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夢の内容を元に書いたイオ視点の話

第22話:魔法はノリと勢いで発動する

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「よ~し授業始めるぞ~」

 先生が入って来た。

 って、ここのクラス担任、松本係長なのか。

 体育学部で審判してたから、あっちの担任かと思ってたら、違った。
 担任は魔法学部のクラスで、体育学部には格闘技系の審判と指導に入ってるらしい。

「今日はモチとイオが初授業だから、とりあえずみんな自分が覚えた魔法を使って見せてやれ」

 …お? みんなの魔法が見れる?

 でも普通は自己紹介からなんでは?
 って思ってたら…

「ここのクラス、我が社の人間ばかりだから自己紹介は省略で」

 …省略されちゃったよ。

 まあ、既に知ってる人に自己紹介しなくていいよね。

 異世界転移して目を覚ましたのはモチと俺が最後で、他のメンバーは魔法が使えるところまで進んでる。
 みんな順番に、覚えた魔法を使って見せてくれた。

 魔法の練習は屋外で。


「ファイヤボール!」

 野球ボールくらいの火球を飛ばす子。

「アイスニードル!」

 鋭く尖った氷の刃を複数飛ばす子。

「ストーンブラスト!」

 鉄砲玉みたいに小石を複数飛ばす子。

「ストーム!」

 突風を起こして的を吹き飛ばしちゃう子。


 …うん、ゲームやアニメでお馴染みの属性魔法だね。
 ちなみに、江原が使う蘇生魔法はみんなの予想通り聖属性だ。


「係長!俺も魔法使ってみていいスか?」

 モチ、みんなを見てたら魔法発動のコツが掴めた様子。

「爆裂系って攻撃魔法か? 試していいぞ。 あと、ここでは係長じゃなくて先生と呼べ」
「はーい!」

 後半にツッコミを含みつつ許可する松本係長あらため松本先生。
 わくわくしながら練習用の広場に入るモチ。

「そうだ、ついでにイオの完全回避とかいうのも見せてみろ」
「え?」

 いきなり思いついたみたいに言われたんだけど。

「あそこの的の隣に立ってろ」
「…マジっすか」
「心配無い、我がクラスには優秀な蘇生魔法使いがいる」
「それって死なないと使えないんじゃ…」
「大丈夫、もしも死にかけだったらトドメさしてやる」

 松本先生、俺の扱い雑じゃない?

 軽く困惑しつつ俺も広場へ。

「モチ、魔法はイメージ、発動はノリと勢いだ。やってみろ」
「いっきまぁす!」


 ノリノリなモチが、発動させた魔法は…

自爆メガンテ!」

 …ちゅど~んっっ!!!

 爆発音が響いた。

 …が。


「………へ?!」

 的の隣に立ってる俺、ポカーン。

 えーと…

 俺、無傷。
 隣にある的も、無傷。

「モチどこいった?!」

 魔法を使ったモチが消えた。

 他の生徒たちも、困惑しながらキョロキョロと辺りを見回してる。

 フーッと溜息ついたのは、松本先生。

「……江原、モチに蘇生魔法かけてやれ」
「はい」

 松本先生に言われ、江原が蘇生魔法を起動した。

死者蘇生ザオリク!」

 聖属性のトップクラスの魔法なだけあって、その魔法の発動は神々しかった。
 江原の周囲に金色の光の粒子が舞って、それが集まり人の形になったと思ったら、モチに変わった。

「……………」

 動揺してるらしく、鼻の穴広げて真顔で固まってるモチ。

「モチ、お前さっき何した?」

 俺は聞いてみた。

 モチはしばらく考えて、思い出して、答えた。

「爆発する魔法をイメージしたら、浮かんだのがあの魔法だった…」
「………アホか。自爆してどうする」

 ツッコミを入れたのは、松本先生。


 その日、モチは禁断の魔法【自爆メガンテ】を覚えた。
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