【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

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前世編

第20話:また飛び級?

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「アハハッ、それでエカは上位水魔法を使ったのか」

 夕食の席で、エカたちのお父上ジャスさんが爆笑して言った。
 ジャスさんのセカンドネームはジャシンス。
 愛称のジャスで呼んでいいと許可をもらったので、ジャスさんと呼ぶ事にしたよ。

「フフッ、からかわれてムキになっちゃうところ、ジャスそっくりね」

 フィラさんも笑ってる。
 お母上のセカンドネームはネモフィラで、こちらも愛称でいいとの事でフィラさんと呼ぶようになった。

「中等部でもまだ下位攻撃魔法だなんて、聞いてなかったよ」

 煮魚をほぐすハシを止めて、エカが苦笑して言う。
 エテルの街で売られている煮魚とシロメシ。
 それを気に入ったセレスト家では、フィラさんが作り方を覚えて家庭料理になっていた。

 シロメシを食べるのに向いているというハシは、異世界人がエテルの街に伝えた物。
 2本の細い棒で小さな物をつまむ細かい動作が、魔法操作や武技の上達に役立つそうで、セレスト家でも使うようになった。

「それでエカ、また飛び級するの?」

 魚と一緒に煮た根菜を、モグモグゴックンしたアズが聞いてくる。
 少し辛味のある白い根菜は、異世界人がダイコンと呼んで調理法を伝えた物で、魚と一緒に煮ると凄く美味しくなるよ。

「うん。さすがに1日で飛び級は無かったけど、1ヶ月後に高等部に移る事になったよ」

 またもや飛び級が決まったエカ。
 中等部では下位魔法しか扱わない。
 上位魔法が使えるなら、魔物狩り実習がある高等部の方がいいと言われていた。

「高等部からはダンジョン実習があるよね?」
「うん。最初は春の森の弱い魔物からで、生徒の能力に合わせてダンジョンを選んで行くらしいよ」

 アズに聞かれて、エカは中等部の担任から聞いた事を教えた。

「攻撃魔法科は後方火力ばかりだから、武道科と合同になるって先生が言ってたよ」
「そうなんだ。俺も早く高等部になりたいなぁ」

 エカの話を、アズは羨ましそうに聞いている。
 まだ初等部のアズがダンジョンに行けるのは、当分先の事だった。

 全寮制のアサケ学園、世界樹の子供たちも2人1組で寮の1室を与えられた。
 その部屋には特別に転送陣が設置してあり、エカたちは学園と自宅を自由に行き来が出来るんだよ。
 それは、里の外では本来の姿に戻れないから、元の体の動かし方を忘れないようにって、王様が配慮してくれたもの。
 もちろん、他の猫人生徒たちには内緒だ。
 夕食は寮の食堂でも食べられるけど、エカとアズは好物の煮魚の日には実家で夕食をとっていた。

 夕食後。
 寮の大浴場で先に入浴を済ませたエカが、部屋に戻るとアズがいなかった。

「アズ、どこ行ったんだろ?」
「お風呂場にはまだ来てなかったよね?」

 首を傾げるエカの右手からシュルンと出て、ボクは話しかける。
 寮の部屋ではこんな感じで、エカの手から出て実体化して話す事が多かった。

『ねえベノワ、アズは今どこにいるの?』

 ベノワに念話を送ったんだけど、返事は無かった。
 何処へ行ったのかな?
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