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34 信頼
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穂叶はふわふわする気持ちを抱えたまま、生板の上でパン生地を捏ねていた。
(あー、ドキドキしたー。自分の名前を呼ばれただけなのに、なんであんなにドキドキしたんだろ。自分からセオドールって呼び捨てするのも緊張したけど。友達を呼び捨てするのに緊張なんてしたことないのに、好きな人の名前ってそれだけで特別なんだ)
恋人の声を思い出し照れながら、美味しく食べてもらえる姿を思い浮かべて生地を捏ね続けた。
仮眠を取った後にまた偵察に出かけるセオドール達の為に、夕食を忙しく仕上げているダンさんに許可を貰って、穂叶はプリンとシュークリームの下ごしらえをもう一度終えてから、パン生地の二次発酵に入っていた。
パン生地を食べやすい大きさに分割して、ロールパンの形に整え、上から絞った布巾をかぶせて暫く寝かせておく。
その間にお菓子の仕上げに入る。二回目の分量はさっきの四倍と大量にした。もちろん作り始める前にアンナさんには材料の使用許可を貰ってから作り始めた。
(だって、レナートさんのお兄さん夫婦や子供、シェリーさん、ここで働いている人たちの分も作ってあげたかったんだもん)
アンナさんに許可を貰うときにたまたま後ろに控えていた侍女さん達もいたのを見て、従業員の分も作っていいか聞いてみたのだ。自分たちの分まで作ってくれるんですかと侍女さん達が嬉しそうにしてくれたの見て、頑張るぞと気合が入った。
ダンさん達は夕食作りに忙しい。1人で作るには量が多すぎるからセオドールの母であるシェリーさんに手伝ってもらえるようにお願いをした。
快く引き受けてくれたシェリーさんは、手順を教えてカラメル作りをして器に入れてくれたり、カスタードやシュー生地作りを手伝ってもらった。それでも二人で作るには数が多い。作る量を決めたのは自分だけど。
「うーん、どうしよ」
(後はシューを焼くのと、プリンを蒸すだけなんだけど、二人でも手が足りないかも。地道に少しずつ仕上げていくしかないなぁ)
キッチン台に並んだまだ完成していないお菓子を眺めながら悩んでいた。
「穂叶さん、今なら夕食作りもひと段落付いたので少しぐらい手伝いますよ」
「えっ、ほんとですか?やった!」
ダンさんから、ナイスタイミングでお手伝いの申し出を受けた。穂叶が隣にあるダイニングを見ればいつの間にかセオドール達は夕食を食べ終えていなくなっていた。
うーん、折角セオドール達の分も作ったのになぁ。仕方ないよね、後から夜警に行くって言ってたし。残しておいて明日だそう、そうしよう。と決めた。
「ダンさんにプリン蒸すのと、シュー生地焼くのを手伝ってもらっていいですか?」
「承知しました、穂叶お嬢様」
ダンさんは、左腕をお腹の辺りに当て深々とお辞儀をしたかと思うと、顔を上げてウインクを投げてきた。
ダンさんがシェフの服装でお辞儀をしたのは、かっこいいと思えたし、似合ってると思ったけど。でもですね、レナートさんに続いてウインクされたのが二度目とは言え、された方の身の私としてはドキっとしてしまうので困るんですよ!と内心はたじたじ。
レナートさんだけじゃなくシシリアームの男の人は皆こんな感じなのだろうか。不安を感じた。
ボードワンさんは・・・しないよねぇ。されても困る。
穂叶は動揺を感じながらも、ダンさんは見た目と違って結構お茶目なんだということを覚えた。
「もー、私、そういうの全然免疫無いんですから止めてください。それにお嬢様なんて付けて呼ばないでくださいよ。私なんて皆さんからしてみたら、シルヴィオ家にいきなり身元不明の怪しい人物が養女となって入ってきて、不信感持たれていると思うんですけど」
まだ私が異世界から来たことや、魔法が幾つも使えることは伏せられてダンさんはまだ知らない筈だ。
雇い主であるボードワンさんの手前、仕事だから仕方なく私の事を皆丁寧に扱ってくれているだけだと十分わかっているつもりだ。もし私がその立場だったらそうするから。
「とんでもない。ボードワン様がお決めになったということは、それだけで信頼に足りるということです。そして、短時間とは言え、穂叶さんのお菓子作りの仕事に向き合う姿勢を自分の目で確かめましたし、それでおおよその人柄も推測できました。姿勢の事も然り、レシピの事も然り。自分で貴方のことは信用できると確信を持ちました」
いきなり信用できると断言され、驚きに目を見開いたままだ。
「穂叶さんが私達使用人の為にもわざわざお菓子を作っていただけると聞いて、皆も喜んでおりました。私から使用人全員を代表してお礼を申し上げます」
今度はダンさんだけでなく、その場にいたスタッフまで加わって再び丁寧なお辞儀を受けた。
穂叶はこの世界に落ちて来てしまったとき、怖かった。絶望も感じた。元の世界に戻れないかも知れないと沢山泣いた。
セオドールと会ってばかりの時は、運命の相手と出会えたことには嬉しさを感じたけれど、『元の世界に戻りたい』その気持ちは多少和らいだとは言え、お姉ちゃんに会いたいと思う気持ちが大きかった。今後も消えて無くなることは絶対に無い。
けど、時々無性に寂しさを感じる事はあっても、セオドールやシェリーさんがいてくれるからなんとか今日まで前を向いて来れたし、明日も頑張ろうと思えるようになったのだ。
他にもこの世界で会ったレナートさん、アルベルトさん、ボードワンさんやアンナさん、ダンさんたちに会えたことにも凄く感謝してる。
元の世界に帰りたいという気持ちは無くならないし、戻れる方法も絶対に探して見せるけど、今、この世界に来れた事にも同じくらい良かったと思えるようになったのは、沢山の好意と信用を肌で感じられるからだ。
「そんな・・・。こちらこそ、有難う・・・ございます」
皆に会えて良かったと心から思える。そう思えることが嬉しい。
傍にいてくれたシェリーさんに背中を撫でられて、少し涙ぐみながら皆にお礼を言った。
(あー、ドキドキしたー。自分の名前を呼ばれただけなのに、なんであんなにドキドキしたんだろ。自分からセオドールって呼び捨てするのも緊張したけど。友達を呼び捨てするのに緊張なんてしたことないのに、好きな人の名前ってそれだけで特別なんだ)
恋人の声を思い出し照れながら、美味しく食べてもらえる姿を思い浮かべて生地を捏ね続けた。
仮眠を取った後にまた偵察に出かけるセオドール達の為に、夕食を忙しく仕上げているダンさんに許可を貰って、穂叶はプリンとシュークリームの下ごしらえをもう一度終えてから、パン生地の二次発酵に入っていた。
パン生地を食べやすい大きさに分割して、ロールパンの形に整え、上から絞った布巾をかぶせて暫く寝かせておく。
その間にお菓子の仕上げに入る。二回目の分量はさっきの四倍と大量にした。もちろん作り始める前にアンナさんには材料の使用許可を貰ってから作り始めた。
(だって、レナートさんのお兄さん夫婦や子供、シェリーさん、ここで働いている人たちの分も作ってあげたかったんだもん)
アンナさんに許可を貰うときにたまたま後ろに控えていた侍女さん達もいたのを見て、従業員の分も作っていいか聞いてみたのだ。自分たちの分まで作ってくれるんですかと侍女さん達が嬉しそうにしてくれたの見て、頑張るぞと気合が入った。
ダンさん達は夕食作りに忙しい。1人で作るには量が多すぎるからセオドールの母であるシェリーさんに手伝ってもらえるようにお願いをした。
快く引き受けてくれたシェリーさんは、手順を教えてカラメル作りをして器に入れてくれたり、カスタードやシュー生地作りを手伝ってもらった。それでも二人で作るには数が多い。作る量を決めたのは自分だけど。
「うーん、どうしよ」
(後はシューを焼くのと、プリンを蒸すだけなんだけど、二人でも手が足りないかも。地道に少しずつ仕上げていくしかないなぁ)
キッチン台に並んだまだ完成していないお菓子を眺めながら悩んでいた。
「穂叶さん、今なら夕食作りもひと段落付いたので少しぐらい手伝いますよ」
「えっ、ほんとですか?やった!」
ダンさんから、ナイスタイミングでお手伝いの申し出を受けた。穂叶が隣にあるダイニングを見ればいつの間にかセオドール達は夕食を食べ終えていなくなっていた。
うーん、折角セオドール達の分も作ったのになぁ。仕方ないよね、後から夜警に行くって言ってたし。残しておいて明日だそう、そうしよう。と決めた。
「ダンさんにプリン蒸すのと、シュー生地焼くのを手伝ってもらっていいですか?」
「承知しました、穂叶お嬢様」
ダンさんは、左腕をお腹の辺りに当て深々とお辞儀をしたかと思うと、顔を上げてウインクを投げてきた。
ダンさんがシェフの服装でお辞儀をしたのは、かっこいいと思えたし、似合ってると思ったけど。でもですね、レナートさんに続いてウインクされたのが二度目とは言え、された方の身の私としてはドキっとしてしまうので困るんですよ!と内心はたじたじ。
レナートさんだけじゃなくシシリアームの男の人は皆こんな感じなのだろうか。不安を感じた。
ボードワンさんは・・・しないよねぇ。されても困る。
穂叶は動揺を感じながらも、ダンさんは見た目と違って結構お茶目なんだということを覚えた。
「もー、私、そういうの全然免疫無いんですから止めてください。それにお嬢様なんて付けて呼ばないでくださいよ。私なんて皆さんからしてみたら、シルヴィオ家にいきなり身元不明の怪しい人物が養女となって入ってきて、不信感持たれていると思うんですけど」
まだ私が異世界から来たことや、魔法が幾つも使えることは伏せられてダンさんはまだ知らない筈だ。
雇い主であるボードワンさんの手前、仕事だから仕方なく私の事を皆丁寧に扱ってくれているだけだと十分わかっているつもりだ。もし私がその立場だったらそうするから。
「とんでもない。ボードワン様がお決めになったということは、それだけで信頼に足りるということです。そして、短時間とは言え、穂叶さんのお菓子作りの仕事に向き合う姿勢を自分の目で確かめましたし、それでおおよその人柄も推測できました。姿勢の事も然り、レシピの事も然り。自分で貴方のことは信用できると確信を持ちました」
いきなり信用できると断言され、驚きに目を見開いたままだ。
「穂叶さんが私達使用人の為にもわざわざお菓子を作っていただけると聞いて、皆も喜んでおりました。私から使用人全員を代表してお礼を申し上げます」
今度はダンさんだけでなく、その場にいたスタッフまで加わって再び丁寧なお辞儀を受けた。
穂叶はこの世界に落ちて来てしまったとき、怖かった。絶望も感じた。元の世界に戻れないかも知れないと沢山泣いた。
セオドールと会ってばかりの時は、運命の相手と出会えたことには嬉しさを感じたけれど、『元の世界に戻りたい』その気持ちは多少和らいだとは言え、お姉ちゃんに会いたいと思う気持ちが大きかった。今後も消えて無くなることは絶対に無い。
けど、時々無性に寂しさを感じる事はあっても、セオドールやシェリーさんがいてくれるからなんとか今日まで前を向いて来れたし、明日も頑張ろうと思えるようになったのだ。
他にもこの世界で会ったレナートさん、アルベルトさん、ボードワンさんやアンナさん、ダンさんたちに会えたことにも凄く感謝してる。
元の世界に帰りたいという気持ちは無くならないし、戻れる方法も絶対に探して見せるけど、今、この世界に来れた事にも同じくらい良かったと思えるようになったのは、沢山の好意と信用を肌で感じられるからだ。
「そんな・・・。こちらこそ、有難う・・・ございます」
皆に会えて良かったと心から思える。そう思えることが嬉しい。
傍にいてくれたシェリーさんに背中を撫でられて、少し涙ぐみながら皆にお礼を言った。
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