【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

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夢の内容を元に書いたイオ視点の話

第46話:魔法協会のプレゼント

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「じゃあ、次は俺で」

 チッチに声をかけ、ガラガラの取っ手を持つ。

 抽選器の扱いは慣れてるけど、くじを引く側になるとちょっと緊張するもんだね。
 しかも景品が魔法ってのがテンション上がる。
 俺は禁書魔法の身体強化を習得しただけで、攻撃魔法はまだ何も覚えてない。

 何か攻撃魔法が出ればいいな~とか思いつつ、ガラガラを回す。

 コロン、と出たのは……

 ……めっちゃ光り輝く、虹色の玉!

 っていうかこれ、眩し過ぎない?

「!!!」

 店員さんがハッ!とした顔になり、抽選器の横に置いてあるハンドベルを掴むと、勢いよく振った。

 ん? 音が鳴らない?

 思った直後、背後にそびえ立つ大時計台から大音量で、聞き慣れたハンドベル音が鳴り響く。

 ガラガラガラガラーッ!!!

「「そっちかい!」」

 モチとハモってツッコんだ。

 異世界の抽選会、当たりパフォーマンスすげ~な。
 っていうか野次馬が集まってきちゃったぞ。

「遂に! 遂に! 10年ぶりに特賞が出ましたぁぁぁ!!!」

 さっきまで大人しかったのが嘘みたいなハイテンションで、店員さん絶叫。

 特賞10年ぶりって…どんだけ出なかったんだよ。

「10年も出なかった特賞…」

 モチも半目になって呆れてるぞ。

 イベントチームでガラポン抽選会を毎週やって、特賞が出ずに終わる事なんて滅多に無い。
 玉の入れすぎなのか、挑戦者が少ないのか……

「やったねイオ!」

 イツキは自分が当たったみたいに喜んでくれた。いい子だなぁ。

「おめでとう!」
『凄い運ですね!』

 って言ってる君ら、俺の運を上げた張本人でしょ。

「特賞が出たんだって?」
「異世界人が当てたらしいぞ」
「ほら、あそこにいる青い髪の子供だよ」

 野次馬と化した街の人々が、ザワザワしながらこっちを見てる。
 ちょっと恥ずかしい……まさかこんな人目に晒される事になろうとは……
 俺以外の3人は、スススーッと離れて他人のフリをし始めた。
 薄情者たちめ……

 ……で、俺に特賞を出させておいて、騒ぎに紛れてガラガラを回してるのはチッチ。

「続いて1等も出ましたぁ!」

 店員さんが宣言したけど、特賞の後だからか人々の注目はほとんど向かない。

「特賞の方には魔法協会の会長が賞品を届けに来ますので、しばしお待ちを。1等の方にはこちら!最上級魔法の全属性セットです!」

 店員さんが人々に見せびらかしつつ、チッチにカードセットを手渡す。
 そのカードの絵も魔法陣も、モチが貰った物より更に豪華なデザインになっていた。

 1等で最上級魔法フルセットか。
 じゃあ特賞って何が貰えるんだろう?

 俺も、野次馬たちも、ソワソワしながら賞品が発表されるのを待つ。

 そして、賞品を届けに来た会長は、魔女っぽい物に乗って現れた。

「特賞を出したのは誰?」

 上から声がしたと思ったら、スーッと降りてくるのはホウキに乗ったアメショ風の猫人。
 漆黒の布地のローブは、金糸の刺繍で裾や袖口に草の蔓のようなものが描かれていた。

「会長! 特賞を出したのは、こちらの異世界人さんです!」

 店員さんがササッと俺の隣に来て、手で指し示す。

「嬉しいねぇ、アタシが生きてるうちに、また特賞が出るなんて」

 銀色のシマシマが綺麗な会長が、マスカットグリーンの瞳を嬉しそうに細めた。

「さあみんな、これが10年ぶりに出た特賞の賞品だよ! よ~く見ておきなさい!」

 会長が片手でホウキを掲げると、ホウキが杖に変化する。
 その杖を地面に向け、円を描くように振ると、地面に魔法陣が現れた。
 魔法陣の中央が虹色の光を放ち、地面から湧き上がるように宝箱が出てくる。

「特賞を引き当てた異世界人の坊や、開けてごらん。この宝箱の中身は全てアンタの物だよ」

 会長に呼びかけられて、俺は宝箱に歩み寄り、蓋を開けた。

 金・黒・白・赤・黄・青・緑…それぞれ異なる七色の丸い物が、箱の中に収められている。

 ……カード…じゃないね?

 これも魔法習得アイテムなのかな?

「全属性召喚獣の卵セット。孵化させればアンタは召喚獣を従えられるよ」
「え?!」

 ……魔法じゃなかった!

「アンタ、アサケ学園の学生だろう? 育て方は動植物学部の先生に聞きな」

 ……説明がロッサ先生に丸投げされたぞ。

「孵化させたら協会まで見せに来ておくれ」

 って言いながら、会長が杖をサッと振ると、杖がホウキに変化した。

「じゃっ、アタシはこれで。バーイ!」

 なんか軽いノリで、会長はホウキに乗って飛び去ってゆく。

「………」
「ではこちら、協会からの特賞プレゼントをどうぞ!」
「……あ、はい」

 ポカーンとしてたら店員さんに言われたので、俺は異空間倉庫ストレージに宝箱とその中身を収納した。

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