そして、彼は壊れた。

スミレ

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彼の体は、病魔に侵されていた。
いや正しくは、体ではなく”心”

こうなるまで、気が付かなかったのか。
違う、昔、親に”サインSOS”を送っていた。
その時はただ、漠然とした不安のような感覚だったが、
知らなかっただけ。そういった病気があるということを。

今までは何とかなってきていた。
だが、正社員として仕事するという事は、明らかに今までとは違うシチュエーション。
かかってくる圧力も、責任も、何もかもが桁外れ。

そして仕事も、休みがちになった。
有給消化で、なんとか凌いできた。
気が付いたら、有給も無くなっていた。

結局、仕事は辞めてしまった。

大人になって、色んな世界を見てきた。
その中で、経験、知識、情報。
色々なものを知る事が出来た。

ーーそう、彼は、精神病になっていたのだ。

彼は、病院に行こうとした。
だが、躊躇った。心の中に、何かが問いかけてくる。
”本当に病気なの?”
”勘違いじゃないの?”
”言い訳なんじゃないの?”

そう、親だ。
親がそんな事許す筈が無い。認める筈が無い。
やつらにとって、それは、”都市伝説”

彼も大人になったから、少しは解ってきた。
何故、昔、サインSOSを送ったのに否定されたのか。
認めたくなかったのだ。自分の子供が”そんな”病気だと。

仕方ない、”人の気持ち”なんて、解らない。
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