5 / 428
転生者モチ編
第4話:医学部と料理学部(画像あり)
しおりを挟む
「では2人もカジュと同じ、魔法学部を選択でいいのかニャ?」
カジュちゃんは既に魔法学部に入っているようだ。
魔法、いいな。俺もそこにしよう。
でも、他の学部はどんなものがあるかも知りたい。
「ちなみに他の学部はどんなのがあるんですか?」
「この学園は自由がモットーだから色々あるニャン。ちょっと見学してくるといいニャ」
同じことを思ったらしいイオが訊いている。
学園長は、校内の案内図をくれた。
本館を中心に、四方に建物、その外側に森が広がっている地図だ。
「カジュ、案内してあげるといいニャ」
「はぁい」
学園長に言われたカジュちゃんが案内人になってくれた。
いつまでこの世界にいることになるか分からないけど、せっかくだから楽しもう。
「じゃあ、ここから近いところから順に案内して行くね」
カジュちゃんが最初に案内してくれたのは、笹谷さんが担任を務めるクラス。
元の世界に居た時と同じ、元の世界での姿そのまま、痩せ型長身で顔色の悪い笹谷さんが教壇に立って何か話している。
「授業を始め…ゲホゴホぐふっっ!」
……もしもし、笹谷さん?
血ぃ吐いてませんか?!
「先生っ! 大丈夫ですか?」
「うわぁ大変だぁっ、先生が吐血した!」
「息してないよ先生っ!」
「心臓止まってるぅ!」
……ちょっ、大丈夫か?!
って思ってたら、イオが横目でこっち見た。
俺は無意識に鼻の穴広げて真顔になっていたようだ。
物心ついた頃からの癖で、動揺したり困惑したりすると、この変顔になってしまう。
「大丈夫、このクラスは蘇生には慣れてるから」
1人だけ動じてないのはカジュちゃん。
蘇生に慣れてる?
様子を見ていたら、校長やジャミさんと同じ二足歩行の猫型獣人の生徒がササッと駆け寄った。
抱えてきた物は、AED?
獣人たちが気道確保&人工呼吸とか、心臓マッサージ(胸骨圧迫)とかしてるぞ。
しかも手馴れているような?
ピーポーピーポー
窓の外、聞きなれた音が近付いてくるぞ?
「救急車が来たけど、必要無さそうね」
カジュちゃんが冷静だ。
俺とイオは廊下の窓から外を見てみる。
救急車………?
音は日本と同じだけど、白黒ブチの猫みたいなデザイン。
自動車ではない。
タイヤじゃなくて足が付いてるぞ。
しかも、降りて来た救急隊員も二足歩行の猫だ。
この世界、猫型獣人が多いのか?
むしろ、我が社の関係者以外のヒューマンタイプを見かけていない。
「はぁはぁ……助かった……みんな、よくやった……」
救急隊員が教室に入る前に、笹谷さんは蘇生されていた。
顔色は悪いけど、とりあえず助かったらしい。
「さすが医学部、いつも蘇生が早いね」
やっぱり冷静なのは、カジュちゃん。
えっ?
「いつも」?
これが日常?
笹谷さん、こんなに毎回死にそうになる人だったっけ?
◇◆◇◆◇
「じゃ、次は料理学部ね」
次に案内してもらったのは、調理師を目指すという学部。
人気の学部かな?
さっきの医学部よりも生徒数が多く、調理室も複数ある。
廊下を通ると、胃袋を刺激する良い匂いがした。
「「は…腹減った」」
ハモる俺とイオ。
近くの調理室を覗くと、出来上がった物を器に盛り付けているのが見えた。
肉じゃがだ!
美味そう! 誰か試食させてくれないかな?
期待を込めて調理室を眺めていたら、猫型獣人に混じってヒューマンタイプの女の子がいるのが見えた。
髪や瞳の色は水色で洋風な顔になってるけど、ほんの僅かに残る面影は俺が知っている人に似ている。
「リユちゃ~ん、お兄ちゃん起きて来たよ」
カジュちゃんが調理室のガラス窓を開けて呼びかける。
呼びかける内容から、俺はその女の子が誰なのか理解した。
いつも美味しいゴハンを食べさせてくれた、イオの妹ちゃん。
妹ちゃんはグッズショップの店員だった。
プルミエタウンに住む者が全員ナーゴに飛ばされたのなら、彼女も来ているよな。
料理好きだから、この学部にいるのも納得だ。
「おはよう~、肉じゃが食べる?」
「「いただきます!」」
天使降臨!
俺とイオがハモった。
調理室の隣は試食ルー厶。
そこへ入らせてもらって、絶妙な味付けに仕上がった肉じゃがを御馳走になった。
すき焼きに似た甘辛い煮汁の中に、豚肉とジャガイモ、彩りに緑の豆。
芋は煮崩れしにくいメークイン系、もっちりした食感。
豚肉は短時間で仕上がりやすいように、バラ肉スライス使用。
プルミエタウンの社員寮で、何度も御馳走になった絶品を異世界で食えるとは!
……ってことは、この世界には【醤油】があるのか。
「ごちそうさま!美味しかったよ」
イオも気持ちいい食べっぷりで完食して、満ち足りた顔になっている。
お腹が満足したところで、俺はふと気付いた。
「そういば先生いなかったけど、料理学部にも社員さんいるの?」
「何言ってるの、リユちゃんが先生よ」
「「マジっすか?!」」
カジュちゃんに聞いたら、想定外の返事がきたぞ。
確かに、調理室で教師らしき人はいなかったな。
でも、ここへ来てそんなに経ってない、それも6歳児を教師にするか?!
アサケ学園、謎が多過ぎだろ。
カジュちゃんは既に魔法学部に入っているようだ。
魔法、いいな。俺もそこにしよう。
でも、他の学部はどんなものがあるかも知りたい。
「ちなみに他の学部はどんなのがあるんですか?」
「この学園は自由がモットーだから色々あるニャン。ちょっと見学してくるといいニャ」
同じことを思ったらしいイオが訊いている。
学園長は、校内の案内図をくれた。
本館を中心に、四方に建物、その外側に森が広がっている地図だ。
「カジュ、案内してあげるといいニャ」
「はぁい」
学園長に言われたカジュちゃんが案内人になってくれた。
いつまでこの世界にいることになるか分からないけど、せっかくだから楽しもう。
「じゃあ、ここから近いところから順に案内して行くね」
カジュちゃんが最初に案内してくれたのは、笹谷さんが担任を務めるクラス。
元の世界に居た時と同じ、元の世界での姿そのまま、痩せ型長身で顔色の悪い笹谷さんが教壇に立って何か話している。
「授業を始め…ゲホゴホぐふっっ!」
……もしもし、笹谷さん?
血ぃ吐いてませんか?!
「先生っ! 大丈夫ですか?」
「うわぁ大変だぁっ、先生が吐血した!」
「息してないよ先生っ!」
「心臓止まってるぅ!」
……ちょっ、大丈夫か?!
って思ってたら、イオが横目でこっち見た。
俺は無意識に鼻の穴広げて真顔になっていたようだ。
物心ついた頃からの癖で、動揺したり困惑したりすると、この変顔になってしまう。
「大丈夫、このクラスは蘇生には慣れてるから」
1人だけ動じてないのはカジュちゃん。
蘇生に慣れてる?
様子を見ていたら、校長やジャミさんと同じ二足歩行の猫型獣人の生徒がササッと駆け寄った。
抱えてきた物は、AED?
獣人たちが気道確保&人工呼吸とか、心臓マッサージ(胸骨圧迫)とかしてるぞ。
しかも手馴れているような?
ピーポーピーポー
窓の外、聞きなれた音が近付いてくるぞ?
「救急車が来たけど、必要無さそうね」
カジュちゃんが冷静だ。
俺とイオは廊下の窓から外を見てみる。
救急車………?
音は日本と同じだけど、白黒ブチの猫みたいなデザイン。
自動車ではない。
タイヤじゃなくて足が付いてるぞ。
しかも、降りて来た救急隊員も二足歩行の猫だ。
この世界、猫型獣人が多いのか?
むしろ、我が社の関係者以外のヒューマンタイプを見かけていない。
「はぁはぁ……助かった……みんな、よくやった……」
救急隊員が教室に入る前に、笹谷さんは蘇生されていた。
顔色は悪いけど、とりあえず助かったらしい。
「さすが医学部、いつも蘇生が早いね」
やっぱり冷静なのは、カジュちゃん。
えっ?
「いつも」?
これが日常?
笹谷さん、こんなに毎回死にそうになる人だったっけ?
◇◆◇◆◇
「じゃ、次は料理学部ね」
次に案内してもらったのは、調理師を目指すという学部。
人気の学部かな?
さっきの医学部よりも生徒数が多く、調理室も複数ある。
廊下を通ると、胃袋を刺激する良い匂いがした。
「「は…腹減った」」
ハモる俺とイオ。
近くの調理室を覗くと、出来上がった物を器に盛り付けているのが見えた。
肉じゃがだ!
美味そう! 誰か試食させてくれないかな?
期待を込めて調理室を眺めていたら、猫型獣人に混じってヒューマンタイプの女の子がいるのが見えた。
髪や瞳の色は水色で洋風な顔になってるけど、ほんの僅かに残る面影は俺が知っている人に似ている。
「リユちゃ~ん、お兄ちゃん起きて来たよ」
カジュちゃんが調理室のガラス窓を開けて呼びかける。
呼びかける内容から、俺はその女の子が誰なのか理解した。
いつも美味しいゴハンを食べさせてくれた、イオの妹ちゃん。
妹ちゃんはグッズショップの店員だった。
プルミエタウンに住む者が全員ナーゴに飛ばされたのなら、彼女も来ているよな。
料理好きだから、この学部にいるのも納得だ。
「おはよう~、肉じゃが食べる?」
「「いただきます!」」
天使降臨!
俺とイオがハモった。
調理室の隣は試食ルー厶。
そこへ入らせてもらって、絶妙な味付けに仕上がった肉じゃがを御馳走になった。
すき焼きに似た甘辛い煮汁の中に、豚肉とジャガイモ、彩りに緑の豆。
芋は煮崩れしにくいメークイン系、もっちりした食感。
豚肉は短時間で仕上がりやすいように、バラ肉スライス使用。
プルミエタウンの社員寮で、何度も御馳走になった絶品を異世界で食えるとは!
……ってことは、この世界には【醤油】があるのか。
「ごちそうさま!美味しかったよ」
イオも気持ちいい食べっぷりで完食して、満ち足りた顔になっている。
お腹が満足したところで、俺はふと気付いた。
「そういば先生いなかったけど、料理学部にも社員さんいるの?」
「何言ってるの、リユちゃんが先生よ」
「「マジっすか?!」」
カジュちゃんに聞いたら、想定外の返事がきたぞ。
確かに、調理室で教師らしき人はいなかったな。
でも、ここへ来てそんなに経ってない、それも6歳児を教師にするか?!
アサケ学園、謎が多過ぎだろ。
1
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
トレジャーキッズ
著:剣 恵真/絵・編集:猫宮 りぃ
ファンタジー
だらだらと自堕落な生活から抜け出すきっかけをどこかで望んでいた。
ただ、それだけだったのに……
自分の存在は何のため?
何のために生きているのか?
世界はどうしてこんなにも理不尽にあふれているのか?
苦悩する子どもと親の物語です。
非日常を体験した、命のやり取りをした、乗り越える困難の中で築かれてゆくのは友情と絆。
まだ見えない『何か』が大切なものだと気づけた。
※更新は週一・日曜日公開を目標
何かございましたら、Twitterにて問い合わせください。
【1】のみ自費出版販売をしております。
追加で修正しているため、全く同じではありません。
できるだけ剣恵真さんの原文と世界観を崩さないように直しておりますが、もう少しうまいやり方があるようでしたら教えていただけるとありがたいです。(担当:猫宮りぃ)
悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪
naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。
「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」
そして、目的地まで運ばれて着いてみると………
「はて?修道院がありませんわ?」
why!?
えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって?
どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!!
※ジャンルをファンタジーに変更しました。

魔神として転生した~身にかかる火の粉は容赦なく叩き潰す~
あめり
ファンタジー
ある日、相沢智司(アイザワサトシ)は自らに秘められていた力を開放し、魔神として異世界へ転生を果たすことになった。強大な力で大抵の願望は成就させることが可能だ。
彼が望んだものは……順風満帆な学園生活を送りたいというもの。15歳であり、これから高校に入る予定であった彼にとっては至極自然な願望だった。平凡過ぎるが。
だが、彼の考えとは裏腹に異世界の各組織は魔神討伐としての牙を剥き出しにしていた。身にかかる火の粉は、自分自身で払わなければならない。智司の望む、楽しい学園生活を脅かす存在はどんな者であろうと容赦はしない!
強大過ぎる力の使い方をある意味で間違えている転生魔神、相沢智司。その能力に魅了された女性陣や仲間たちとの交流を大切にし、また、住処を襲う輩は排除しつつ、人間世界へ繰り出します!
※番外編の「地球帰還の魔神~地球へと帰った智司くんはそこでも自由に楽しみます~」というのも書いています。よろしければそちらもお楽しみください。本編60話くらいまでのネタバレがあるかも。

領地育成ゲームの弱小貴族 ~底辺から前世の知識で国強くしてたらハーレムできてた~
黒おーじ
ファンタジー
16歳で弱小領地を継いだ俺には前世の記憶があった。ここは剣と魔法の領地育成系シュミレーションゲームに似た世界。700人の領民へ『ジョブ』を与え、掘削や建設の指令を出し、魔境や隣の領土を攻めたり、王都警護の女騎士やエルフの長を妻にしたりと領地繁栄に努めた。成長していく産業、兵力、魔法、資源……やがて弱小とバカにされていた辺境ダダリは王国の一大勢力へと上り詰めていく。
※ハーレム要素は無自覚とかヌルいことせずにガチ。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる