【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

文字の大きさ
上 下
136 / 428
前世編

第14話:冬の街イベル

しおりを挟む
 王様が最後に連れて行ってくれた街は、冬の森に隣接するイベルという街。
 一年中雪と氷に閉ざされた地域で、凍った湖に穴を開けて釣り上げる魚と、洞窟内で捕れるタワバという8本足の硬い殻を持つ魔物や、鳥系魔物の肉や加工品が特産だ。

 タワバは美味しいので大人気だけど、硬い殻を持つので狩りには技術が要るらしい。
 だから値段は高くて、タワバは高級食材になってるよ。

「エカとアズは、学園で学べばこれを狩れるようになるニャ」

 王様はそう言って、タワバを御馳走してくれた。

 屋台の炭火で殻ごと焼かれたタワバは、香ばしい香りがして、弾力のある身は塩気と旨味があって美味しい。

「うまぁい!」
「早く狩れるようになりたいなぁ」

 タワバの美味さで、エカたちのヤル気が3倍上がった気がする。


「この街には食べ物以外にもう1つ、大人気のものがあるニャン」

 タワバを食べ終えた後、王様が案内してくれた場所は…

「それはここ、温泉ニャ~!」

 …天然温泉だよ。

「イベルの街が管理する温泉は、街で買い物をすると貰えるチケットで入れるニャン」

 王様はそう言いながら、受付でチケットを出して先に進んでゆく。
 受付で渡されたタオルを手に、太いお腹をユッサユッサ揺らして温泉に向かう三毛猫人の後を、4人の仔猫人たちがそれぞれタオルを手にチョロチョロと続いた。

「うわぁ! おっきいお風呂!」

 湯気を立てる広々とした池…じゃなくて、温泉を見て、エカが声を上げる。
 家にあるお風呂とは、大きさが全然違うね。

「温泉は普通のお湯と違って、出た後もしばらくポカポカと身体が温かいニャン」

 王様が温泉の手前にある手桶を取り、お湯を汲んで自分の身体にザバーッとかけてから、温泉の中に入ってゆく。

 王様、猫人って身体が濡れると毛がペタンとして縮む筈だけど。
 全然縮まないんだね。

「みんなも、かけ湯をしてから入るニャ」
「「「「は~い!」」」」

 王様に温泉マナーを教えられて、エカたちも手桶にお湯を汲んで自分の身体にかける。
 仔猫人たちは毛がペタンとしたら、2回りほど細くなった。

 猫人の身体は、男女の違いがほとんど無い。
 世界樹の民の女性にある胸の膨らみは、猫人では授乳期の母親だけで、普段は男性と変わらない。
 男性はタマタマがあるけど、尻尾で隠れるからパッと見ただけじゃ分からなかった。
 幼猫人に至ってはタマタマも発達してないから、男女の区別はほとんどつかない。

 そんなわけで、猫人の街の温泉は混浴だ。
 王様もエカもアズも、ローズとエアも、男女関係なく一緒に温泉に入り、ワイワイ盛り上がって広いお風呂を楽しんだ。


「これでアサケ王国の王都、四季の街は見学完了ニャ。あとは入学してから四季の森やダンジョンを案内してもらえるニャン」

 世界樹の里に戻った後、王様は言った。

「ダンジョン、タワバが穫れるところも行ける?」

 エカは美味しいタワバを早く狩りたくて、うずうずしてるみたいだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

トレジャーキッズ

著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。 ただ、それだけだったのに…… 自分の存在は何のため? 何のために生きているのか? 世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか? 苦悩する子どもと親の物語です。 非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。 まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。 ※更新は週一・日曜日公開を目標 何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。 【1】のみ自費出版販売をしております。 追加で修正しているため、全く同じではありません。 できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)

悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪

naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。 「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」 そして、目的地まで運ばれて着いてみると……… 「はて?修道院がありませんわ?」 why!? えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって? どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!! ※ジャンルをファンタジーに変更しました。

魔神として転生した~身にかかる火の粉は容赦なく叩き潰す~

あめり
ファンタジー
ある日、相沢智司(アイザワサトシ)は自らに秘められていた力を開放し、魔神として異世界へ転生を果たすことになった。強大な力で大抵の願望は成就させることが可能だ。 彼が望んだものは……順風満帆な学園生活を送りたいというもの。15歳であり、これから高校に入る予定であった彼にとっては至極自然な願望だった。平凡過ぎるが。 だが、彼の考えとは裏腹に異世界の各組織は魔神討伐としての牙を剥き出しにしていた。身にかかる火の粉は、自分自身で払わなければならない。智司の望む、楽しい学園生活を脅かす存在はどんな者であろうと容赦はしない! 強大過ぎる力の使い方をある意味で間違えている転生魔神、相沢智司。その能力に魅了された女性陣や仲間たちとの交流を大切にし、また、住処を襲う輩は排除しつつ、人間世界へ繰り出します! ※番外編の「地球帰還の魔神~地球へと帰った智司くんはそこでも自由に楽しみます~」というのも書いています。よろしければそちらもお楽しみください。本編60話くらいまでのネタバレがあるかも。

領地育成ゲームの弱小貴族 ~底辺から前世の知識で国強くしてたらハーレムできてた~

黒おーじ
ファンタジー
16歳で弱小領地を継いだ俺には前世の記憶があった。ここは剣と魔法の領地育成系シュミレーションゲームに似た世界。700人の領民へ『ジョブ』を与え、掘削や建設の指令を出し、魔境や隣の領土を攻めたり、王都警護の女騎士やエルフの長を妻にしたりと領地繁栄に努めた。成長していく産業、兵力、魔法、資源……やがて弱小とバカにされていた辺境ダダリは王国の一大勢力へと上り詰めていく。 ※ハーレム要素は無自覚とかヌルいことせずにガチ。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...