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第4章
第40話:星祭りと聖女の祝祭
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カートル大神殿・神樹の間。
そこへペリアル大神官、マーニを抱いたエリシオが入り、聖女認定式が始まる。
本来は大神官と聖女となる者だけが入るのだが、マーニが泣くのでエリシオが付き添っていた。
「神樹の精霊よ、聖なる子にその証をお与え下さい」
ペリアルが祈ると、神樹は白い光を放ち始める。
光から湧き出るように緑の羽根を持つ小妖精たちが現れ、マーニの方へふわりと飛んで来る。
人見知りをするマーニだが妖精は平気らしく、あどけない笑顔で小さな手を差し伸べた。
妖精たちも微笑み、ぷにぷにした可愛らしい手を撫でたりキスしたりして好意を表す。
『カートルの愛し子に聖印を贈りましょう』
マーニの頭の中に声が響く。
神樹の前に、緑の瞳と長い髪の女性が現れた。
マーニは無邪気に笑い、両手を差し伸べて抱っこを求める。
精霊はスッと歩み寄ると、エリシオからマーニを受け取り、愛し気に抱き締めて額に口付けた。
マーニの額に小さな光が渦を巻き、白薔薇の小さなタトゥーに似た紋様が描かれる。
それは、1000年以上の長い時、誰の身体にも現れなかったカートルの聖女の証。
神樹の精霊は、マーニが聖女である事を証明した。
(神樹の精霊…ご先祖様の記録にあったエルフの里リオモの精霊と同じかな?)
精霊からマーニを受け取りながら、エリシオはふと思う。
『同じとも言えるし、違うとも言える。世界中の神樹は地下で繋がる1つの個体なのですよ』
それが伝わったらしく、精霊が微笑んで教えてくれた。
カートル王都、大通り。
今年の星祭りは例年よりも多くの人で賑わっている。
聖女誕生の祝祭パレードがあり、国内外問わずそれを見ようと集まった人々が大通りの両脇にズラリと並ぶ。
白薔薇で飾られたフロートには赤ん坊用に作られた白いローブ姿のマーニ、マーニを抱くエリシオ、背後にミランとナタルマが座っていた。
「まあ、なんて可愛らしい聖女様でしょう」
「銀の髪がキラキラ輝いて、とっても綺麗ね」
「大きくなったらカートルで一番の美女になりそう」
マーニの容姿に期待と羨望を向ける人々。
「え? あの方がプルミエの第三王子様?!」
一部の人はエリシオを見て驚いている。
怪我や病気で神殿を訪れた事がある人の多くは、治療を手伝うエリシオを見た事があった。
しかし身分は明かしていなかったので、治癒の魔法に長ける転移者の子孫だと思われていた。
エリシオは普段カートル王都で着ている地味な衣服ではなく、祭礼用の衣装を纏っている。
白い布地で背中に赤と金の刺繍で不死鳥が描かれたそれは、プルミエ王族の正装。
その姿を見た時点で人々は彼が何者か把握する事となった。
(身分を知られちゃったなぁ。今度からここに来る時は変身魔道具を使おう…)
驚く人々の視線を感じて、エリシオは苦笑する。
人が多ければ当然ながら不浄の霊も多く、それが視えてしまうマーニは助けを求めるようにエリシオの服をギュッと握る。
「大丈夫だよマーニ」
小声で言うエリシオの肩に、シルバーグレーの仔猫ルシエがヒョッコリ姿を現す。
『王都を彷徨う霊たちよ、輪廻の輪に還れ』
霊たちに語り掛ける念話と共に、青い星型の花が舞う。
小さな花々と花弁は風に乗り、王都に広がる。
風の鎮魂歌
それは、迷える霊魂を包み、優しく導く神樹と風の魔法。
行き場も無くぼんやりと彷徨っていた霊たちは、青い花に包まれ天へ還ってゆく。
霊たちが還ってゆくのを視たマーニは安堵したように身体の力を抜き、人々に笑顔を向けた。
神樹と風の複合魔法は、プルミエ王族で魔力が高い者のみ使える魔法として知られている。
青い花が舞った時点で、魔法を学ぶ者にはその使用者が誰か把握出来た。
(エリだな。今日は隠さないのか)
見学に来ていたチャスケがクスッと笑う。
一方、魔法の知識の無い人々は祝祭の演出くらいに思い、見た目の華やかさを楽しんでいた。
そこへペリアル大神官、マーニを抱いたエリシオが入り、聖女認定式が始まる。
本来は大神官と聖女となる者だけが入るのだが、マーニが泣くのでエリシオが付き添っていた。
「神樹の精霊よ、聖なる子にその証をお与え下さい」
ペリアルが祈ると、神樹は白い光を放ち始める。
光から湧き出るように緑の羽根を持つ小妖精たちが現れ、マーニの方へふわりと飛んで来る。
人見知りをするマーニだが妖精は平気らしく、あどけない笑顔で小さな手を差し伸べた。
妖精たちも微笑み、ぷにぷにした可愛らしい手を撫でたりキスしたりして好意を表す。
『カートルの愛し子に聖印を贈りましょう』
マーニの頭の中に声が響く。
神樹の前に、緑の瞳と長い髪の女性が現れた。
マーニは無邪気に笑い、両手を差し伸べて抱っこを求める。
精霊はスッと歩み寄ると、エリシオからマーニを受け取り、愛し気に抱き締めて額に口付けた。
マーニの額に小さな光が渦を巻き、白薔薇の小さなタトゥーに似た紋様が描かれる。
それは、1000年以上の長い時、誰の身体にも現れなかったカートルの聖女の証。
神樹の精霊は、マーニが聖女である事を証明した。
(神樹の精霊…ご先祖様の記録にあったエルフの里リオモの精霊と同じかな?)
精霊からマーニを受け取りながら、エリシオはふと思う。
『同じとも言えるし、違うとも言える。世界中の神樹は地下で繋がる1つの個体なのですよ』
それが伝わったらしく、精霊が微笑んで教えてくれた。
カートル王都、大通り。
今年の星祭りは例年よりも多くの人で賑わっている。
聖女誕生の祝祭パレードがあり、国内外問わずそれを見ようと集まった人々が大通りの両脇にズラリと並ぶ。
白薔薇で飾られたフロートには赤ん坊用に作られた白いローブ姿のマーニ、マーニを抱くエリシオ、背後にミランとナタルマが座っていた。
「まあ、なんて可愛らしい聖女様でしょう」
「銀の髪がキラキラ輝いて、とっても綺麗ね」
「大きくなったらカートルで一番の美女になりそう」
マーニの容姿に期待と羨望を向ける人々。
「え? あの方がプルミエの第三王子様?!」
一部の人はエリシオを見て驚いている。
怪我や病気で神殿を訪れた事がある人の多くは、治療を手伝うエリシオを見た事があった。
しかし身分は明かしていなかったので、治癒の魔法に長ける転移者の子孫だと思われていた。
エリシオは普段カートル王都で着ている地味な衣服ではなく、祭礼用の衣装を纏っている。
白い布地で背中に赤と金の刺繍で不死鳥が描かれたそれは、プルミエ王族の正装。
その姿を見た時点で人々は彼が何者か把握する事となった。
(身分を知られちゃったなぁ。今度からここに来る時は変身魔道具を使おう…)
驚く人々の視線を感じて、エリシオは苦笑する。
人が多ければ当然ながら不浄の霊も多く、それが視えてしまうマーニは助けを求めるようにエリシオの服をギュッと握る。
「大丈夫だよマーニ」
小声で言うエリシオの肩に、シルバーグレーの仔猫ルシエがヒョッコリ姿を現す。
『王都を彷徨う霊たちよ、輪廻の輪に還れ』
霊たちに語り掛ける念話と共に、青い星型の花が舞う。
小さな花々と花弁は風に乗り、王都に広がる。
風の鎮魂歌
それは、迷える霊魂を包み、優しく導く神樹と風の魔法。
行き場も無くぼんやりと彷徨っていた霊たちは、青い花に包まれ天へ還ってゆく。
霊たちが還ってゆくのを視たマーニは安堵したように身体の力を抜き、人々に笑顔を向けた。
神樹と風の複合魔法は、プルミエ王族で魔力が高い者のみ使える魔法として知られている。
青い花が舞った時点で、魔法を学ぶ者にはその使用者が誰か把握出来た。
(エリだな。今日は隠さないのか)
見学に来ていたチャスケがクスッと笑う。
一方、魔法の知識の無い人々は祝祭の演出くらいに思い、見た目の華やかさを楽しんでいた。
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