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第3章
第29話:闇属性回復魔法
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「その黄金の髪に鮮やかな緑の瞳、もしや、プルミエの第三王子様ではありませんか?」
3人の来客にお茶と菓子を振舞う中、ミランはエリシオに問いかける。
その問いかけに神官と屋敷の使用人たちが驚くが、既に知っているクロスケは平然としていた。
「うん。カートルでは身分は明かしてないから、内密に」
正体がバレたので敬語をやめて、エリシオが告げる。
「承知いたしました」
ミランが応えて、使用人たちにも他言無用を命じた。
「最上級回復魔法に属性変換魔法をかけて、光属性を闇属性に変えた回復魔法。それが【夜空の癒し星】、今回の新薬に込めた魔法だよ」
エリシオは、瀕死のミランをすぐに完治させた新薬について明かした。
「2つの魔法を起動させて合成なんて、出来るのは賢者か転移者くらいですよ…」
驚く事に疲れた溜息をついて、ミランが言う。
6歳のエリシオが初等部から博士課程まで飛び級を推薦された理由は、従魔術だけではない。
祖先譲りの膨大な魔力や威力に翻弄されがちで抑制装備を着けてはいるが、魔法の才能とセンスは賢者クラスと評されていた。
「最上級回復魔法はプルミエの王族なら誰でも使えるから、魔法の合成と属性変換魔法の術式を伝えて、僕以外の者にも出来るようにしておくね」
今だけでなく後の時代も考えて話す少年に、ミランも神官も使用人たちも驚き過ぎて放心状態になっている。
「とりあえず、予備で持って来た魔法薬を置いておきます」
唯一落ち着いているクロスケが、ストレージから魔法薬を2本取り出してテーブルに置く。
「もしもまた誰か怪我をするような事があったら、遠慮無く使って下さい。ストックが無くなったらまた作りますから」
「ありがとうございます!」
ミランが涙目で感謝を述べた。
「実は、妻が臨月近いのです。当家は出産の際の出血で命が危うくなる者が多いので、その時は新薬の御世話になると思います」
「お産は持続ダメージだから、魔法薬は持続回復タイプがいいと思うわ」
ミランの話を聞いていると、何か思うところある様子で猫ロミュラが従魔部屋から出て来て言った。
「持続性の回復魔法というと、聖女が使う光の祝福くらいかな」
既存の回復魔法を思い出しつつエリシオが言う。
「エリの家族に協力してもらえるかな?」
クロスケが問う。
「姉様なら協力してくれると思う」
女性王族の中でも聖女っぽくない剣聖が、協力者候補のトップに挙がった。
「いいわよ」
予想通り、ソレミアはあっさり承諾してくれた。
学園の高等部、彼女は飛び級せずに年齢通りの学年にいる。
博士課程までスッ飛んだ弟に学年を追い越されたが、彼女は特に気にしてはいない。
クロスケの研究室に、ソレミアとエリシオが訪れる。
ペンタイア家の女性を護る、魔法薬の製造が始まった。
魔法薬の原薬が入った瓶に、ソレミアが片手をかざす。
その手が、金色の淡い光を放ち始めた。
光の祝福、解放待ち
そこへ被せるように、エリシオが片手をかざして魔法を起動する。
属性変換魔法、付与
ソレミアの手から放たれる光の色が変化する。
陽光に似た白金色から、蛍の光に似た緑色へ。
闇属性回復魔法:黄昏の祝福、発動
魔法薬の原薬に、新たな魔法が注がれた。
その魔法は闇属性でありながら、癒しと安らぎを感じさせる。
完成した魔法薬を届けに、クロスケとエリシオ、ついでにソレミアもペンタイア家に向かった。
ペンタイア家に着くと、またも何やら慌ただしい様子。
「何かあったんですか?」
「すみません毎回騒がしくて。奥様のお産が始まったのです」
クロスケの問いに、バタバタしている侍女が説明した。
3人の来客にお茶と菓子を振舞う中、ミランはエリシオに問いかける。
その問いかけに神官と屋敷の使用人たちが驚くが、既に知っているクロスケは平然としていた。
「うん。カートルでは身分は明かしてないから、内密に」
正体がバレたので敬語をやめて、エリシオが告げる。
「承知いたしました」
ミランが応えて、使用人たちにも他言無用を命じた。
「最上級回復魔法に属性変換魔法をかけて、光属性を闇属性に変えた回復魔法。それが【夜空の癒し星】、今回の新薬に込めた魔法だよ」
エリシオは、瀕死のミランをすぐに完治させた新薬について明かした。
「2つの魔法を起動させて合成なんて、出来るのは賢者か転移者くらいですよ…」
驚く事に疲れた溜息をついて、ミランが言う。
6歳のエリシオが初等部から博士課程まで飛び級を推薦された理由は、従魔術だけではない。
祖先譲りの膨大な魔力や威力に翻弄されがちで抑制装備を着けてはいるが、魔法の才能とセンスは賢者クラスと評されていた。
「最上級回復魔法はプルミエの王族なら誰でも使えるから、魔法の合成と属性変換魔法の術式を伝えて、僕以外の者にも出来るようにしておくね」
今だけでなく後の時代も考えて話す少年に、ミランも神官も使用人たちも驚き過ぎて放心状態になっている。
「とりあえず、予備で持って来た魔法薬を置いておきます」
唯一落ち着いているクロスケが、ストレージから魔法薬を2本取り出してテーブルに置く。
「もしもまた誰か怪我をするような事があったら、遠慮無く使って下さい。ストックが無くなったらまた作りますから」
「ありがとうございます!」
ミランが涙目で感謝を述べた。
「実は、妻が臨月近いのです。当家は出産の際の出血で命が危うくなる者が多いので、その時は新薬の御世話になると思います」
「お産は持続ダメージだから、魔法薬は持続回復タイプがいいと思うわ」
ミランの話を聞いていると、何か思うところある様子で猫ロミュラが従魔部屋から出て来て言った。
「持続性の回復魔法というと、聖女が使う光の祝福くらいかな」
既存の回復魔法を思い出しつつエリシオが言う。
「エリの家族に協力してもらえるかな?」
クロスケが問う。
「姉様なら協力してくれると思う」
女性王族の中でも聖女っぽくない剣聖が、協力者候補のトップに挙がった。
「いいわよ」
予想通り、ソレミアはあっさり承諾してくれた。
学園の高等部、彼女は飛び級せずに年齢通りの学年にいる。
博士課程までスッ飛んだ弟に学年を追い越されたが、彼女は特に気にしてはいない。
クロスケの研究室に、ソレミアとエリシオが訪れる。
ペンタイア家の女性を護る、魔法薬の製造が始まった。
魔法薬の原薬が入った瓶に、ソレミアが片手をかざす。
その手が、金色の淡い光を放ち始めた。
光の祝福、解放待ち
そこへ被せるように、エリシオが片手をかざして魔法を起動する。
属性変換魔法、付与
ソレミアの手から放たれる光の色が変化する。
陽光に似た白金色から、蛍の光に似た緑色へ。
闇属性回復魔法:黄昏の祝福、発動
魔法薬の原薬に、新たな魔法が注がれた。
その魔法は闇属性でありながら、癒しと安らぎを感じさせる。
完成した魔法薬を届けに、クロスケとエリシオ、ついでにソレミアもペンタイア家に向かった。
ペンタイア家に着くと、またも何やら慌ただしい様子。
「何かあったんですか?」
「すみません毎回騒がしくて。奥様のお産が始まったのです」
クロスケの問いに、バタバタしている侍女が説明した。
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