【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

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夢の内容を元に書いたイオ視点の話

第38話:火神の激怒

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 その後もオーク狩りは順調に進んだ。
 各班ごとに狩り数目標を決めてあり、俺たちの班はノルマクリア。
 ノルマに関わらず日没には帰るように先生に言われている。
 まだ早いので、他の班の様子を見回りつつ木の実や果実の採集をして時間潰しだ。

 魔法使いばかりのパーティだけど、全員が転移者なだけあって、みんな難なく狩っている。
 でも多分、効率が一番いいのは敵を集める前衛と、強力な範囲攻撃を持つ魔法使いがいる俺たちの班なんだろうね。
 他の班はノルマ半分まできたところだった。

「こっち終わったから手伝うよ」

 魔法学部トップの火力を誇るモチが入るだけで、狩りペースが倍以上速くなる。
 加勢に入った班はすぐにノルマクリアして、他の班の手伝いに向かう。

 オークはそんなに大群にはならないので、こちらの手数が多くなったら前衛いらなくなった。

 俺めっちゃ暇になったぞ。

 見つけて即倒されてゆくオークの標的になる必要が無く、ブラブラと森を散策しつつ木の実なんか採集したり。

 しばらく歩いていたら、今までのと違うオークと遭遇した。

 肌の色が黒いオーク。
 今まで狩ったのはピンクっぽい普通の豚の肌色だったけど。
 こいつは黒豚みたいに真っ黒だ。

(レア系かな? みんなのところまで釣って行って狩ってもらうか)

 そう思って標的になるように近付いて行って、ふと思いついた。

(身体強化魔法、試してみよう)

 使う前、普段の自分の能力を調べる為に、剣を抜いて攻撃してみた。

「ブヒ?」

 なんだお前? って顔されたよ。

 子供の身体では大した力は無いらしく、斬り付けても黒オークは平然としてる。

「ブヒヒッ」

 獲物がノコノコ近付いてきやがったとか思ってそうな顔された。

 でも、黒オークの攻撃も俺にはダメージにならない。

 ブンッ!

 スカッ☆

 棍棒で殴りつけてきたけど、全く当たらない。

 このままだと、黒オークが去るか俺が逃げるかしないと戦闘は終わらない感じ。

 身体強化魔法でどのくらい変わるのか?

 習得してまだ1回も使ってない魔法の実験だ。

火神の激怒イグニス!」

 魔法発動のキーワードを言ってみた。

 紅蓮の炎で出来た鳥が現れた。

 炎の鳥は俺の周囲をぐるんと周回すると、身体の中に吸い込まれてゆく。
 炎は触れても温かいと感じる程度で、身体に吸い込まれたら内側から温められてる感じがする。

 ふと右手に持つ剣を見たら、熱した鉄みたいに赤く光ってる。

(この魔法、ダメージUPの効果だったよね)

 自分の記憶を確認して、その効果を確かめる為、再度オークに斬りかかってみた。

「!!!」

 攻撃を食らった黒オークが、物凄く驚いたみたいな顔をする。
 最初の攻撃とは次元が違う。
 斬られた黒オークの傷口も赤い光に覆われたと思ったら、白目を剥いてドオッ!と倒れてしまった。

「………」

 倒れた黒オークを前に、俺しばし呆然。

 ………え? 一撃?

 こいつそんなに弱かったの?

 まさか倒せてしまうとは思ってなかったので、かなり困惑しつつ異空間倉庫ストレージに収納。
 回れ右して皆がいるところへ向かう。

 黒オークは強いのか弱いのか?

 初めて自分で倒した魔物なので、その強さのレベルが分からない。
 帰ったらロッサ先生に聞いてみよう。
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