【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

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前世編

第5話:アサケ王国からの訪問者

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 ───アサケ王国。
 ニンゲンの文明が滅びた後、神が創った猫人の国。
 代々の国王は、世界樹の森への訪問を許された者。

 アサケ学園。
 自由な校風の王立学園。
 幼い子から成人間近の若者まで学ぶ事が出来る。

 世界樹の里には学び舎は無い。
 生まれた子供たちは里から出て学ぶ。
 アサケ王国と学園は、世界樹の子らの受け入れをしている。
 子供たちは猫人に姿を変えて、アサケ学園で社会を学ぶ…───

 アサケ国立学園図書館禁書【アサケ王国と世界樹の里】より



「今日はお客様が来るから家にいてね」

 お母上からそう言われて、お家で待っていたエカたち。

 玄関の扉をノックして、訪れたのはでっぷり太った三毛猫人だった。

「はじめまして。私はナゴ・アサケ。よろしくニャン」

 お腹をユッサユッサ揺らしながら、三毛猫人はニコニコ笑顔で挨拶する。
 猫人の事は聞いていたけど、エカもアズも会うのは初めてだ。

「モチ・エカルラート・セレストです。よろしくおねがいします」
「イオ・アズール・セレストです。よろしくおねがいします」

 エカとアズは、ちゃんと挨拶出来る子供たちに育っていた。

「エカ、アズ、あなたたちは来年から学校へ行くのよ」
「アサケ学園は楽しいぞ。しっかり学んでこい」

 御両親に言われて、エカもアズも一瞬キョトンとした。

「君たちには、この森を出て猫人の社会を知ってもらうのニャ」
「「森の外に出られるの?!」」

 ナゴの話を聞いた途端、双子たちはパアッと表情が明るくなった。
 好奇心旺盛な子供たちだから、早くも未知への期待でワクワクしてる。

「出られるぞ。父さんと母さんもアサケ学園で学んだからな」
「エカは魔法を、アズは剣術をメインにしたらいいわ」
「よーし、俺は魔法の名人になるぞぉ!」
「じゃあ、俺は剣術の名人になる!」

 双子たちはもう自らの得意分野が分ってたから、目指すものは決めてるみたいだ。

「では2人には、これを渡しておくニャ」

 ナゴはそう言って、エカとアズにそれぞれ腕輪を渡した。

「猫人に変身出来る魔法の腕輪ニャン」
「そのままの姿で森から出ると大騒ぎになるからな」

 またキョトンとする子供たちに、ナゴとお父上が説明してくれた。

 世界樹の民の存在は、歴史の勉強で一般人にも知られている。
 が、実際に世界樹の民に会った猫人はほぼいない。
 まして双子ともなれば、世界樹の勇者だ。
 大騒ぎになるのは、間違いないだろうね。
 それだけじゃなく、魔王の配下が子供のうちに始末しようと襲って来る危険もある。

「その腕輪で、猫人に変身して生活する事に慣れておいてほしいのニャ」
「はーい!」

 その日から、エカとアズは変身腕輪を使って、猫人になるトレーニングを開始した。
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