【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

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夢の内容を元に書いたイオ視点の話

第66話:チキルート

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「この先の通路は、雑魚からボスまで鶏系の魔物ばかりだから、最初はコケコッコールートと呼ばれていたそうだ」

 氷雪の洞窟内、枝分かれした通路の1つを進みつつ、松本先生が説明する。

 コケコッコー、分かりやすいけど長いな。
 って思ったら、やはり省略されたらしい。

「でも長いから省略してコケルートと呼び始めたが、今度は学生達から試験に縁起が悪いって言われて、現在はチキルートが正式名称だ」
異世界こっちの受験生もオチル・コケル・スベルは禁句なんですね」

 異世界転移してなかったら、今頃は就活真っ最中だった筈の江原が言う。
 彼は異世界の神殿に就職が決まったので、もう禁句から開放された勝ち組だ。

 スタスタスタ…

 …ドドドッ!

 背後の会話を聞きながら、俺は相変わらず先頭を歩いてトラップ発動させまくってる。
 発動させ過ぎて、もう教えられなくても自分で罠を見つけられるくらいだ。

「そろそろ次の魔物が出てくるぞ」

 って先生に言われたので、モチ以外の後方火力メンバーは杖を構え、俺は持ってるだけでほぼ使う事が無い剣を抜いた。

「コ~コココ…」

 って聞き慣れた鶏声を出しながら、出てきたのは普通の鶏10羽分ありそうなデカイ鶏。

「お~、肉いっぱいとれそう」
「鶏鍋食いたい」
「お前ら、中ボス相手に緊張感無いのか」

 呑気に言う俺とモチ、先生に苦笑された。

「先生の召喚獣ドラゴンの方が強そうですし」
「まあ、そうだがな」

 俺がドヤ顔で言ったら、先生また苦笑。

 修行で3回も西洋竜ドラゴンと対戦したら、たいていのボス霞むよね?

「コケッ!」

 スカッ☆

 体重20~30kgありそうな、デカイ白色レグホンが飛び蹴りしてくるけど、もちろん当たらない。

「ケェ~~~!」

 大鶏が首周りの羽毛をブワ~ッと膨らませた。

 あ、怒ってる。

「特殊攻撃くるぞ!」
防壁バリア!」

 先生が警告すると、江原が先生含めたみんなを防壁バリアで包んだ。

 直後…

 ドドドッ!

 …天井・左右の壁・床まで一面に、白い羽根が突き刺さった。

「………」

 さっきまで余裕ぶっこいてたモチが、鼻の穴広げて真顔になる。

「そいつは首周りの羽毛を膨らませたら、さっきの範囲攻撃を出してくる。これ期末テストに出すからみんな覚えとけよ」

 って先生、期末テストあるの?

「コ~コココ……」

 大鶏が両翼少し広げて足で地面を掻いてる。
 なんか、俺ガン見されてるぞ。

「イオお前、タイマン挑まれたな」
「何故……」
「お前だけ至近距離にいながら無傷だから、猛者だと認識したみたいだぞ」

 ……どうやら、大鶏に強い奴と間違われたらしい。

「いや俺の火力は小学生レベルだよ?」
「コケッ」

 ……嘘つけ、って言われた気がする。

「身体強化使えばドラゴン倒せる奴が何言ってる。タイマンいっとけ!」

 俺の後方で防壁バリアに護られつつ、モチが応援し始めた。

「あっちの赤毛の方が強いよ?」

 大鶏に話しかけてみた。

「!!!」

 モチが鼻の穴広げて真顔になる。

「コッコッコ」

 大鶏、モチをチラッと見た後、プイッとして俺の方を向いてくる。

「ケェ~!」

 ……オレの相手はお前だ!って言われた気がする。

 しょうがない、タイマンしとこうか。
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