【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

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本作の元になった夢の話

真冬の夜の夢⑬

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 ブラックTをU川先生に引き渡した翌日。
 俺とモチとカジュちゃんの3人は、E藤君を含むU川先生担任の男子生徒たちから感謝されまくった。

「ありがとうっ」
「君たちのおかげで僕等は救われた!」
「ようやく魔王から開放されたよ」

 口々に言う男子生徒たちが握手を求めてくる。
 満面の笑みでそれに応えるカジュちゃんと、ちょっと照れながら握手に応じる俺とモチ。
 ブラックTを倒した事を感謝してるのだと思っていたんだけど、真実はちょっと違った。

 E藤君たちが言う【魔王】はブラックTではない。
 ブラックTのセリフを読み返してみよう。
 彼は自分が魔王だとは一言も言っていない。
 彼は、魔王を倒した双子を恨んでいただけだ。
 何故恨んでいたのか?
 倒された魔王は復活したりしないのか?

 ……全ての謎を、ここに記そう……


「Tちゃぁん、もぉ逃げちゃダメよぉ♥」

 草木も眠る丑三つ時、【ウダの館】にオネエっぽい声が響く。

「勘弁して下さい魔王様っ、私はノーマルなんですっ!」

 必死に許しを乞う、ノーマルらしい男の声もする。

「だぁ~め♥」

 けれど【魔王様】が勘弁してあげる事は無い。

「双子の勇者がアタシの○○○○じしゅきせいを壊したあの日から、アタシの心から悪は消えてしまったのよね~。代わりに生まれたのは愛するココロ♥」

 頬を赤らめ、クネクネするのはU川先生=元・魔王。
 邪悪さを失った魔王は、今や愛の狩人だ。

「ですからその愛は他に向けてくださいっ!」

 号泣しながら訴えるブラックTは、不幸にも魔王の好みにクリティカルヒットしてしまった側近である。
 発砲スチロール剣の音で失神したまま運ばれて以降、身体を拘束する謎生物に脱走を封じられたまま、イケナイコトをされる日々が続いている。

「ん~、人間の男のコも可愛いけどぉ、Tちゃんと並べると霞んじゃうのよねぇ」

 逃げないようにあの謎の生物で手足をぐるぐる巻きにしたブラックTの尻を、さわさわと撫でながら魔王は溜息をつく。
 撫でられたブラックTに鳥肌が立っている事は、気にしないらしい。
 ブラックTは拘束された時に脱皮直後の全裸だったから、今も服は着ていない。
 ぐるぐる巻きは首から腰までなので、尻は丸出しになっている。
 おかげで魔王はブラックTのお尻を触り放題だ。

「モチとイオとカジュちゃんには褒美をあげなきゃねぇ。こぉんなステキな拘束具付きで、Tちゃんをアタシのもとへ帰してくれたんだから♥」

 満面の笑みの魔王。
 変形セーターは、今もブラックTをしっかり捕まえている。
 2人とも不老不死だから、魔王には永遠の幸せ、ブラックTには永遠の不幸かもしれない。

(おのれ、双子の勇者とちっちゃい娘め。……いつか絶対、復讐するからな!)

 涙に濡れた眼で学生寮の方角を睨み、心に誓うブラックTなのだった。
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