【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

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前世編

第10話:アズの幸運

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 そして最後は、アズの番だ。

福音鳥ハピネス主人マスターは、自分と周囲に幸運をもたらすと言い伝えられてるニャン」

 ニコニコしながらアズの肩をポンと軽く叩き、王様が教えてくれた。

福音鳥ハピネス主人マスターさんが来るのは、100年ぶりくらいですね~」
「そうなの?」
「はい、当協会の記録に残ってますよ」

 期待に目を丸くして、耳やヒゲをピーンと張るのは、受付のお姉さん。
 アズがガラガラを回すのを、王様とお姉さんが期待に満ちた顔で見つめてる。

 そして、出てきたのは…

 …光り輝く、虹色の玉!!!

「!!!」

 お姉さん、ハッとして今までと違う大きめハンドベルを掴んだ。
 ブンブンブンッ!と振られたそれ自体は、音は出ない。

「「「「????」」」」

 子供たちが揃って首を傾げた直後…

 ガラガラガラガラーッ!!!

 …街の中心にある時計台の鐘が、激しく鳴り響いた!

「「「「え?!」」」」

 揃って驚く子供たち。
 あちこちから猫人たちが駆け付けて来る。

「100年ぶりに、特賞が出ましたぁぁぁ~っ!!!」

 お姉さんが絶叫して、集まった人々がおぉ~っ!と歓声を上げた。

 …100年ぶりって事は、特賞を出せる運の持ち主は福音鳥ハピネス主人マスターくらいかな?

「特賞の賞品は港にあります。このチケットを持って港の事務所へどうぞ!」
「私が案内してあげるニャ、港はこっちニャン」

 アズは金色のカードみたいなのを渡されて、困惑しながら王様の後についてゆく。

「特賞って何もらえるのかな?」
「幻のお魚かな?」
「エカの釣り竿より凄い魔道具かも?」

 他の3人の子供たちもワクワクしながら後に続いた。


 港の事務所は、この街に住む漁師さんたちの漁業組合の管理事務所だった。

「遂にあれを受け取る奴が現れたか!」

 アズがチケットを見せると、事務所にいるシマシマの大柄な猫人が、目を輝かせて椅子から立ち上がる。

「よし、ついてこい」

 そう言われて、大きなシマシマ猫人について行くアズの後ろに、エカたちもゾロゾロついて行く。
 王様までニコニコしながらついてくるよ。

 案内されたのは、港の桟橋の先端だ。

「さあここだ。担当者を呼ぶからちょっと待ってろ」

 そう言うと、大きいシマシマ猫人は、桟橋の隅に置かれた箱から大きな巻貝を出して、楽器みたいに吹いた。

 ブオ~~~ッ! ブオ~~~ッ! ブオ~~~ッ!

 巻貝は独特の大きな音を海上に響かせる。

 すると、海面がザワザワと波立ち、ピョーンと飛び出したのは白い大きな魚。
 魚にしてはウロコが無くて、身体の表面はツヤツヤツルツルしてる。

「おめでとう~! では賞品があるところへご案内しますね」

 そう言いながら、白い奇妙な魚が桟橋のアズの近くへ寄って来る。

「…さ、魚が喋った…」
「彼女は魚じゃなくてデルフィナという海の精霊ニャ」

 後ろで鼻の穴広げて真顔で呟くエカに、王様が説明してくれた。

「では、私の背中に乗って下さい」
「は、はい」

 デルフィナに言われて、アズが恐る恐る桟橋から背中の上へ移動する。

「では、他の方はここでしばらくお待ち下さいね」

 そう言うと、デルフィナは滑るように水面近くを泳ぎ出した。
 アッという間に遠ざかってゆくデルフィナに乗って、アズは何処かへ連れて行かれてしまった。

 デルフィナ、アズをどこへ連れて行くの?
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