【画像あり】転生双子の異世界生活~株式会社SETA異世界派遣部・異世界ナーゴ編~

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転生者モチ編

第6話:芸術学部と図書館(画像あり)

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 給食室の見学後。

「こっちは芸術学部、音楽・美術・文芸とか創作関係の学部だよ」

 次に案内してもらったのは芸術学部。
 美術室から漂う絵具の匂いは、地球のものとは違う。
 地球の絵の具は薬品っぽい香りがするけど、ナーゴの絵の具は植物っぽい香りがする。
 ナーゴの絵の具の匂い、好きになれそうだ。

「ここの購買は画材や楽器を売っていて、所属の生徒じゃなくても買えるの」
「異世界の画材、興味深いな」

 この世界の絵の具を使って、この世界を描いてみたい。
 芸術学部の購買に並ぶ物は、アンティークショップにありそうな品々で、そこがいい。
 フサフサした羽根が付いたペン、いいな。欲しいな。
 あの羽根ペンを使って、文字を書いてみたい。

「オススメはこれ。魔導具で、イメージした色を出してくれる色鉛筆だよ」

 俺が夢中で眺めていることに気付いた購買のスタッフが、商品の説明をしてくれた。
 イメージした色を出してくれる?!
 なにそれ、神品じゃないか!

 ほ、欲しい……

「あ~、買いたいけど、この世界のお金持ってないじゃん」

 ……が、所持金ねーわ。

 ベッドに寝てる状態での転移だから、なーんも持ってない。
 着の身着のまま、その服も身体が縮んだせいでブカブカだ。
 男子寮メンバーから、部屋のクローゼットに子供服があるよって教えられて着替えたんだ。
 寮生活で、衣服や食事は学園が提供してくれるので、基本的な生活には困らないらしい。
 でも、購買利用はさすがにお金かかるだろ。

「学園でアルバイトすればいいよ」
「「アルバイト?!」」

 苦悩している俺に気付いたカジュちゃんが、いい事を教えてくれた。
 イオまで食いついてハモってるぞ。
 そうか、バイトすりゃいいのか。
 異世界のアルバイトって何するんだろう?

「仕事は色々あるよ、料理が上手なリユちゃんは料理学部の講師になったし、寮の食堂で調理師もしてるから一番稼いでるかも」
「マジか……」

 イオが愕然としている。
 妹ちゃんが、異世界適応力高い件。
 彼女はしっかり者だから、ナーゴでも逞しく生きられそうだ。

「モチは漫画家なんだから美術の講師やれるんじゃない?」
「え~、でも魔法学部に入りたいし」
「掛け持ちすればいいよ」
「「出来るの?!」」

 掛け持ちだと?
 魔法学部の生徒と、美術講師の?
 やってもいいなら、やっちゃうよ?





 続いて案内してもらったのは、学園の図書館。
 って、ここ、規模がデカ過ぎるぞ。
 一体何冊の本があるんだ?

 館内は吹き抜け、バロック様式の建物を思わせる豪華な内装。
 2~3階の高さまでありそうな天井。
 長いハシゴを使わないと、上の棚には手が届かない本棚。
 天井には彫刻が施され、青い空が描かれている。
 俺はしばし、天井の美しい絵に見惚れた。

 画材、何を使ったんだろう?
 本物の空かと思うような青、本物の綿雲のような白、よく見ると小鳥も描いてあった。
 年月が経っているだろうに、鮮やかさを維持する保存技術も気になる。

「あれ? イオがいない」

 カジュちゃんの声で、俺は我に返った。
 絵に魅了されている間に、イオがどこかへ行ってしまったようだ。

「あいつ本好きだから、どっかで読書に夢中になってるんじゃないか?」
「うん、そうかも」

 俺とカジュちゃんは二手に分かれて、六方に延びる本棚に挟まれた通路を順に見て回った。
 閲覧コーナーを中央に、延びる通路は全て1本道。
 通路の端から端まで見通せるのに、イオはどこにもいない。

「すいません、青い髪の6歳くらいの男の子を見かけませんでしたか?」
「いえ、3人が入って来た後は出入りはなかったですよ」

 カジュちゃんが、図書館出入口付近にある受付へ聞きに行った。
 受付の席に座る司書さんは、フサフサ長毛の灰白斑猫だ。
 二足歩行の猫で、身体は俺たちよりデカい。

「ちょっと大声で呼んでみてもいいですか?」
「どうぞ」

 普段は静かにしないといけない図書館。
 人探しのため、大声を出す許可をもらった。

「イオ~?」
「どこ~?」

 カジュちゃんと2人で、呼びかけながら探し回る。
 まさか、本棚の隙間に入り込んで寝落ちてないだろうな?

「お~い、イオ、出てこーい」
「って、そんな狭いところにいないでしょ」

 本を1冊引っこ抜いて棚を覗き込む俺に、カジュちゃんがツッコミを入れる。
 いやいや、世の中には想定外なことが山ほどあるからな。
 6歳児が本の隙間に隠れているかもしれないぞ?

「イオ~?」
「モチ、真面目に探してよ」

 あちこちの本棚を覗いて呼びかけていたら、カジュちゃんに怒られてしまった。
 いやいや、これでも真面目に探してるんだぞ? 一応。

「イオ~?」
「どこ~?」

 そうして、また2人で大声で呼んでいると……

「呼んだ?」

 ……通路の1つから、イオが出てきた。

「もう、1人でいなくならないでよ」
「ごめんごめん」

 カジュちゃんに怒られて、謝るイオ。

 その通路、さっき見たけど?
 奥まで歩いて見回って、誰もいないの確認したばかりだぞ?
 本棚も(ツッコミ入れられながら)隙間まで見たぞ?
 こいつ一体どこに隠れていたんだ?
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