3 / 104
第1章:月の遺跡と宇宙船
第2話:月の地下遺跡
しおりを挟む
地球人類がコロニーに移住してから、幾つかの技術が飛躍的に発展した。
その1つが、酸素の無い過酷な気温の宇宙空間でも活動可能になる身体に調整する技術。
【最適化】と呼ばれるそれは、宇宙飛行士の資格を取る為に必須とされるもの。
これによってトオヤたち宇宙飛行士は、昔のように宇宙服を着る事なく宇宙や月面での活動が可能になっていた。
「戦闘班はセキュリティを潰してくれ。安全が確保されたら研究班が突入する」
体内に埋め込まれた脳波通信機に指示が届く。
探知を得意とする犬型アンドロイドのライカが、先頭を進みながらトラップを探す。
ライカの容姿は、核戦争以前から使役犬として使われてきたシェパードという犬種に似ている。
その後ろ、二番手を進むのは反射攻撃能力者のベガ。
彼は黒い肌に筋肉が盛り上がった頑丈そうな体格の持ち主で、任意の対象に防壁を張って敵からの攻撃をそのまま返して攻撃するという特殊能力を持っていた。
三番手はトオヤ。
彼は師匠から抜刀術と早撃ちの技術を伝授されていて、武器を構えていない状態から瞬時に攻撃する事を得意とする。
敵との距離に関係なく状況に応じて戦える事は、彼の強みとして研究所ではよく知られていた。
四・五番手を進むのが銃をメイン武器とするティオという男性と、レシカという女性。
どちらもまだ若く小柄で華奢、腕力は弱い代わりに遠くの小さな対象も撃ち抜く優れた命中率を誇る。
「飛行型、前方3体」
ライカが告げて、後方4人は身構えた。
敵を目視した瞬間、最初に1体を粉砕したのはトオヤの早撃ち攻撃。
2体目、3体目をティオとレシカが撃ち落とした。
「設置型、左右2体」
ライカが告げると、ベガが片手で何かを払うような動作をする。
透明な防壁が一同を包む。
そのまま進んで間もなく、左右の壁からレーザーが放たれる。
が、防壁に跳ね返されて発射装置を直撃、破壊した。
「歩兵型、前方1体。トオヤ協力求む」
「OK」
ライカとトオヤの連携。
前方に現れたのは、顔が無く、やや丸いフォルムの二足歩行マシン。
先にライカが瞬時に接近して足の片方を噛み砕き、歩兵がバランスを崩した瞬間にトオヤが斬撃を浴びせる。
人工知能が組み込まれていたと思われる頭部を大破して、歩兵マシンは沈黙した。
遺跡のセキュリティ攻略は、今回の戦闘メンバーにはそれほど難しくはなかった。
残りのセキュリティも破壊して、トオヤたちは遺跡の奥へ進む。
「こりゃ、かなり高度な文明だな」
「私の探索データにはまだ無い系統です」
ベガとライカが辺りを見回して言う。
遺跡の奥は広くなっていて、未知の文明が造り上げた設備が並んでいた。
研究班が来た時に危険が及ばないように、トオヤたちは念入りに設備を見回った。
(……これは……?)
トオヤがそれを見つけたのは、偶然。
セキュリティ破壊以外では遺跡に触れない戦闘班の彼が、それに手を出してしまったのは何かに導かれたのかもしれない。
未知の設備が並ぶ中、生命維持装置と思われる透明なカプセルの中に、1人の人間が目を閉じて横たわっている。
衣服を着ていないので性別はすぐ分った。
そこにいるのは、まだ少年に見える容姿の男性だ。
肌は白く、華奢で綺麗だと感じる身体。
銀の髪は太腿に届くほど長く、人形のように整った顔立ちは中性的なので、もしも衣服を着ていたら少女と間違えたかもしれない。
(生きてるのかな? それとも死んでる?)
つい、確かめてみたくなった。
それは研究班に任せるべきだと知りつつも、その時のトオヤはまるで吸い寄せられるように近付いてしまった。
『知的生命体の接近を感知』
カプセルに触れた直後、不意に知らない通信が入り、トオヤはビクッと手を引っ込める。
周囲を見回したけれど、他のメンバーは何も聞こえていないのか、異変を感じた様子も無く設備を観察していた。
危険があればライカが反応する筈。
そのライカは後発の研究班にセキュリティの破壊完了を報告している。
入口では研究班が遺跡に入り始めていた。
『ヒューマノイドタイプと認識、言語及び生存可能環境を同期』
謎の【声】は続く。
攻撃の意志は感じられないので、トオヤは慎重に周囲の様子を伺う。
『同期完了、端末【アイオ】起動』
何かを起動するという【声】にトオヤが身構えていると、目の前のカプセルの蓋が音も無く開いた。
「お、おいトオヤ、何やって……」
こちらに目を向けて異変に気付いたベガが言いかけて、言葉を失くす。
カプセルに横たわっていた少年がゆっくりと目を開ける。
開かれたその瞳は、宝石のように綺麗な青紫色。
少年は起き上がり、トオヤを見て嬉しそうに微笑んだ。
その1つが、酸素の無い過酷な気温の宇宙空間でも活動可能になる身体に調整する技術。
【最適化】と呼ばれるそれは、宇宙飛行士の資格を取る為に必須とされるもの。
これによってトオヤたち宇宙飛行士は、昔のように宇宙服を着る事なく宇宙や月面での活動が可能になっていた。
「戦闘班はセキュリティを潰してくれ。安全が確保されたら研究班が突入する」
体内に埋め込まれた脳波通信機に指示が届く。
探知を得意とする犬型アンドロイドのライカが、先頭を進みながらトラップを探す。
ライカの容姿は、核戦争以前から使役犬として使われてきたシェパードという犬種に似ている。
その後ろ、二番手を進むのは反射攻撃能力者のベガ。
彼は黒い肌に筋肉が盛り上がった頑丈そうな体格の持ち主で、任意の対象に防壁を張って敵からの攻撃をそのまま返して攻撃するという特殊能力を持っていた。
三番手はトオヤ。
彼は師匠から抜刀術と早撃ちの技術を伝授されていて、武器を構えていない状態から瞬時に攻撃する事を得意とする。
敵との距離に関係なく状況に応じて戦える事は、彼の強みとして研究所ではよく知られていた。
四・五番手を進むのが銃をメイン武器とするティオという男性と、レシカという女性。
どちらもまだ若く小柄で華奢、腕力は弱い代わりに遠くの小さな対象も撃ち抜く優れた命中率を誇る。
「飛行型、前方3体」
ライカが告げて、後方4人は身構えた。
敵を目視した瞬間、最初に1体を粉砕したのはトオヤの早撃ち攻撃。
2体目、3体目をティオとレシカが撃ち落とした。
「設置型、左右2体」
ライカが告げると、ベガが片手で何かを払うような動作をする。
透明な防壁が一同を包む。
そのまま進んで間もなく、左右の壁からレーザーが放たれる。
が、防壁に跳ね返されて発射装置を直撃、破壊した。
「歩兵型、前方1体。トオヤ協力求む」
「OK」
ライカとトオヤの連携。
前方に現れたのは、顔が無く、やや丸いフォルムの二足歩行マシン。
先にライカが瞬時に接近して足の片方を噛み砕き、歩兵がバランスを崩した瞬間にトオヤが斬撃を浴びせる。
人工知能が組み込まれていたと思われる頭部を大破して、歩兵マシンは沈黙した。
遺跡のセキュリティ攻略は、今回の戦闘メンバーにはそれほど難しくはなかった。
残りのセキュリティも破壊して、トオヤたちは遺跡の奥へ進む。
「こりゃ、かなり高度な文明だな」
「私の探索データにはまだ無い系統です」
ベガとライカが辺りを見回して言う。
遺跡の奥は広くなっていて、未知の文明が造り上げた設備が並んでいた。
研究班が来た時に危険が及ばないように、トオヤたちは念入りに設備を見回った。
(……これは……?)
トオヤがそれを見つけたのは、偶然。
セキュリティ破壊以外では遺跡に触れない戦闘班の彼が、それに手を出してしまったのは何かに導かれたのかもしれない。
未知の設備が並ぶ中、生命維持装置と思われる透明なカプセルの中に、1人の人間が目を閉じて横たわっている。
衣服を着ていないので性別はすぐ分った。
そこにいるのは、まだ少年に見える容姿の男性だ。
肌は白く、華奢で綺麗だと感じる身体。
銀の髪は太腿に届くほど長く、人形のように整った顔立ちは中性的なので、もしも衣服を着ていたら少女と間違えたかもしれない。
(生きてるのかな? それとも死んでる?)
つい、確かめてみたくなった。
それは研究班に任せるべきだと知りつつも、その時のトオヤはまるで吸い寄せられるように近付いてしまった。
『知的生命体の接近を感知』
カプセルに触れた直後、不意に知らない通信が入り、トオヤはビクッと手を引っ込める。
周囲を見回したけれど、他のメンバーは何も聞こえていないのか、異変を感じた様子も無く設備を観察していた。
危険があればライカが反応する筈。
そのライカは後発の研究班にセキュリティの破壊完了を報告している。
入口では研究班が遺跡に入り始めていた。
『ヒューマノイドタイプと認識、言語及び生存可能環境を同期』
謎の【声】は続く。
攻撃の意志は感じられないので、トオヤは慎重に周囲の様子を伺う。
『同期完了、端末【アイオ】起動』
何かを起動するという【声】にトオヤが身構えていると、目の前のカプセルの蓋が音も無く開いた。
「お、おいトオヤ、何やって……」
こちらに目を向けて異変に気付いたベガが言いかけて、言葉を失くす。
カプセルに横たわっていた少年がゆっくりと目を開ける。
開かれたその瞳は、宝石のように綺麗な青紫色。
少年は起き上がり、トオヤを見て嬉しそうに微笑んだ。
11
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
鉄の心臓、茨の涙
深渡 ケイ
ファンタジー
流した涙が「致死性の茨」となって周囲を突き刺す呪いを受けた少女・エリスと、彼女を守るために造られたが、茨に触れると腐食して死ぬ「鉄のゴーレム」ガルド。
二人は呪いを解くために「世界の最果て」を目指すが、旅が進むほどエリスの呪いは強まり、ガルドの体は錆びついていく。
触れ合いたいのに触れ合えない二人が選ぶ、最後の選択。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる