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出会いの春 (4)

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ドリンクコーナーから帰ってきたユウトはどこか清々しい気分になっていた。かつて夢見たマンガ家は諦めたこと。でも、絵やデザインに関わる仕事をしたいこと。来月から就職活動をはじめるためバイトのシフトを減らすこと。すべてを深夜のファミレスでタツノブに話した。
「それでな、とりあえず求人出してるデザイン事務所色々当たってみようと思うんだ」
ユウトは席に着くとそう話を戻した。タツノブは相変わらずチョコレートパフェをつつきながら答える。
「そっか、いいとこ見つかるといいな。俺らもう22だし俺もしっかりしないとなー」
22歳。大学に行っていたら4年生になっている年齢だ。タツノブは先日会った就活中の友人を思い出した。そして今日会ったマサルのことを思い出した。

「やりたいことが明確なのは本当うらやましいよ。でもさ、何かあった?急にやる気出ちゃってさ」
タツノブはもちろん友人として応援したい気持ちはあったが、ダラダラ生きていたはずの仲間が急に遠くに行ってしまう気もしていた。
「うーん、何だろう。歳のこともあるし動かないとダメだと思ったんだ。バイトでそこそこ忙しいし、まあでも適度に遊べたりもしてさ、今の暮らし好きだけど、いつまでもこうしてられないって」
ユウトはそう言い終えてから、タツノブの生き方否定してる気がして後悔した。タツノブはなぜか笑みを浮かべていた。
「世間的には正しいんだろうけど俺にはそれがよくわからないわ。でも、これで勝負したいってものがあるのは本当すげえよ」

「じつはな、お前と似てるやつを知ってるよ。てか、今日も会ったんだけど」
タツノブはマサルのことを話した。マサルは学生バンドのギタリストとして活動してた時、デビューの一歩手前までいった。でも、ボーカルとベーシストが他のバンドで活動していくことになって解散。そのままバンド活動からも距離を置いていた。大学にはほとんど行かなくなっており、留年が決まって2度目の3年生を迎えている。
「あいつももう一度、勝負したいんじゃないかな。」
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