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夢の内容を元に書いたイオ視点の話
第30話:タマ・ヌマタ
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司書さんはレオ・ファンという名前の灰白フサフサ長毛の猫型獣人。
レオさんから頼まれて、俺は放課後に図書館を訪れた。
「あの時、君はモチ君やカジュちゃんと3人で来ていたよね?」
「はい」
整然と並ぶ本と本棚に挟まれた通路を歩きながら、声のトーンを下げて話す。
ここまで通って来た通路にあるのは赤や青の背表紙で、黒は無い。
「実はあの時、君がどこかへ行ってしまった~って2人が言ってたんだよ」
「え? 少し進んだ奥にいただけなのに?」
そんなに離れてなかったのに、見つけられなかったのは何故だろう?
それとも、俺が夢中になり過ぎてかなり離れていた?
でもあの時、2人が呼んでる声はすぐ近くから聞こえた。
それなら向こうにも俺と黒猫獣人の子の会話が聞こえてそうだけど、聞こえてなかったみたいだった。
「さあ、ここだ。君はこの通路の先に何が見える?」
レオさんが立ち止まり、通路の先を指差した。
その先には閲覧室と、黒い背表紙に金の文字が書かれた本が並んでるのが見える。
「閲覧室ですね。黒地に金文字の本も見えます」
「そうか。そこまで進んでみてもらえるかい?」
「はい」
レオさんの意味深な言葉に首を傾げつつ、俺は閲覧室まで進む。
あの子はいるかな?って見回したけど誰もいなかった。
残念、今日は来てないのか。
明日また来てみようと思いつつ、回れ右して帰ろうとした時……
「あれ? 読まずに帰っちゃうの?」
「!!!」
……あの子の声がした。
誰もいないと思ってた部屋の中で声がするのは、ちょっと心臓に悪いぞ。
「いるならいるって言ってくれよ…」
深呼吸して心と鼓動を落ち着かせつつ、声がした方を見ると黒猫獣人の子がいた。
黒いビロードの布地を張ったアンティークチェアに座って、ニコニコしながらこちらを見てる。
「ふふっ、ごめんごめん。君はボクが見える人だから、普通に声かけちゃった」
……ってなんか今、普通じゃないっぽい事言った?!
「ど、どういう意味かなっ? あと、名前聞いていい? 俺はイオだよ」
恐る恐る聞いてみる。
……もしかして、この子は……
「あれ? 見えるのに気付いてない? ボクはタマ・ヌマタ。禁書を守護する霊だよ」
ニッコリ微笑むタマ・ヌマタくん。
めっちゃ猫っぽい名前+下から読んでも同じ名前系キタ!
っていうか今、「霊」って言ったぞ。「禁書」って言ったぞ。
「……ヌマタくんは……この世のものでは……ない?」
「タマでいいよ。物質界のものではないのかと問われれば、そうだね」
……あ~、やっぱり。
在校生にはいないという小柄な黒猫獣人は、図書館に憑いた霊……というか守護霊だったのか。
「…なんで、霊気同調してないのに見えるの?」
ウッカリ霊を視てしまった事に多少動揺しつつも、聞いてみる事にした。
霊気同調っていうのは、霊が視えるように感覚を調整するスキル。
俺が生まれつき持ってる、日本では【霊感】とされるものの一種だ。
普段は霊が視えないけど、そのスキルを発動させると視えるようになる。
幼少期は無意識に使っていて、見た目が不気味な霊を視てはビビリまくって変な子だと言われたっけ。
そのスキルは、今は使ってない。
「話せば長くなるから、とりあえずそこへ座りなよ」
ってタマに言われて、向かいの席に座って話を聞く事にした。
レオさんから頼まれて、俺は放課後に図書館を訪れた。
「あの時、君はモチ君やカジュちゃんと3人で来ていたよね?」
「はい」
整然と並ぶ本と本棚に挟まれた通路を歩きながら、声のトーンを下げて話す。
ここまで通って来た通路にあるのは赤や青の背表紙で、黒は無い。
「実はあの時、君がどこかへ行ってしまった~って2人が言ってたんだよ」
「え? 少し進んだ奥にいただけなのに?」
そんなに離れてなかったのに、見つけられなかったのは何故だろう?
それとも、俺が夢中になり過ぎてかなり離れていた?
でもあの時、2人が呼んでる声はすぐ近くから聞こえた。
それなら向こうにも俺と黒猫獣人の子の会話が聞こえてそうだけど、聞こえてなかったみたいだった。
「さあ、ここだ。君はこの通路の先に何が見える?」
レオさんが立ち止まり、通路の先を指差した。
その先には閲覧室と、黒い背表紙に金の文字が書かれた本が並んでるのが見える。
「閲覧室ですね。黒地に金文字の本も見えます」
「そうか。そこまで進んでみてもらえるかい?」
「はい」
レオさんの意味深な言葉に首を傾げつつ、俺は閲覧室まで進む。
あの子はいるかな?って見回したけど誰もいなかった。
残念、今日は来てないのか。
明日また来てみようと思いつつ、回れ右して帰ろうとした時……
「あれ? 読まずに帰っちゃうの?」
「!!!」
……あの子の声がした。
誰もいないと思ってた部屋の中で声がするのは、ちょっと心臓に悪いぞ。
「いるならいるって言ってくれよ…」
深呼吸して心と鼓動を落ち着かせつつ、声がした方を見ると黒猫獣人の子がいた。
黒いビロードの布地を張ったアンティークチェアに座って、ニコニコしながらこちらを見てる。
「ふふっ、ごめんごめん。君はボクが見える人だから、普通に声かけちゃった」
……ってなんか今、普通じゃないっぽい事言った?!
「ど、どういう意味かなっ? あと、名前聞いていい? 俺はイオだよ」
恐る恐る聞いてみる。
……もしかして、この子は……
「あれ? 見えるのに気付いてない? ボクはタマ・ヌマタ。禁書を守護する霊だよ」
ニッコリ微笑むタマ・ヌマタくん。
めっちゃ猫っぽい名前+下から読んでも同じ名前系キタ!
っていうか今、「霊」って言ったぞ。「禁書」って言ったぞ。
「……ヌマタくんは……この世のものでは……ない?」
「タマでいいよ。物質界のものではないのかと問われれば、そうだね」
……あ~、やっぱり。
在校生にはいないという小柄な黒猫獣人は、図書館に憑いた霊……というか守護霊だったのか。
「…なんで、霊気同調してないのに見えるの?」
ウッカリ霊を視てしまった事に多少動揺しつつも、聞いてみる事にした。
霊気同調っていうのは、霊が視えるように感覚を調整するスキル。
俺が生まれつき持ってる、日本では【霊感】とされるものの一種だ。
普段は霊が視えないけど、そのスキルを発動させると視えるようになる。
幼少期は無意識に使っていて、見た目が不気味な霊を視てはビビリまくって変な子だと言われたっけ。
そのスキルは、今は使ってない。
「話せば長くなるから、とりあえずそこへ座りなよ」
ってタマに言われて、向かいの席に座って話を聞く事にした。
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