【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

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夢の内容を元に書いたイオ視点の話

第55話:学園長の父親

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「学園長は確か、パパが話したい事があるって、言ったよね?」
「うん、言った」
「パパのところへ転送されるって、言ったよね?」
「うん、言った」

 半目になる俺。
 鼻の穴開いて、真顔になるモチ。
 カジュちゃん、リユ、江原は目をまん丸にして言葉を失ってる。
 唯一、山根さんだけは不機嫌気味だが驚いたり困惑したりしていない。

「ここ、王宮に見えるんだけど、気のせい?」
「気のせいじゃなくて、ここは王宮の謁見の間よ」

 俺が困惑気味に言ったら、山根さんが冷静に返してきた。

 ……という事で……

 俺たち7人は、学園長室の転送陣からこの国の王宮へ転送されたらしい。

「よく来たニャ」

 玉座に座る猫人は、学園長そっくりのでっぷり太った三毛猫。
 説明されなくても、血縁というか親子だと思うレベルに瓜二つだ。

「あたし、茶会の準備で忙しいから。手短にしてくれる?」

 不機嫌そうな山根さん。
 言ってる相手、王様だよね?

「くだらない話だったらグーで殴るって、アンタの息子に言っといたから」
「ぐ、グーで殴るのは勘弁してほしいニャ」

 王様までシッポ膨らませてビビッてますけど?
 山根さん、絶対零度の睨み国内最強か?!

「山根は隣の会議室で説明を受けたらすぐ帰っていいニャン」
「じゃあ、そっちへ行くから。困惑してる子たちに、ちゃんと説明してあげなさいよ」
「わ、分ったニャ」

 どっちが上の立場か分かんなくなる会話の後、山根さんは謁見の間から会議室へ行ってしまった。
 王様をビビらせつつも、俺たちへの配慮を考えた事を言う山根さん。
 怖いだけじゃなく、後輩の事を考えてくれる人なんだよ。

「……ふぅ……。え~コホン」

 山根さんが扉の向こうへ姿を消すと、ホッとした様子の王様。
 気を取り直すように咳払いして、今回の呼び出し内容を話し始める。

「まずはチッチ・ラズリ。歴史上初の夢幻種の捕獲、更にはそれを従えるという偉業を讃え、研究支援として金貨500枚を授けるニャ」
「! ありがとうございます!」

 報奨金を与えると告げられたチッチが、驚きつつも感謝を込めて深々と頭を下げた。
 先日の宝石商でのやりとりでの相場から考えて、金貨1枚は日本円の100万円くらいだ。
 それが500枚って事は………5億?!
 まあでも希少生物の研究や保全活動には、必要な額かもしれない。

 王様は続いてモチと俺に視線を向けた。

「そして、勇者セレスト兄弟とその仲間たち。其方等に国家任務を任せたいが、引き受けてくれるかニャ?」

 その言葉にモチと俺は互いに指差し合い、自分たちの事だと認識する。
 タマは「国王は禁書の存在を知っている」ような事を言ってたので、俺たちの前世も知ってるのかも。

「どんな国家任務か聞いてもいいですか?」

 代表して聞いたのはモチ。

「其方等が前世で倒した魔王の部下を、見つけ出して捕獲してほしいのニャ」
「討伐ではなく、捕獲するだけですか?」

 任務内容を聞いて、俺も質問してみた。

「その部下は不死ゆえに、捕獲するだけでいいニャ」
「どの地域にいるかは、分かりますか?」

 話からすると、捕獲そのものよりも探す方が大変そうだな。

「ジャミの占いによれば、アサケ学園の中に潜んでるらしいニャ」
「「マジっすか?!」」

 想定外に近くて、思わずハモってしまったモチと俺。
 他のメンツはビックリして声も出なかった。

 学園の中に魔王の部下が隠れてるなんて……

 ……もしかして、俺たちの転移先が学園だったのは、神様が送り込んだとかかな?
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