205 / 428
前世編
第83話:魔王の心臓
しおりを挟む
「アズは無事に砦を守れたみたいだニャ」
朝食の席でエカからの報告を受けた王様は、少しホッとした様子だった。
「魔族は、アカツキ王国の何を狙ってるんですか?」
朝食のパンを手に、エカは聞いた。
修行後の大食いは一時的なもので、翌朝にはいつも食べる量に戻っていた。
アズが毎日大食いだったのは、毎日修行していたという事だろうね。
「それをこれからエカに破壊してもらうニャ」
と言う王様は、食後に1冊の書物を見せてくれた。
その書物によれば、魔王は本体と離れた場所に複数の心臓を隠しており、倒すには心臓を全て爆裂魔法で破壊しないといけないという。
「あちらの国王が転移門を開放してくれたから、ここからアカツキ王国へ行けるニャン」
お城の転送陣に足を踏み入れると、王様とエカとソナの3人は、アカツキ王国のお城へ転送された。
外国ではあるけれど、お城の壁の造りなど基本的な建築技術は似ている。
「よく来たニャ」
そう言って出迎えてくれたのは、でっぷり太った三毛猫人のアカツキ国王。
アサケ国王とそっくりだ。
「兄上、あれを破壊出来る勇者を連れて来たニャン」
「やっと魔族の襲撃の日々が終わるんだニャ」
三毛猫王たちは、並ぶとどっちがどっちか分からなくなる。
そんな王様たちに案内されて、エカとソナはお城の地下へ進む。
エカの爆裂魔法で破壊してほしいものは、アカツキ王城の地下に隠されていた。
「これが発見された魔王の心臓の1つニャ」
それは心臓というより、黒い水晶の塊に見えた。
結晶の中心辺りで、濃い影のようなものが揺らめいて見える。
「この結晶の内部に集中して、爆裂魔法を撃ってほしいのニャ」
「分かりました」
もうどっちか分からない三毛猫国王が依頼する。
エカが黒水晶に手をかざして爆裂魔法を起動しかけた時、視界の端に影のようなものが動いて見える。
キンッ! と金属が金属を弾いたような音がした。
エカのすぐ傍に瞬間移動してきたかのようにアズが現れ、同じく突然姿を現した黒髪の少年の剣を弾く。
「チッ!」
襲撃を妨げられた黒髪の少年が舌打ちした。
矛先を変えてソナに襲い掛かろうとする少年を、アズの斬撃が返り討ちにする。
袈裟懸けに切り裂かれた少年は、黒い粒子と化して消滅した。
その様子を横目で見ながら、エカは魔法を起動する。
ソナの安全は確信していた。
黒髪の少年、魔王の分身よりも、アズの方が圧倒的に速く強いと感じる。
落ち着いたエカが黒水晶にかざした手の周囲に、無色透明な泡のようなものが舞う。
「爆破消滅!」
起動言語と共に、魔王の心臓と言われる黒水晶は粉々に砕けて消滅した。
朝食の席でエカからの報告を受けた王様は、少しホッとした様子だった。
「魔族は、アカツキ王国の何を狙ってるんですか?」
朝食のパンを手に、エカは聞いた。
修行後の大食いは一時的なもので、翌朝にはいつも食べる量に戻っていた。
アズが毎日大食いだったのは、毎日修行していたという事だろうね。
「それをこれからエカに破壊してもらうニャ」
と言う王様は、食後に1冊の書物を見せてくれた。
その書物によれば、魔王は本体と離れた場所に複数の心臓を隠しており、倒すには心臓を全て爆裂魔法で破壊しないといけないという。
「あちらの国王が転移門を開放してくれたから、ここからアカツキ王国へ行けるニャン」
お城の転送陣に足を踏み入れると、王様とエカとソナの3人は、アカツキ王国のお城へ転送された。
外国ではあるけれど、お城の壁の造りなど基本的な建築技術は似ている。
「よく来たニャ」
そう言って出迎えてくれたのは、でっぷり太った三毛猫人のアカツキ国王。
アサケ国王とそっくりだ。
「兄上、あれを破壊出来る勇者を連れて来たニャン」
「やっと魔族の襲撃の日々が終わるんだニャ」
三毛猫王たちは、並ぶとどっちがどっちか分からなくなる。
そんな王様たちに案内されて、エカとソナはお城の地下へ進む。
エカの爆裂魔法で破壊してほしいものは、アカツキ王城の地下に隠されていた。
「これが発見された魔王の心臓の1つニャ」
それは心臓というより、黒い水晶の塊に見えた。
結晶の中心辺りで、濃い影のようなものが揺らめいて見える。
「この結晶の内部に集中して、爆裂魔法を撃ってほしいのニャ」
「分かりました」
もうどっちか分からない三毛猫国王が依頼する。
エカが黒水晶に手をかざして爆裂魔法を起動しかけた時、視界の端に影のようなものが動いて見える。
キンッ! と金属が金属を弾いたような音がした。
エカのすぐ傍に瞬間移動してきたかのようにアズが現れ、同じく突然姿を現した黒髪の少年の剣を弾く。
「チッ!」
襲撃を妨げられた黒髪の少年が舌打ちした。
矛先を変えてソナに襲い掛かろうとする少年を、アズの斬撃が返り討ちにする。
袈裟懸けに切り裂かれた少年は、黒い粒子と化して消滅した。
その様子を横目で見ながら、エカは魔法を起動する。
ソナの安全は確信していた。
黒髪の少年、魔王の分身よりも、アズの方が圧倒的に速く強いと感じる。
落ち着いたエカが黒水晶にかざした手の周囲に、無色透明な泡のようなものが舞う。
「爆破消滅!」
起動言語と共に、魔王の心臓と言われる黒水晶は粉々に砕けて消滅した。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
トレジャーキッズ
著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。
ただ、それだけだったのに……
自分の存在は何のため?
何のために生きているのか?
世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか?
苦悩する子どもと親の物語です。
非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。
まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。
※更新は週一・日曜日公開を目標
何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。
【1】のみ自費出版販売をしております。
追加で修正しているため、全く同じではありません。
できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)

領地育成ゲームの弱小貴族 ~底辺から前世の知識で国強くしてたらハーレムできてた~
黒おーじ
ファンタジー
16歳で弱小領地を継いだ俺には前世の記憶があった。ここは剣と魔法の領地育成系シュミレーションゲームに似た世界。700人の領民へ『ジョブ』を与え、掘削や建設の指令を出し、魔境や隣の領土を攻めたり、王都警護の女騎士やエルフの長を妻にしたりと領地繁栄に努めた。成長していく産業、兵力、魔法、資源……やがて弱小とバカにされていた辺境ダダリは王国の一大勢力へと上り詰めていく。
※ハーレム要素は無自覚とかヌルいことせずにガチ。
悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪
naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。
「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」
そして、目的地まで運ばれて着いてみると………
「はて?修道院がありませんわ?」
why!?
えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって?
どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!!
※ジャンルをファンタジーに変更しました。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く
burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。
最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。
更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。
「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」
様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは?
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる