151 / 428
前世編
第29話:回避は神、防御は紙
しおりを挟む
幸運の一撃を習得してから、青空洞窟攻略難易度は一気に下がった。
どのくらい下がったかって言うと………
「おりゃあっ!」
「ピイィーッ!」
………チャデの斬撃一閃で中ボスを倒せちゃったくらい。
「えっ?!」
「私達、出番無し?」
追い打ち予定で構えてたエカとクロエが、ポカンとしちゃったよ。
「あはは、ハウカは回避が凄い代わりに防御は紙なんだよ」
OBのダイキチさんが笑いながら言う。
エカたちの引率担当OBとしてすっかり馴染みになったダイキチさんは、キジトラという焦げ茶色っぽいシマシマ模様の毛色で、大柄でガッシリした体格の猫人だ。
「回避が神で、防御は紙?」
鼻の穴広げて真顔になりつつ、エカは呟く。
「それ、俺の同期も言ってたな」
そう言うダイキチさんがまた笑った。
「秋の森へ進む前に、夏の森で憩いの場になってる洞窟を教えてやるよ」
「え? ダンジョンに憩いの場なんてあるの?」
「夏夜の夢洞窟ってところでな、星空と光る植物があって幻想的なんだ。魔物は逃げるだけで襲ってこないから、寝転がってノンビリ出来るオススメの休憩所さ」
予想より早く検定の戦闘が終わり、時間が余ったエカたちは夏の森をゾロゾロ歩いて行った。
ダイキチさんオススメの休憩所は、思ってた以上に綺麗な風景が広がる洞窟だった。
通路は、左右の岩壁に光る石がはえていて、ほんのり明るいから光魔法の照明要らず。
通路に現れるのは、真っ白い身体と鳥みたいな翼、1本の小さな角を持つウサギに似た生き物。
それは魔物ではなく夢幻種という生き物で、こちらの姿を見ただけで逃げてゆく。
洞窟の奥は広くなっていて、光る木々と草、天井には満天の星空が広がる幻想的な風景が広がっていた。
「ここで草の上に寝転がるといいぞ」
ダイキチさんはそう言って、自ら寝転がってみせる。
エカたちも真似して寝転がった。
リーン、リーン、と鈴のような音がする。
寝転がった光る草の中から、小さな緑の光がフワァッと幾つも舞い上がった。
「しっかしお前ら進級ぺース早いよな。他の生徒たちはまだ初級をクリアしたくらいだぞ」
「エカなんて2ヶ月で中級クリアよ」
ダイキチさんが言うように、実習開始から3ヶ月経った時期、平均ぺースならダンジョン初級検定を受ける頃だ。
「お前らなら、卒業したらA級冒険者くらい余裕でなるかもな。俺の自慢にしておくぜ」
ダイキチさん、嬉しそうに言う。
自慢にすると言われて、エカたちも嬉しそう。
「卒業したら、このまま冒険者パーティ登録してもいいかもね」
クロエが微笑んで言う。
ダンジョン実習パーティは卒業後そのまま冒険者パーティを組む事が多いそうで、ダイキチさんも在学時のメンバーと組んでるそうだよ。
エカたちも、このまま冒険者パーティになるのかな?
どのくらい下がったかって言うと………
「おりゃあっ!」
「ピイィーッ!」
………チャデの斬撃一閃で中ボスを倒せちゃったくらい。
「えっ?!」
「私達、出番無し?」
追い打ち予定で構えてたエカとクロエが、ポカンとしちゃったよ。
「あはは、ハウカは回避が凄い代わりに防御は紙なんだよ」
OBのダイキチさんが笑いながら言う。
エカたちの引率担当OBとしてすっかり馴染みになったダイキチさんは、キジトラという焦げ茶色っぽいシマシマ模様の毛色で、大柄でガッシリした体格の猫人だ。
「回避が神で、防御は紙?」
鼻の穴広げて真顔になりつつ、エカは呟く。
「それ、俺の同期も言ってたな」
そう言うダイキチさんがまた笑った。
「秋の森へ進む前に、夏の森で憩いの場になってる洞窟を教えてやるよ」
「え? ダンジョンに憩いの場なんてあるの?」
「夏夜の夢洞窟ってところでな、星空と光る植物があって幻想的なんだ。魔物は逃げるだけで襲ってこないから、寝転がってノンビリ出来るオススメの休憩所さ」
予想より早く検定の戦闘が終わり、時間が余ったエカたちは夏の森をゾロゾロ歩いて行った。
ダイキチさんオススメの休憩所は、思ってた以上に綺麗な風景が広がる洞窟だった。
通路は、左右の岩壁に光る石がはえていて、ほんのり明るいから光魔法の照明要らず。
通路に現れるのは、真っ白い身体と鳥みたいな翼、1本の小さな角を持つウサギに似た生き物。
それは魔物ではなく夢幻種という生き物で、こちらの姿を見ただけで逃げてゆく。
洞窟の奥は広くなっていて、光る木々と草、天井には満天の星空が広がる幻想的な風景が広がっていた。
「ここで草の上に寝転がるといいぞ」
ダイキチさんはそう言って、自ら寝転がってみせる。
エカたちも真似して寝転がった。
リーン、リーン、と鈴のような音がする。
寝転がった光る草の中から、小さな緑の光がフワァッと幾つも舞い上がった。
「しっかしお前ら進級ぺース早いよな。他の生徒たちはまだ初級をクリアしたくらいだぞ」
「エカなんて2ヶ月で中級クリアよ」
ダイキチさんが言うように、実習開始から3ヶ月経った時期、平均ぺースならダンジョン初級検定を受ける頃だ。
「お前らなら、卒業したらA級冒険者くらい余裕でなるかもな。俺の自慢にしておくぜ」
ダイキチさん、嬉しそうに言う。
自慢にすると言われて、エカたちも嬉しそう。
「卒業したら、このまま冒険者パーティ登録してもいいかもね」
クロエが微笑んで言う。
ダンジョン実習パーティは卒業後そのまま冒険者パーティを組む事が多いそうで、ダイキチさんも在学時のメンバーと組んでるそうだよ。
エカたちも、このまま冒険者パーティになるのかな?
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
トレジャーキッズ
著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。
ただ、それだけだったのに……
自分の存在は何のため?
何のために生きているのか?
世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか?
苦悩する子どもと親の物語です。
非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。
まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。
※更新は週一・日曜日公開を目標
何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。
【1】のみ自費出版販売をしております。
追加で修正しているため、全く同じではありません。
できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)

魔神として転生した~身にかかる火の粉は容赦なく叩き潰す~
あめり
ファンタジー
ある日、相沢智司(アイザワサトシ)は自らに秘められていた力を開放し、魔神として異世界へ転生を果たすことになった。強大な力で大抵の願望は成就させることが可能だ。
彼が望んだものは……順風満帆な学園生活を送りたいというもの。15歳であり、これから高校に入る予定であった彼にとっては至極自然な願望だった。平凡過ぎるが。
だが、彼の考えとは裏腹に異世界の各組織は魔神討伐としての牙を剥き出しにしていた。身にかかる火の粉は、自分自身で払わなければならない。智司の望む、楽しい学園生活を脅かす存在はどんな者であろうと容赦はしない!
強大過ぎる力の使い方をある意味で間違えている転生魔神、相沢智司。その能力に魅了された女性陣や仲間たちとの交流を大切にし、また、住処を襲う輩は排除しつつ、人間世界へ繰り出します!
※番外編の「地球帰還の魔神~地球へと帰った智司くんはそこでも自由に楽しみます~」というのも書いています。よろしければそちらもお楽しみください。本編60話くらいまでのネタバレがあるかも。

領地育成ゲームの弱小貴族 ~底辺から前世の知識で国強くしてたらハーレムできてた~
黒おーじ
ファンタジー
16歳で弱小領地を継いだ俺には前世の記憶があった。ここは剣と魔法の領地育成系シュミレーションゲームに似た世界。700人の領民へ『ジョブ』を与え、掘削や建設の指令を出し、魔境や隣の領土を攻めたり、王都警護の女騎士やエルフの長を妻にしたりと領地繁栄に努めた。成長していく産業、兵力、魔法、資源……やがて弱小とバカにされていた辺境ダダリは王国の一大勢力へと上り詰めていく。
※ハーレム要素は無自覚とかヌルいことせずにガチ。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる