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転生者モチ編
第13話:はじまりの書(画像あり)
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「モチ、これ読んでみて」
放課後に何処かへ出かけていたイオが、帰ってくると1冊の本を差し出した。
黒い表紙に金の文字、タイトルは【はじまりの書】。
俺は表紙をめくってみた。
予想通りといっていいのか、この世界のはじまりについて書いてある。
◇◆◇◆◇
【はじまりの書】より
原初、神は「ニンゲン」を創り、知恵を与えた。
ニンゲンは道具を創る事を覚え、やがて文明を築いた。
彼等の文明は驚くほど早く発展し、栄華を極める。
ニンゲンたちは、他の生き物たちへの影響を考えない。
文明の発展の陰で、多くの生き物が滅びていった。
神はそれを憂えて、ニンゲンを戒めようとした。
けれどそうする前に、彼等は自滅してゆく。
欲を極めた一部のニンゲン同士の争いが、世界を巻き込む戦争を呼ぶ。
ニンゲンは、自らが生み出した物によって、この世界から消滅した。
次に神は「ネコ」を創り、知恵を与えた。
しかし、ニンゲンの失敗を知る神は、文明の発展に抑制をかけた。
自然と共に生きるように。
戦争を起こさないように。
この書は、ニンゲンと同じ過ちを犯さぬ為の知識として、神霊タマ・ヌマタに託す。
◇◆◇◆◇
イオの話によれば、タマ・ヌマタというのは二足歩行の黒猫の姿をしているらしい。
霊感みたいなものがないと見えないので、俺がタマに会うことはなさそうだ。
今回俺が読ませてもらったのはタマが管理する禁書の1冊だとか。
俺にも関係する内容だから、見せるようにって言われたそうだ。
「この【ニンゲン】ってのが、もしかして俺たちの前世?」
「いや、違うらしいよ」
イオの話によれば、俺たちのこの容姿はニンゲンとは違う種族らしい。
ニンゲンとは、滅びた古代文明を築いた種族で、全滅したので末裔はいない。
俺たちの前世は、今のナーゴの文明で生きていたヒューマンタイプの別種族だそうだ。
「タマが見せてくれた俺の前世の映像には、猫人が一緒に映っていたよ」
イオは、ジャミさんが見せてくれたのとは違う映像を見せてもらったらしい。
この世界に来てから、プルミエタウン関係者以外のヒューマンタイプには会っていない。
アサケ王国は猫人ばかりの国みたいだけど、どこかにヒューマンがいるんだろうか?
「イオはどこからこの本を見つけてきたんだ?」
「禁書閲覧室だよ」
「秘密満載っぽい場所だな」
「図書館の通路の奥にある部屋だよ。霊が視えたら入ることができるらしい」
「それは、俺が入れないこと確定じゃないか」
イオには霊感があるけど、俺にはそんなもんは無い。
禁書閲覧室、行ってみたいけど残念ながら俺は入れないようだ。
本を読むことはできるみたいだから、また借りてきてもらおう。
本の影響だろうか?
その夜、俺は不思議な夢を見た。
緑の葉が茂る大木の根元に、跪く5人。
一番前に跪いている、赤い髪と青い髪の青年。
俺の意識は、赤い髪の青年の中にあった。
誰かから、話しかけられているようだけど、夢には音が無かった。
場面は切り替わり、どこかの家の中。
椅子に座った赤い髪の青年は泣いていて、膝や手に涙が次々に滴る。
同じ赤い髪の女性が、心配して声をかけたり、抱き締めたりしていた。
音が無いので、何を話しているかは分からない。
近くの揺り籠で寝ていた赤子が、突然泣き出す。
同時に、赤い髪の女性の右手から、炎を纏う鳥が現れた。
赤と金の羽毛、頭には冠羽があり、尾羽が長い。
アニメやゲームに出てくる不死鳥に似た鳥だ。
鳥は扉を通り抜け、猛然と飛び去っていく。
そこで夢は途切れ、俺は飛び起きた。
悪夢にうなされて目覚めた時のような、動悸と息切れ。
まだ夜中、明かりを消した室内は暗い。
非常灯代わりに、淡く発光する石がドアノブに付いていて、その光でぼんやりと室内の様子は見えた。
頬を何かが伝い、手で触れてみると、濡れた感触がある。
俺は自分が泣いていることに気付いた。
隣のベッドには、眠ったら朝まで爆睡のイオが寝ている。
夢に出てきた青い髪の青年は、イオの前世だろうか?
夢の続きが何か考えると、心の奥底に強い痛みに似たものを感じた。
これは、不安? それとも、哀しみ?
無意識に俺はベッドから降りるとイオに近付いて、その胸に耳を当ててみた。
規則正しい鼓動が聞こえたら、なんだかホッとしたような気がする。
そのまましばらく、俺はイオを抱き締めて声を出さずに泣いた。
イオは全然気付かない様子で、スヤスヤ寝ている。
俺は一体何をしてるんだろうか?
寝てるだけだって分かってるのに。
普通に息してるし、心臓だって動いてる。
抱き締めても爆睡したままだけど、身体は温かいじゃないか。
何を不安がることがあるんだろう?
ナーゴに来てから、俺は自分が何か違うものに変わった気がする。
それは、容姿だけではなく、心の奥底にある何かの影響かもしれない。
この夢のことを、俺は誰にも話さなかった。
前世と関係がありそうな気はするけれど。
俺の中の何かが、話すことを拒む。
だから自分の中だけに留めて、隠し続けた。
放課後に何処かへ出かけていたイオが、帰ってくると1冊の本を差し出した。
黒い表紙に金の文字、タイトルは【はじまりの書】。
俺は表紙をめくってみた。
予想通りといっていいのか、この世界のはじまりについて書いてある。
◇◆◇◆◇
【はじまりの書】より
原初、神は「ニンゲン」を創り、知恵を与えた。
ニンゲンは道具を創る事を覚え、やがて文明を築いた。
彼等の文明は驚くほど早く発展し、栄華を極める。
ニンゲンたちは、他の生き物たちへの影響を考えない。
文明の発展の陰で、多くの生き物が滅びていった。
神はそれを憂えて、ニンゲンを戒めようとした。
けれどそうする前に、彼等は自滅してゆく。
欲を極めた一部のニンゲン同士の争いが、世界を巻き込む戦争を呼ぶ。
ニンゲンは、自らが生み出した物によって、この世界から消滅した。
次に神は「ネコ」を創り、知恵を与えた。
しかし、ニンゲンの失敗を知る神は、文明の発展に抑制をかけた。
自然と共に生きるように。
戦争を起こさないように。
この書は、ニンゲンと同じ過ちを犯さぬ為の知識として、神霊タマ・ヌマタに託す。
◇◆◇◆◇
イオの話によれば、タマ・ヌマタというのは二足歩行の黒猫の姿をしているらしい。
霊感みたいなものがないと見えないので、俺がタマに会うことはなさそうだ。
今回俺が読ませてもらったのはタマが管理する禁書の1冊だとか。
俺にも関係する内容だから、見せるようにって言われたそうだ。
「この【ニンゲン】ってのが、もしかして俺たちの前世?」
「いや、違うらしいよ」
イオの話によれば、俺たちのこの容姿はニンゲンとは違う種族らしい。
ニンゲンとは、滅びた古代文明を築いた種族で、全滅したので末裔はいない。
俺たちの前世は、今のナーゴの文明で生きていたヒューマンタイプの別種族だそうだ。
「タマが見せてくれた俺の前世の映像には、猫人が一緒に映っていたよ」
イオは、ジャミさんが見せてくれたのとは違う映像を見せてもらったらしい。
この世界に来てから、プルミエタウン関係者以外のヒューマンタイプには会っていない。
アサケ王国は猫人ばかりの国みたいだけど、どこかにヒューマンがいるんだろうか?
「イオはどこからこの本を見つけてきたんだ?」
「禁書閲覧室だよ」
「秘密満載っぽい場所だな」
「図書館の通路の奥にある部屋だよ。霊が視えたら入ることができるらしい」
「それは、俺が入れないこと確定じゃないか」
イオには霊感があるけど、俺にはそんなもんは無い。
禁書閲覧室、行ってみたいけど残念ながら俺は入れないようだ。
本を読むことはできるみたいだから、また借りてきてもらおう。
本の影響だろうか?
その夜、俺は不思議な夢を見た。
緑の葉が茂る大木の根元に、跪く5人。
一番前に跪いている、赤い髪と青い髪の青年。
俺の意識は、赤い髪の青年の中にあった。
誰かから、話しかけられているようだけど、夢には音が無かった。
場面は切り替わり、どこかの家の中。
椅子に座った赤い髪の青年は泣いていて、膝や手に涙が次々に滴る。
同じ赤い髪の女性が、心配して声をかけたり、抱き締めたりしていた。
音が無いので、何を話しているかは分からない。
近くの揺り籠で寝ていた赤子が、突然泣き出す。
同時に、赤い髪の女性の右手から、炎を纏う鳥が現れた。
赤と金の羽毛、頭には冠羽があり、尾羽が長い。
アニメやゲームに出てくる不死鳥に似た鳥だ。
鳥は扉を通り抜け、猛然と飛び去っていく。
そこで夢は途切れ、俺は飛び起きた。
悪夢にうなされて目覚めた時のような、動悸と息切れ。
まだ夜中、明かりを消した室内は暗い。
非常灯代わりに、淡く発光する石がドアノブに付いていて、その光でぼんやりと室内の様子は見えた。
頬を何かが伝い、手で触れてみると、濡れた感触がある。
俺は自分が泣いていることに気付いた。
隣のベッドには、眠ったら朝まで爆睡のイオが寝ている。
夢に出てきた青い髪の青年は、イオの前世だろうか?
夢の続きが何か考えると、心の奥底に強い痛みに似たものを感じた。
これは、不安? それとも、哀しみ?
無意識に俺はベッドから降りるとイオに近付いて、その胸に耳を当ててみた。
規則正しい鼓動が聞こえたら、なんだかホッとしたような気がする。
そのまましばらく、俺はイオを抱き締めて声を出さずに泣いた。
イオは全然気付かない様子で、スヤスヤ寝ている。
俺は一体何をしてるんだろうか?
寝てるだけだって分かってるのに。
普通に息してるし、心臓だって動いてる。
抱き締めても爆睡したままだけど、身体は温かいじゃないか。
何を不安がることがあるんだろう?
ナーゴに来てから、俺は自分が何か違うものに変わった気がする。
それは、容姿だけではなく、心の奥底にある何かの影響かもしれない。
この夢のことを、俺は誰にも話さなかった。
前世と関係がありそうな気はするけれど。
俺の中の何かが、話すことを拒む。
だから自分の中だけに留めて、隠し続けた。
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