【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

BIRD

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本作の元になった夢の話

真冬の夜の夢⑧

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 俺とモチが男子寮の1階通路に着くと、カジュちゃんがいた。
 カジュちゃんは扉にもたれるようにしながら立っていた。
 俺たちの足音に気付いたカジュちゃんは、振り向いて笑顔になる。

「やっと帰ってきたのねっ」

 ホッとした様子のカジュちゃん。
 でも俺たちは、その付近の異様な光景に目が釘付けになった。

 廊下には、しばき倒された巨大ヘビが大量に転がっている。
 天井には、頭をめり込ませた巨大ヘビたちがぶら下がっている。
 もちろん、壁にもヘビが複数、頭から刺さっているぞ。

「……そのヘビ、どうしたの?」

 また青ざめながら、モチが聞いた。
 一体ここで何があったんだろうか?

「あ、これ? ブラックTの手下なの。うちのユズが食べられそうになったから夢中で倒しちゃった」

 カジュちゃんの肩には、ペットの手乗りインコ「ユズ」がとまっている。
 ヘビたち、こんな小さな生き物を食べようとしたのか。
 食べるとこ少ないのに。
 っていうかそれを全部1人で倒したのか? カジュちゃん。

「も~大変だったのよ、大量にヘビが現れて。倒せるだけ倒して残りはブラックTと一緒に部屋の中に封印したら疲れちゃった。あたし、か弱いから」

 だって女の子だもん♥ と、恥らうカジュちゃん。

「か弱い……?」
「……かな?」

 顔を見合わせる俺とモチ。
 か弱い女の子のパンチで、巨大ヘビが天井や壁に刺さるかな?

「敵はこの部屋の中よ」

 そう言って、カジュちゃんは扉の前から退いた。

「毒ヘビもいるけど、2人とも元気だから噛まれても大丈夫よね」

 にっこり微笑むカジュちゃん。
 彼女にしばき倒されたヘビの中には、巨大コブラも混じってるぞ。

「「……いや死ぬって」」 

 俺とモチはハモりツッコミを入れた。

「大丈夫大丈夫♥ ほら、入って入って」

 容赦無いカジュちゃん。
 俺たちはグイグイ背中を押されながら部屋に入らされた。

 中には、まだ倒される前の巨大ヘビがドッサリいるけど!

「げ…」

 モチが顔を引き攣らせる。

 暖房の効いた室内でくつろいでいたヘビたちは、侵入者に気付いた途端に一斉に襲いかかってくる。
 俺たちは慌てて魔法を使おうとしたけど、その必要はなかった。

「きゃ~っ、やだ~っ、来ないで~~っ!」

 俺たちの背後にいたカジュちゃんが飛び出して、魔法で出した巨大ハンマーを手に、悲鳴を上げながらヘビたちをしばき倒してゆく。

 わずかな時間で、ヘビは全滅した。
 これ、俺たちいなくてもよくね?

「あ~怖かったぁ」

 倒し終えると、カジュちゃんは俺たちの背後に逃げてきて言う。

「「……どっちが?!」」

 同時に振り返り、俺たちはまたハモりツッコミを入れた。
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