335 / 428
夢の内容を元に書いたイオ視点の話
第78話:愛歌鳥
しおりを挟む
「こんなのリユが見たら卒倒しちゃうよ」
「早く片付けよう」
そんな事を話しつつ、お亡くなりのヘビ群を片付ける俺とモチ。
モチが倒した巨大ヘビは、既に収納済だ。
「ありがとう~、こんなのブラブラしたままじゃ、夜眠れないところだったわ」
ホッとした様子でカジュちゃんが言う。
確かに、こんな大きなヘビが何匹も天井からぶら下がってる中で、平然と眠れる猛者はなかなかいないと思うよ。
「よし、これで全部片付いたな」
「うん、スッキリしたね」
天井に突き刺さったヘビは、全て異空間倉庫に収納して撤去した。
異物が無くなった天井は、すぐに修復し始める。
「そういやカジュちゃん、タマゴかヒヨコ育ててたりする?」
「うん。この子だよ」
「ピヨッ?」
ヘビを撤去し終えたところで俺は聞いてみる。
カジュちゃんが机の引き出しを開けて、ピンク色のヒヨコを見せてくれた。
「リユちゃんのと同じ種類の、鳥さんがくれたタマゴだよ」
「手の上でタマゴ産んでったの?」
「うん」
「ピヨ?」
話してたら、ヒヨコが可愛く首を傾げた。
ピンク色といっても夜店のヒヨコみたいな不自然な濃い色ではなく、自然な桃の花のような淡い色。
愛歌鳥だ。
禁書で見た鳥の種類が頭に浮かぶ。
その鳥は確か、澄んだ伸びやかな歌声で体力を回復させたり、身体能力を上げたり出来ると書いてあった。
リユが育ててるヒヨコの色違いみたいな、フワフワ、ぽわぽわの丸い生き物。
これは多分、愛歌鳥と呼ばれる神鳥の、ヒナだと思う。
「さっきロッサ先生に聞いたんだけど、リユのヒヨコは神鳥のヒナなんだって。この子も同じかもしれない」
「そっかあ、そんなすごい子なのね」
「ピヨピヨピヨ」
自分の事を話してると分かってるのかいないのか、ヒヨコは口を開けて羽根をプルプル震わせてメシくれアピールする。
とりあえず可愛いのは間違いない。
「はい、ゴハンだよ」
と言いながらカジュちゃんがヒヨコにあげるのは、粟玉という小鳥のヒナ用の餌。
動植物学部の購買で買える品で、ほとんどの鳥のヒナにあげられる。
専用の小さなスプーンですくって口元へ持って行くと、ヒナは勢いよく食いついてモグモグしてる。
手乗りインコのヒナみたいだな。
「他にこのヒヨコの仲間を育ててる人はいる?」
「あとはネーさんくらいかな」
カジュちゃんが言う「ネーさん」は、山根さんの事だ。
「それは襲う奴の心配した方がいいかも」
「怖すぎて泣いちゃうかもね……ヘビが」
モチが半目になって言う。
カジュちゃんも苦笑した。
確かに。
山根さんのペットを食おうとしたら、どんな恐ろしい目に遭うか。
ヘビに同情しておこう。
「早く片付けよう」
そんな事を話しつつ、お亡くなりのヘビ群を片付ける俺とモチ。
モチが倒した巨大ヘビは、既に収納済だ。
「ありがとう~、こんなのブラブラしたままじゃ、夜眠れないところだったわ」
ホッとした様子でカジュちゃんが言う。
確かに、こんな大きなヘビが何匹も天井からぶら下がってる中で、平然と眠れる猛者はなかなかいないと思うよ。
「よし、これで全部片付いたな」
「うん、スッキリしたね」
天井に突き刺さったヘビは、全て異空間倉庫に収納して撤去した。
異物が無くなった天井は、すぐに修復し始める。
「そういやカジュちゃん、タマゴかヒヨコ育ててたりする?」
「うん。この子だよ」
「ピヨッ?」
ヘビを撤去し終えたところで俺は聞いてみる。
カジュちゃんが机の引き出しを開けて、ピンク色のヒヨコを見せてくれた。
「リユちゃんのと同じ種類の、鳥さんがくれたタマゴだよ」
「手の上でタマゴ産んでったの?」
「うん」
「ピヨ?」
話してたら、ヒヨコが可愛く首を傾げた。
ピンク色といっても夜店のヒヨコみたいな不自然な濃い色ではなく、自然な桃の花のような淡い色。
愛歌鳥だ。
禁書で見た鳥の種類が頭に浮かぶ。
その鳥は確か、澄んだ伸びやかな歌声で体力を回復させたり、身体能力を上げたり出来ると書いてあった。
リユが育ててるヒヨコの色違いみたいな、フワフワ、ぽわぽわの丸い生き物。
これは多分、愛歌鳥と呼ばれる神鳥の、ヒナだと思う。
「さっきロッサ先生に聞いたんだけど、リユのヒヨコは神鳥のヒナなんだって。この子も同じかもしれない」
「そっかあ、そんなすごい子なのね」
「ピヨピヨピヨ」
自分の事を話してると分かってるのかいないのか、ヒヨコは口を開けて羽根をプルプル震わせてメシくれアピールする。
とりあえず可愛いのは間違いない。
「はい、ゴハンだよ」
と言いながらカジュちゃんがヒヨコにあげるのは、粟玉という小鳥のヒナ用の餌。
動植物学部の購買で買える品で、ほとんどの鳥のヒナにあげられる。
専用の小さなスプーンですくって口元へ持って行くと、ヒナは勢いよく食いついてモグモグしてる。
手乗りインコのヒナみたいだな。
「他にこのヒヨコの仲間を育ててる人はいる?」
「あとはネーさんくらいかな」
カジュちゃんが言う「ネーさん」は、山根さんの事だ。
「それは襲う奴の心配した方がいいかも」
「怖すぎて泣いちゃうかもね……ヘビが」
モチが半目になって言う。
カジュちゃんも苦笑した。
確かに。
山根さんのペットを食おうとしたら、どんな恐ろしい目に遭うか。
ヘビに同情しておこう。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
トレジャーキッズ
著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。
ただ、それだけだったのに……
自分の存在は何のため?
何のために生きているのか?
世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか?
苦悩する子どもと親の物語です。
非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。
まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。
※更新は週一・日曜日公開を目標
何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。
【1】のみ自費出版販売をしております。
追加で修正しているため、全く同じではありません。
できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)
悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪
naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。
「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」
そして、目的地まで運ばれて着いてみると………
「はて?修道院がありませんわ?」
why!?
えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって?
どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!!
※ジャンルをファンタジーに変更しました。

魔神として転生した~身にかかる火の粉は容赦なく叩き潰す~
あめり
ファンタジー
ある日、相沢智司(アイザワサトシ)は自らに秘められていた力を開放し、魔神として異世界へ転生を果たすことになった。強大な力で大抵の願望は成就させることが可能だ。
彼が望んだものは……順風満帆な学園生活を送りたいというもの。15歳であり、これから高校に入る予定であった彼にとっては至極自然な願望だった。平凡過ぎるが。
だが、彼の考えとは裏腹に異世界の各組織は魔神討伐としての牙を剥き出しにしていた。身にかかる火の粉は、自分自身で払わなければならない。智司の望む、楽しい学園生活を脅かす存在はどんな者であろうと容赦はしない!
強大過ぎる力の使い方をある意味で間違えている転生魔神、相沢智司。その能力に魅了された女性陣や仲間たちとの交流を大切にし、また、住処を襲う輩は排除しつつ、人間世界へ繰り出します!
※番外編の「地球帰還の魔神~地球へと帰った智司くんはそこでも自由に楽しみます~」というのも書いています。よろしければそちらもお楽しみください。本編60話くらいまでのネタバレがあるかも。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる