【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

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夢の内容を元に書いたイオ視点の話

第44話:屋台めぐり

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「ポークの串焼き、美味そう……」
「それはポークじゃなくて、オークだよ」

 時計台広場の屋台を目当てに来てみたら、誰だか明らかな声がする。

「モチ、奢るから串焼きみんなで食べよう」

 やっぱりそこにいたのは、モチと相棒役の猫人学生。
 不死鳥の主人は、名前をイツキという赤い毛並みの猫人だ。

「奢ってくれるの? ありがとう~」

 嬉しそうに虹彩を丸くして、ヒゲをピーンと張るイツキが、ちゅーる差し出した時の猫っぽく見える。

「串焼きデカイから、とりあえず1本ずつでいいかな」
「屋台巡りをするならその方がいいよ」

 儲けを独占する気は無いらしく、屋台のオジサンがそう言うので、4本買ってチッチ、イツキ、モチに1本ずつ渡す。

「これをかけるとサッパリした味になるよ。串焼きを食べた後に齧るのもいい」

 と言ってオジサンに渡されたのは、四つ切りにした黄色い果実。
 レモンと柚子をミックスしたような、爽やかな香りの柑橘系だ。
 串焼きは塩コショウっぽい味付けだから、タン塩にレモン汁付けるみたいになるだろうね。

「いただきまぁす!」
「「「ゴチになりまぁす!」」」

 屋台の炭火で炙られて、美味しそうな匂いを漂わせる串焼きは、1本がバーべQの鉄串サイズの大きな物。
 それを片手に、屋台横のベンチに並んで座り、かぶりつく。

「「うまっ!」」

 モチと俺がハモる。

「やっぱりここの串焼きイチバンだね」
「うんうん」

 チッチとイツキもニコニコだ。

 脂身の美味しい豚肉に似たオーク肉の串焼きは、炙られた事で余分な脂が落ちて、表面がこんがり焼けている。
 半分くらいそのまま食べて、残り半分に柚子レモン風の果汁をかけた。
 サッパリ味に変わった肉がまた美味い。

 食べ終えた後、俺たちはそのまま4人で屋台巡りを始めた。
 初めて観る異世界の屋台は、いろんなのがあって見飽きない。

 肉や魚の串焼き、大きな塊で焼いた肉をナイフで削いでパンに挟んだ物、芋やカボチャやトウモロコシみたいな野菜を石焼き窯で焼いてバターを添えた物、果実を飴でコーティングしたスイーツもある。

 見て、買って、円状に並ぶ屋台を一周し終える頃、日本で馴染みのモノを置いてる屋台を見付けた。

「………」

 モチが鼻の穴広げながら、無言で俺を肘でつつく。

「な、なんでアレがこんなところに…?」
「え? 日本あっちにもあるの?」

 俺が呟いたら、チッチが意外そうに聞いてくる。

 その屋台にあるのは、日本人なら子供でも知ってる、商店街によくあるアレ。

 ガラガラ回して出てくる玉の色で景品が決まる、【ガラポン抽選器】だった。
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