【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

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本作の元になった夢の話

真冬の夜の夢⑨

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 3人(正確にはカジュちゃん1人)が手下のヘビを倒し終えた時。

 悪の化身・ブラックTは……

 ……爆睡していた(それでいいのか?)

 あまりにも気持ち良さそうにぐうぐう寝てるから、なんか非常に腹が立ってくる。

「「起きんかいっ」」

 ドカッ!

 俺とモチは同時に蹴りを入れた。

 しかし、起きない。
 床へ転がり落ちたブラックT、相変わらず熟睡だ。
 大いびきかいて寝てるぞ。

 こんな奴を倒す為に、吹雪の中に放り出されたのか?
 S谷先生が死んじゃったり、ゾンビになったり、蘇生魔法を覚えたりしたのか?
 F島先生の大鍋に落ちたり、激辛料理食わされそうになったり、火魔法を覚えたりしたのか?
 Y根さんに絶対零度の怒りを向けられたり、氷魔法を覚えたりしたのか?
 M本先生にしごかれたり、イノシシに追いかけられたり、スワンボート漕がされたりしたのか?
 U川先生に訳分らん武器もらったり、謎のデスト問題予告されたりしたのか?
 リユさんが謎のセーターくれたり、300メガ倍増だったりするのか?

 俺とモチは、これまでの苦労を思い出して、殺意が芽生えてくる。

「1人で爆睡しやがって……」

 モチがつかつかと歩み寄った。
 爆睡しているブラックTの頭をガシッと掴んだ。

「くらえ自爆呪文《メガンテ》!」

 ちゅど~んっ!

 って、モチの自爆に巻き込まれたのに、ブラックTは無傷で熟睡だ。

「お前が死んでどうするんだよ」

 俺はツッコミを入れつつ、モチに蘇生呪文《ザオリク》をかけてあげた。
 S谷さんの時に何回も失敗して練習したおかげで、今回は1発成功だ。
 爆発食らっても爆睡の奴には、雷を落としておこう。

「F島先生のコンロには使えない雷系呪文《ギガデイン》っ!」

 派手に雷が落ちたのに、髪の毛チリチリになったのに、ブラックTは爆睡だ。

「チャッカマンが無くてもこれで安心、炎系呪文《メラゾーマ》っ!」

 復活したモチも加勢する。
 あちこち焦げたけど、ブラックTは爆睡だ。

「Y根さんをより不機嫌にした水系呪文《みずびたし》っ!」
「製氷係のオジサンも覚えた氷系呪文マヒャドっ!」

 モチが大量の水をぶっかけて、俺がそれを凍結させても、ブラックTは爆睡だ。

 ……ふと、俺とモチは顔を見合わせる。

「モチ、水の呪文ってド〇クエにあったっけ?」
「無いっぽい。だから適当に名前つけた」

 ……適当でいいのか?
 発動してるから、多分いいんだろう。

「もぉっ、2人とも真面目にやってよっ!」

 背後でプリプリ怒るカジュちゃん。

「いや真面目に呪文を唱えてるんだけど……」

 俺たちはこれでも真面目にやってるんだぜ?
 ブラックTが全然起きないけど!
 雷やら炎やら水やら氷やらで衣服や髪がボロボロになっても、ブラックTは全く起きる気配が無い。

「ここまで熟睡されると何か腹立つわね。ユズ、やっちゃいなさい」

 イラッとしたらしく、肩にいるインコに命じるカジュちゃん。
 黄色いセキセイインコのユズは、ブラックTの顔面まで飛んでゆくと、その鼻先にガブリと噛みついた。

「痛ぇっ!」

 途端に飛び起きるブラックT。
 なんでやねん。

「……あんなに魔法くらっても寝てたクセに、インコに噛まれたくらいで起きるって一体……」

 呆れて脱力する俺たちは、この後何したらいいと思う?
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