195 / 428
前世編
第73話:異世界人捕獲
しおりを挟む
「言ってる意味が分かってるのか? お前は……」
言いかけたところで、黒髪の少年は突然昏倒した。
いきなり崩れるように倒れて、そこからピクッとも動かない。
誰も何もしてないのに。
何も異常は無かったのに。
アズの姿がほんの少しブレて見えた以外は。
「「え?!」」
「「「にゃ?!」」」
少年が何を言い出すか察して焦っていたエカ&ソナも、仔犬が魔族だと聞いて困惑中のクロエ&チャデ&マリンも、驚きの声を上げる。
「……誰だ?!」
ダイキチさんは冒険者のカンで、少年は何者かに倒されたと気付いて辺りを見回した。
でもこの付近には、パーティーメンバー以外は誰もいないみたい。
「これ異世界人だよね? とりあえず保護するよ」
アズだけが、冷静だ。
彼は着ている道着の懐に仔犬を入れて、ベルトポーチから透明な玉を取り出すと、倒れている少年に投げる。
少年は片手に収まるような小さな玉の中に吸い込まれてしまった。
捕獲玉。
動植物学部の購買で買える、生物を生きたまま捕獲する魔道具だよ。
仔犬が脱走した時にモモンから渡された物で、万が一に備えて今もパーティメンバー全員が持っていた。
「死んじゃったの?」
「生きてるよ。気絶しただけ」
ソナの問いに、アズが答える。
その言葉通り、捕獲玉の中にいる少年の心臓は普通に動いてるし、呼吸も問題無かった。
「エカ、お城に帰るついでにこれ届けてもらえる?」
「いいよ」
アズはエカに捕獲玉を預けた。
異世界人は王家が保護するそうだから、この性格悪そうな子も王様に引き渡しておけば間違いないだろうね。
学園にはこちらの事情を理解してから来てほしい。
エカもアズも、学園では猫人として生活していて、クロエたちは世界樹の民だって事は知らないから。
彼はこの世界について、どこまで知ってるんだろう?
アズの正体をバラされそうになって焦ったけど、少年が謎の気絶してくれて助かった。
一体どうしたんだろうね?
苦しんだ様子は無く、突然フッと目の焦点が合わなくなって倒れたけど。
「ルル、どうしてここに? どうやって元の姿に戻った?」
帰り道、アズは懐に入れた仔犬に聞いてみたけど……
「ク~ン」
……残念ながら、会話は成立しなかった。
魔族だとか言われていた仔犬ルルは、言葉を話せないらしい。
昨日みたいに人化すれば、話せるのかな?
でも、人化してた時も喋ってなかったな。
昨日のルルは、風呂でのぼせてボンヤリしてるか眠っているかで、会話どころじゃなかったけどね。
人化した状態で飼育棟にいる筈のルルが、仔犬に戻ってここにいるのも謎だ。
「飼育棟へ行って、モモンに聞いてみた方がいいわね」
クロエの提案で、一同は飼育棟へ向かった。
言いかけたところで、黒髪の少年は突然昏倒した。
いきなり崩れるように倒れて、そこからピクッとも動かない。
誰も何もしてないのに。
何も異常は無かったのに。
アズの姿がほんの少しブレて見えた以外は。
「「え?!」」
「「「にゃ?!」」」
少年が何を言い出すか察して焦っていたエカ&ソナも、仔犬が魔族だと聞いて困惑中のクロエ&チャデ&マリンも、驚きの声を上げる。
「……誰だ?!」
ダイキチさんは冒険者のカンで、少年は何者かに倒されたと気付いて辺りを見回した。
でもこの付近には、パーティーメンバー以外は誰もいないみたい。
「これ異世界人だよね? とりあえず保護するよ」
アズだけが、冷静だ。
彼は着ている道着の懐に仔犬を入れて、ベルトポーチから透明な玉を取り出すと、倒れている少年に投げる。
少年は片手に収まるような小さな玉の中に吸い込まれてしまった。
捕獲玉。
動植物学部の購買で買える、生物を生きたまま捕獲する魔道具だよ。
仔犬が脱走した時にモモンから渡された物で、万が一に備えて今もパーティメンバー全員が持っていた。
「死んじゃったの?」
「生きてるよ。気絶しただけ」
ソナの問いに、アズが答える。
その言葉通り、捕獲玉の中にいる少年の心臓は普通に動いてるし、呼吸も問題無かった。
「エカ、お城に帰るついでにこれ届けてもらえる?」
「いいよ」
アズはエカに捕獲玉を預けた。
異世界人は王家が保護するそうだから、この性格悪そうな子も王様に引き渡しておけば間違いないだろうね。
学園にはこちらの事情を理解してから来てほしい。
エカもアズも、学園では猫人として生活していて、クロエたちは世界樹の民だって事は知らないから。
彼はこの世界について、どこまで知ってるんだろう?
アズの正体をバラされそうになって焦ったけど、少年が謎の気絶してくれて助かった。
一体どうしたんだろうね?
苦しんだ様子は無く、突然フッと目の焦点が合わなくなって倒れたけど。
「ルル、どうしてここに? どうやって元の姿に戻った?」
帰り道、アズは懐に入れた仔犬に聞いてみたけど……
「ク~ン」
……残念ながら、会話は成立しなかった。
魔族だとか言われていた仔犬ルルは、言葉を話せないらしい。
昨日みたいに人化すれば、話せるのかな?
でも、人化してた時も喋ってなかったな。
昨日のルルは、風呂でのぼせてボンヤリしてるか眠っているかで、会話どころじゃなかったけどね。
人化した状態で飼育棟にいる筈のルルが、仔犬に戻ってここにいるのも謎だ。
「飼育棟へ行って、モモンに聞いてみた方がいいわね」
クロエの提案で、一同は飼育棟へ向かった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
トレジャーキッズ
著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。
ただ、それだけだったのに……
自分の存在は何のため?
何のために生きているのか?
世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか?
苦悩する子どもと親の物語です。
非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。
まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。
※更新は週一・日曜日公開を目標
何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。
【1】のみ自費出版販売をしております。
追加で修正しているため、全く同じではありません。
できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)

魔神として転生した~身にかかる火の粉は容赦なく叩き潰す~
あめり
ファンタジー
ある日、相沢智司(アイザワサトシ)は自らに秘められていた力を開放し、魔神として異世界へ転生を果たすことになった。強大な力で大抵の願望は成就させることが可能だ。
彼が望んだものは……順風満帆な学園生活を送りたいというもの。15歳であり、これから高校に入る予定であった彼にとっては至極自然な願望だった。平凡過ぎるが。
だが、彼の考えとは裏腹に異世界の各組織は魔神討伐としての牙を剥き出しにしていた。身にかかる火の粉は、自分自身で払わなければならない。智司の望む、楽しい学園生活を脅かす存在はどんな者であろうと容赦はしない!
強大過ぎる力の使い方をある意味で間違えている転生魔神、相沢智司。その能力に魅了された女性陣や仲間たちとの交流を大切にし、また、住処を襲う輩は排除しつつ、人間世界へ繰り出します!
※番外編の「地球帰還の魔神~地球へと帰った智司くんはそこでも自由に楽しみます~」というのも書いています。よろしければそちらもお楽しみください。本編60話くらいまでのネタバレがあるかも。

領地育成ゲームの弱小貴族 ~底辺から前世の知識で国強くしてたらハーレムできてた~
黒おーじ
ファンタジー
16歳で弱小領地を継いだ俺には前世の記憶があった。ここは剣と魔法の領地育成系シュミレーションゲームに似た世界。700人の領民へ『ジョブ』を与え、掘削や建設の指令を出し、魔境や隣の領土を攻めたり、王都警護の女騎士やエルフの長を妻にしたりと領地繁栄に努めた。成長していく産業、兵力、魔法、資源……やがて弱小とバカにされていた辺境ダダリは王国の一大勢力へと上り詰めていく。
※ハーレム要素は無自覚とかヌルいことせずにガチ。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる