【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

文字の大きさ
上 下
326 / 428
夢の内容を元に書いたイオ視点の話

第69話:異変

しおりを挟む
「よし、これで全校生徒の給食用は確保出来たな」

 かなり奥まで狩り進んだところで、松本先生が言う。

「終点ボスを狩らなくても肉は足りているが、ジャミからボスを見て来てほしいと頼まれたから一応行くぞ」
「はい」

 先生の指示で、引き続き先頭を進む俺。

 占いオババのジャミは、確か国家任務の捕獲対象を水晶玉で探っていた筈。
 ここのボスと何か関係あるのかもね。
 ちなみに「終点ボス」っていうのは、枝分かれしたダンジョンの通路の行き止まりに沸く魔物だ。
 俺が倒した大鶏は終点ボスよりも弱いけど、鶏系では強い部類に入るので「中ボス」と呼ばれる。


 スタスタスタ……

 ……ドスドスドスッ!

「ここら辺の罠は殺傷力高そうだね」
「涼しい顔で避けながら言われてもな」

 天井からドッサリ降ってきて、床一面に刺さってる氷の槍を眺めて言ったら、背後にいるモチからそんなツッコミが入った。

「とりあえずこれ邪魔だから砕くよ」

 俺を囲むように地面に突き刺さってる槍を見回して、後方メンバーに告げる。

「はーい。防壁バリア!」

 お馴染み江原がみんなに破片が当たらないように防壁バリアで包んでくれた。

「じゃあいくよ~、白き翼エルブランシュ!」

 本日2度目の攻撃スキル使用。
 背中から白い翼が開いて、周囲に羽根が散る。
 大量の硝子が砕けるような音と共に、氷の槍が粉々に砕け散った。

「うん、片付いた。範囲攻撃スキルっていいな」
「それメイン攻撃にしたら殺戮の天使とか二つ名が付くんじゃね?」

 見晴らしがよくなってスッキリしてたら、モチにそんな事を言われた。

「天使っていうかこれ鶏の羽根だけどね」
「本体無かったら区別つかんだろ」

 そんな会話をしつつ進んで行ったら、通路の行き止まりに到着。
 難なく着いたボス部屋は、殺風景な広い空間で、何もいなかった。

「何もいないね」
「誰かが倒して24時間経ってないとか?」
「おかしいな。今日ここへ来たのはうちのクラスだけの筈だけど」

 みんなで辺りを探しても、何も見つからない。

「前に来たのは動植物学部のメンバーか。イオが倒した大鶏の手前で帰ってるな」

 先生がポケットからスマホに似た魔導具を出して、氷雪の洞窟の入場履歴を見てくれた。
 直近の入場は先週で、中ボス前に引き返しているので、ここには狩りに来ていない。

「とりあえず帰るか。もともと狩るつもりは無かったからな」

 先生の指示で、クラス一同ゾロゾロと帰る。

 四季の森とそこにあるダンジョンは、学園の敷地内にあり、学園関係者以外は立入り禁止らしい。
 学園関係者は森やダンジョンに入る前に告知し合うので、ここに誰がいつ来たかはすぐ分るそうだよ。


「最後にボスを倒したのは卒業生だな。冒険者になってるそうだからギルドに行って聞いてみるか」

 森を出て校庭に来ると、先生がそう言って召喚獣を出す。

「「って、それ乗ってくんスか?!」」

 モチと俺がハモる。

 松本先生が大柄な体格に似合わず、ヒラリと背中に飛び乗ったのは西洋竜ドラゴンだ。

「今日の授業はここまで、解体して給食室に肉を届けたら帰っていいぞ。じゃ、ちょっとギルドに行ってくる」

 そう言うと、松本先生はドラゴンに乗って飛び去ってしまった。

 そんなの乗ってったら、街の門番さんたち驚かない?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...