56 / 57
53 約諾 最終話
しおりを挟む
「うーわ。不完全ってところがまた嫌らしいねー。それって最後のコツが書いてないレシピの事だよね?レナート兄さん腹黒だね~」
ホノカさんは呆れた顔をしているが、エマは再び震えた。するとエマは更にレナート様の体に近く引き寄せられ、落ち着くようにと背中を宥められた。
「アホ。こんなのは簡単すぎて作戦とも言えないぞ。盗みを働いたのはそもそも向こうだ。それにウチからの事業支援協力もすべて親子のドレスの新調に回し、あわよくば先日の夜会で娘を売り込むつもりだったんだろうが、ウチの親族にもマギ課の若い連中にも碌に相手されなくてオルガの婚姻に繋がらなかった。名のある家柄ばかりだったから、さぞかしがっかりしただろうなぁ。でも、まあ、当然の結果だけどな。俺も両親も裏で手をまわしてたし」
・・・知らなかった。そんなことを考えていたなんて。シルヴィオ家からの支援金までも使ってしまって父達はこれからどうするつもりなんだろうか。
レシピを盗み出したことは別として、エマがレイエス男爵の元へお金と引き換えに身売りされようとしたことと、やってることは余り変わらないのではないだろうかと思った。
「予測が立てやすい連中で何よりということだな。アルベルトの調べでは、マクレーン家では既に不完全なレシピをもとにシフォンケーキを販売が来週からでも開始されるらしいと報告を貰っている」
ソファに深く座り手を組んだフルメヴィーラ王の言葉に、アルベルト様は頷いた。
「そこでこちらも同時期にシフォンケーキを販売することが決定している。―――エマさんには辛いことかもしれないが、先に伝えておく。今回のマクレーン家のレシピの盗みに関してはこちらからの罠ということで、刑罰は問わない。何故なら支援事業の資金も今後シルヴィオ家から望めない上に、自分達がエマさんに今まで与えていた非道が社交界で噂になり始めていること、マクレーン家の再起をかけたシフォンケーキは完全でないものしか作れないこと。これらよりマクレーン家はこちらが爵位を剥奪しなくても経済的理由によって身を滅ぼすだろう」
説明を聞き、ようやくこの場にエマが呼ばれた理由が分かった。マクレーン家がいずれ無くなってしまうことをわざわざ王様自ら説明するためなのだろう。大して利用価値もないエマの為に呼んだのは、レナート様始めホノカさんが絡んでいるからだろう。
「そうですか。でも私は血の繋がった家族の事だというのにマクレーン家が無くなってしまうことが、薄情だとは思いますが・・・正直辛いとは思えないのです。私にとって大事な家族と呼べるのは、レナート様を始め、私を快く受け入れてくださったシルヴィオ家の人だけです」
エマは顔をまっすぐに上げ、きっぱりと宣言した。
ホノカさん、セオドール様。アンナ様に、ボードワン様。そして、シルヴィオ家で働いているイレーネや、バディアさん、その他の大勢の人達も皆がエマに優しい。
マクレーン家でずっと他人よりも遠く恐怖としてしか感じられなかった家族という名の人が、貴族から一般市民へと変割ると聞いても痛みを感じれない。見下す感情も生まれない代わりに、なんとかしなくてはという温情の気持ちも湧いてこない。ただ、事実を受け入れるだけ。
「そうか」
フルメヴィーラ王は優しく微笑んでくれた。
***
夕方前にエマ達は自宅へと帰ってきた。外はようやく冬がやってきた証としてちらちらと今季初の雪が降り始めていた。
あらかじめ温められている寝室に戻ってきたエマは、そのことを有難く感じながら外出着から部屋着へと着替える前にレナート様に確認してみたいと思っていたことを問うた。
「レナート様、義母が持って行った不完全なレシピってどこが不完全だったのてすか?手順に不備があれば販売を決めた時に気付いたと思うのですが」
いくら何でも試作品くらいは作ったと思うのだ。それでも失敗作だと分からない程度にはちゃんとした仕上がり具合になったのだと思う。何が不備だったのかが知りたかった。
「ああ、そのことか。ホノカに書いてもらったレシピなんだが、手順や分量にも何も問題はないんだ。ただ、最後にしなければならないコツが切り取られたレシピだったというだけで」
元々は全部が記入されていたが、下のその大事な部分だけ切り取ったレシピだったと聞かされ、今度はそのコツが気になった。
「その最後のコツって何ですか?」
素人では気づかないコツが気になった。
「ああ、焼きあがったシフォンケーキを直ぐに逆さまにして、完全に冷めてから型から外さないと綺麗な仕上がりにならないんだと」
「逆さま?」
それだけ?
あまりの簡単さに意表を突かれた。
「ああ、逆さまにする。たったこれだけで見違えるほどに仕上がりに差が出るらしい。原物を知らないからこそマクレーン男爵は気が付かないまま販売しようと計画を立てたんだろう」
「そうですか・・・」
エマはなんとなく気になっていたことが分って落ち着いた。
「エマ。さっきは俺を含めて全員を大事な家族と言ってくれて有難う。嬉しかった。これからもそう思ってもらえるようにするにはどうしたらいいだろうと改めて考えたんだが、今まで随分と言いたいことも言えずに我慢ばかりしてきただろう?だからエマにはどんな小さなことでもいい、これがしたい、あれが欲しいともっと我儘を言ってくれないか?」
「ええ?そんなことを言われても。今でも十分すぎる程にレナート様から頂いているのに」
衣食住の事だけじゃない。言葉も、態度も、気持ちも沢山、沢山貰っている。むしろエマがレナート様に何かお返しをしたいのに。
「ドレスや宝石といったものはエマは自分からは言わないだろうが、例えば旅行に行きたいでもいいし、読んでみたい書籍を取り寄せて欲しいとか、趣味のレースの糸を沢山でも、何でも言ってくれ」
レナート様と一緒の旅行や、読んでみたいと思っていた恋愛ものの書籍が頭に浮かぶと正直心が揺れた。きっと楽しいだろうと思う。それも嬉しいのだけれど。
「それでは、一つだけ、お願いしてもいいですか?」
「勿論。一つと言わずに、何個でも言ってくれ」
少しだけ悩んだ末に決めたのは。
「私の事をいっぱい抱きしめてくれますか?生きていてもいいのだと、幸せになってもいいのだと信じられるくらいに私の事をぎゅっと抱きしめて欲しいのです」
どんなことを言うのか期待に満ちた目を注がれているのが分かったが、エマが望む幸せはこんなにも小さなもの。でも、それが考えた上での一番の望み。今まで与えられてこなかったもの。消失して、これからも与えられることはないと思っていたもの。
大好きな人を抱きしめて、抱きしめられる。
たったそれだけの、誰にでも簡単に出来ることが願い。願うことはそれだけ。毎日、この先もずっと続くのであればもっといいのにと思う。
エマの願いはすぐに叶えられた。
「―――エマ、これからは・・・これからも、共に幸せになろう」
「はい」
エマは身を預け、確かな約束を胸に目を閉じ幸せだと感じていた。
ホノカさんは呆れた顔をしているが、エマは再び震えた。するとエマは更にレナート様の体に近く引き寄せられ、落ち着くようにと背中を宥められた。
「アホ。こんなのは簡単すぎて作戦とも言えないぞ。盗みを働いたのはそもそも向こうだ。それにウチからの事業支援協力もすべて親子のドレスの新調に回し、あわよくば先日の夜会で娘を売り込むつもりだったんだろうが、ウチの親族にもマギ課の若い連中にも碌に相手されなくてオルガの婚姻に繋がらなかった。名のある家柄ばかりだったから、さぞかしがっかりしただろうなぁ。でも、まあ、当然の結果だけどな。俺も両親も裏で手をまわしてたし」
・・・知らなかった。そんなことを考えていたなんて。シルヴィオ家からの支援金までも使ってしまって父達はこれからどうするつもりなんだろうか。
レシピを盗み出したことは別として、エマがレイエス男爵の元へお金と引き換えに身売りされようとしたことと、やってることは余り変わらないのではないだろうかと思った。
「予測が立てやすい連中で何よりということだな。アルベルトの調べでは、マクレーン家では既に不完全なレシピをもとにシフォンケーキを販売が来週からでも開始されるらしいと報告を貰っている」
ソファに深く座り手を組んだフルメヴィーラ王の言葉に、アルベルト様は頷いた。
「そこでこちらも同時期にシフォンケーキを販売することが決定している。―――エマさんには辛いことかもしれないが、先に伝えておく。今回のマクレーン家のレシピの盗みに関してはこちらからの罠ということで、刑罰は問わない。何故なら支援事業の資金も今後シルヴィオ家から望めない上に、自分達がエマさんに今まで与えていた非道が社交界で噂になり始めていること、マクレーン家の再起をかけたシフォンケーキは完全でないものしか作れないこと。これらよりマクレーン家はこちらが爵位を剥奪しなくても経済的理由によって身を滅ぼすだろう」
説明を聞き、ようやくこの場にエマが呼ばれた理由が分かった。マクレーン家がいずれ無くなってしまうことをわざわざ王様自ら説明するためなのだろう。大して利用価値もないエマの為に呼んだのは、レナート様始めホノカさんが絡んでいるからだろう。
「そうですか。でも私は血の繋がった家族の事だというのにマクレーン家が無くなってしまうことが、薄情だとは思いますが・・・正直辛いとは思えないのです。私にとって大事な家族と呼べるのは、レナート様を始め、私を快く受け入れてくださったシルヴィオ家の人だけです」
エマは顔をまっすぐに上げ、きっぱりと宣言した。
ホノカさん、セオドール様。アンナ様に、ボードワン様。そして、シルヴィオ家で働いているイレーネや、バディアさん、その他の大勢の人達も皆がエマに優しい。
マクレーン家でずっと他人よりも遠く恐怖としてしか感じられなかった家族という名の人が、貴族から一般市民へと変割ると聞いても痛みを感じれない。見下す感情も生まれない代わりに、なんとかしなくてはという温情の気持ちも湧いてこない。ただ、事実を受け入れるだけ。
「そうか」
フルメヴィーラ王は優しく微笑んでくれた。
***
夕方前にエマ達は自宅へと帰ってきた。外はようやく冬がやってきた証としてちらちらと今季初の雪が降り始めていた。
あらかじめ温められている寝室に戻ってきたエマは、そのことを有難く感じながら外出着から部屋着へと着替える前にレナート様に確認してみたいと思っていたことを問うた。
「レナート様、義母が持って行った不完全なレシピってどこが不完全だったのてすか?手順に不備があれば販売を決めた時に気付いたと思うのですが」
いくら何でも試作品くらいは作ったと思うのだ。それでも失敗作だと分からない程度にはちゃんとした仕上がり具合になったのだと思う。何が不備だったのかが知りたかった。
「ああ、そのことか。ホノカに書いてもらったレシピなんだが、手順や分量にも何も問題はないんだ。ただ、最後にしなければならないコツが切り取られたレシピだったというだけで」
元々は全部が記入されていたが、下のその大事な部分だけ切り取ったレシピだったと聞かされ、今度はそのコツが気になった。
「その最後のコツって何ですか?」
素人では気づかないコツが気になった。
「ああ、焼きあがったシフォンケーキを直ぐに逆さまにして、完全に冷めてから型から外さないと綺麗な仕上がりにならないんだと」
「逆さま?」
それだけ?
あまりの簡単さに意表を突かれた。
「ああ、逆さまにする。たったこれだけで見違えるほどに仕上がりに差が出るらしい。原物を知らないからこそマクレーン男爵は気が付かないまま販売しようと計画を立てたんだろう」
「そうですか・・・」
エマはなんとなく気になっていたことが分って落ち着いた。
「エマ。さっきは俺を含めて全員を大事な家族と言ってくれて有難う。嬉しかった。これからもそう思ってもらえるようにするにはどうしたらいいだろうと改めて考えたんだが、今まで随分と言いたいことも言えずに我慢ばかりしてきただろう?だからエマにはどんな小さなことでもいい、これがしたい、あれが欲しいともっと我儘を言ってくれないか?」
「ええ?そんなことを言われても。今でも十分すぎる程にレナート様から頂いているのに」
衣食住の事だけじゃない。言葉も、態度も、気持ちも沢山、沢山貰っている。むしろエマがレナート様に何かお返しをしたいのに。
「ドレスや宝石といったものはエマは自分からは言わないだろうが、例えば旅行に行きたいでもいいし、読んでみたい書籍を取り寄せて欲しいとか、趣味のレースの糸を沢山でも、何でも言ってくれ」
レナート様と一緒の旅行や、読んでみたいと思っていた恋愛ものの書籍が頭に浮かぶと正直心が揺れた。きっと楽しいだろうと思う。それも嬉しいのだけれど。
「それでは、一つだけ、お願いしてもいいですか?」
「勿論。一つと言わずに、何個でも言ってくれ」
少しだけ悩んだ末に決めたのは。
「私の事をいっぱい抱きしめてくれますか?生きていてもいいのだと、幸せになってもいいのだと信じられるくらいに私の事をぎゅっと抱きしめて欲しいのです」
どんなことを言うのか期待に満ちた目を注がれているのが分かったが、エマが望む幸せはこんなにも小さなもの。でも、それが考えた上での一番の望み。今まで与えられてこなかったもの。消失して、これからも与えられることはないと思っていたもの。
大好きな人を抱きしめて、抱きしめられる。
たったそれだけの、誰にでも簡単に出来ることが願い。願うことはそれだけ。毎日、この先もずっと続くのであればもっといいのにと思う。
エマの願いはすぐに叶えられた。
「―――エマ、これからは・・・これからも、共に幸せになろう」
「はい」
エマは身を預け、確かな約束を胸に目を閉じ幸せだと感じていた。
0
お気に入りに追加
502
あなたにおすすめの小説
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました
平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。
騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。
そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
【完結】仕事のための結婚だと聞きましたが?~貧乏令嬢は次期宰相候補に求められる
仙桜可律
恋愛
「もったいないわね……」それがフローラ・ホトレイク伯爵令嬢の口癖だった。社交界では皆が華やかさを競うなかで、彼女の考え方は異端だった。嘲笑されることも多い。
清貧、質素、堅実なんていうのはまだ良いほうで、陰では貧乏くさい、地味だと言われていることもある。
でも、違う見方をすれば合理的で革新的。
彼女の経済観念に興味を示したのは次期宰相候補として名高いラルフ・バリーヤ侯爵令息。王太子の側近でもある。
「まるで雷に打たれたような」と彼は後に語る。
「フローラ嬢と話すとグラッ(価値観)ときてビーン!ときて(閃き)ゾクゾク湧くんです(政策が)」
「当代随一の頭脳を誇るラルフ様、どうなさったのですか(語彙力どうされたのかしら)もったいない……」
仕事のことしか頭にない冷徹眼鏡と無駄使いをすると体調が悪くなる病気(メイド談)にかかった令嬢の話。
聖獣の卵を保護するため、騎士団長と契約結婚いたします。仮の妻なのに、なぜか大切にされすぎていて、溺愛されていると勘違いしてしまいそうです
石河 翠
恋愛
騎士団の食堂で働くエリカは、自宅の庭で聖獣の卵を発見する。
聖獣が大好きなエリカは保護を希望するが、領主に卵を預けるようにと言われてしまった。卵の保護主は、魔力や財力、社会的な地位が重要視されるというのだ。
やけになったエリカは場末の酒場で酔っ払ったあげく、通りすがりの騎士団長に契約結婚してほしいと唐突に泣きつく。すると意外にもその場で承諾されてしまった。
女っ気のない堅物な騎士団長だったはずが、妻となったエリカへの態度は甘く優しいもので、彼女は思わずときめいてしまい……。
素直でまっすぐ一生懸命なヒロインと、実はヒロインにずっと片思いしていた真面目な騎士団長の恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID749781)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる