、チアルムが応える。
しゃべれないアニムスも頷く事で応えた。
トオヤが小屋の外に出てみると、小柄な獣人たちが複数人倒れているのが見えた。
小柄といっても子供ではないように感じる。
街では見かけた事が無い、ネズミに似た獣人たちだ。
微かな呻き声が聞こえてトオヤが振り向くと、仲間が反射された爆弾の巻き添えを食った獣人が倒れている。
爆弾を投げた者は全員死亡しているが、1人だけまだ息があった。
「山猫団に討伐令が出たのか?」
聞きながら、トオヤは精神感応でネズミ獣人の心を読み取る。
聞かれた相手は黙秘するが、それは無駄な抵抗。
この星の住民はみんなサイキック未発達で、容易に心を読み取る事が出来た。
『政府が討伐令なんか出すものか』
その思考から、山猫団を襲った理由は政府からの命令ではない事が分かる。
『まさか異星人が味方していたとは。悔しい、あと少しで猫耳族を根絶やしに出来たのに』
爆弾犯たちは山猫団の討伐ではなく、猫耳族を滅ぼすつもりらしい。
その計画は、もっと以前から進められていた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
MASK 〜黒衣の薬売り〜
天瀬純
キャラ文芸
【薬売り“黒衣 漆黒”による現代ファンタジー】
黒い布マスクに黒いスーツ姿の彼“薬売り”が紹介する奇妙な薬たち…。
いくつもの短編を通して、薬売りとの交流を“あらゆる人物視点”で綴られる現代ファンタジー。
ぜひ、お立ち寄りください。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる