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第2章
第17話:飛び級
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「従魔、多過ぎない?」
翌日、予想通りツッコまれた。
仔猫ルシエ、大型犬(犬神)白雪、成猫ロミュラ、チビ黒竜クーロ(←名付けられた)。
普通は1体の使い魔を4体も連れ歩いていれば当然の反応といえる。
担任は言った。
「もう初等部の枠じゃないと思うの。飛び級を推薦するわ」
もはや初等部で教える事は何も無いとの判断である。
「えっ? じゃあ中等部に?」
「中等部でも教える事は無いと思うの」
「まさか高等部?」
「むしろ従魔術の博士課程に行ってもいいくらいよ」
「……………」
担任の評価が高すぎて面食らうエリシオ。
結局そのまま研究棟へ向かわされてしまった。
プルミエ王立学園・研究棟。
コンコン、と扉をノックした直後、エリシオのブレスレットに組み込まれた防衛機能が作動する。
範囲型・防御アプリ:battle shield
指定範囲をバリアで包み、物理・魔法問わず全包囲からの攻撃を防ぐ。
エリシオと使い魔たちを包んだバリアが、頭上から降ってきた何かを防いだ。
ガラン! ゴロゴロゴロ…
何か大きな金属物が、床に落ちて転がる音がする。
通路を転がってゆくそれは、軽い金属で出来た桶だった。
(…なんで、あんな物が降ってくるんだろう…)
ワケの分からない状況に半目になるエリシオ。
「おぉ、これは便利な防御壁だな」
その肩の上で仔猫ルシエが感心している。
「これが現代人の技術なのね」
成猫ロミュラも興味深そうに言う。
「SETA社の防衛アプリだよ」
瀬田家で育った白雪は自社製品に詳しいらしい。
「ところでアレ、ほっといていいんですか?」
廊下をゴロゴロ転がってゆく桶を指差してチビ竜クーロが聞く。
「トラップ研究部が仕掛けた罠を防ぐなんて、やるねぇ」
扉が開き、感心した口調で言う青年が出てきた。
研究に没頭する者にありがちな、ボサボサでほったらかしっぽい茶髪、着古した白衣も裾がほつれていて、身だしなみに無頓着な人間だと分る。
その茶色い瞳は、面白そうな物を見つけた子供みたいに輝いていた。
(あれってトラップだったのか…)
廊下の突き当たりまで転がって止まった桶をチラ見するエリシオ。
子供のイタズラみたいだと思う彼は、一応6歳児。
「担任の先生から従魔術の博士課程へ推薦されて来た、エリシオです」
とりあえず自己紹介してみる。
「俺はチャスケ。 さっきメッセージがきていたから君が来るのは知ってたよ」
茶髪の研究員が名乗りつつ話す。
チャスケは扉の中を片手で示し、室内に入るよう促した。
翌日、予想通りツッコまれた。
仔猫ルシエ、大型犬(犬神)白雪、成猫ロミュラ、チビ黒竜クーロ(←名付けられた)。
普通は1体の使い魔を4体も連れ歩いていれば当然の反応といえる。
担任は言った。
「もう初等部の枠じゃないと思うの。飛び級を推薦するわ」
もはや初等部で教える事は何も無いとの判断である。
「えっ? じゃあ中等部に?」
「中等部でも教える事は無いと思うの」
「まさか高等部?」
「むしろ従魔術の博士課程に行ってもいいくらいよ」
「……………」
担任の評価が高すぎて面食らうエリシオ。
結局そのまま研究棟へ向かわされてしまった。
プルミエ王立学園・研究棟。
コンコン、と扉をノックした直後、エリシオのブレスレットに組み込まれた防衛機能が作動する。
範囲型・防御アプリ:battle shield
指定範囲をバリアで包み、物理・魔法問わず全包囲からの攻撃を防ぐ。
エリシオと使い魔たちを包んだバリアが、頭上から降ってきた何かを防いだ。
ガラン! ゴロゴロゴロ…
何か大きな金属物が、床に落ちて転がる音がする。
通路を転がってゆくそれは、軽い金属で出来た桶だった。
(…なんで、あんな物が降ってくるんだろう…)
ワケの分からない状況に半目になるエリシオ。
「おぉ、これは便利な防御壁だな」
その肩の上で仔猫ルシエが感心している。
「これが現代人の技術なのね」
成猫ロミュラも興味深そうに言う。
「SETA社の防衛アプリだよ」
瀬田家で育った白雪は自社製品に詳しいらしい。
「ところでアレ、ほっといていいんですか?」
廊下をゴロゴロ転がってゆく桶を指差してチビ竜クーロが聞く。
「トラップ研究部が仕掛けた罠を防ぐなんて、やるねぇ」
扉が開き、感心した口調で言う青年が出てきた。
研究に没頭する者にありがちな、ボサボサでほったらかしっぽい茶髪、着古した白衣も裾がほつれていて、身だしなみに無頓着な人間だと分る。
その茶色い瞳は、面白そうな物を見つけた子供みたいに輝いていた。
(あれってトラップだったのか…)
廊下の突き当たりまで転がって止まった桶をチラ見するエリシオ。
子供のイタズラみたいだと思う彼は、一応6歳児。
「担任の先生から従魔術の博士課程へ推薦されて来た、エリシオです」
とりあえず自己紹介してみる。
「俺はチャスケ。 さっきメッセージがきていたから君が来るのは知ってたよ」
茶髪の研究員が名乗りつつ話す。
チャスケは扉の中を片手で示し、室内に入るよう促した。
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