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8/2は何の日?
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『今日仕事が終わってから葵さんと買い物に行ってくるので、ちょっとだけ帰り遅くなりますね』
「送信。っと」
お昼休みに彩華はメールを送った。
送り先は去年結婚したばかりの8才年上の旦那様である中崎浩介。新婚です!
身長が155cmのチビな私と30cm程の身長差があって、すごく優しくて、イケメンで、大好きな旦那様。現在はくろちゃんという猫(雄です)と一緒に暮らしてる。秋には家族は増える予定だけどね。私のお腹には新しい命が宿っている。
浩介さんはコーヒーショップを経営しているからこの時間はランチタイムで忙しい。だからきっとメールに気づくのは後数時間後だろうけど。遅くなると心配させてしまうからこうした連絡は必ず入れることにしているのだ。
「葵さん、私と帰り一緒に買い物に行くの大丈夫ですか?」
休憩室で浩介さん手製のお弁当を食べ終えて、まったりとしているところだ。彩華の買い物に5才年上の柳原葵が付き合ってくれることになったので、確認をとっているのだ。
「勿論!妊婦な上に方向音痴の彩ちゃんを一人で買い物に行かせるのは、私の心臓が持たないもの」
「酷―い」
葵のからかう言葉に彩華は唇を尖らせた。一緒にご飯を食べていた上司で主任の上条由希子さん、同僚の二人も彩華たちの会話を聞いてくすくすと笑っている。
「だって、彩華ちゃんを一人で行かせた場合、行方不明になった挙句、旦那さんに救出願いをする確率100%でしょ?」
「うっ、それを言われると何も反論できない自分が情けない・・・」
誰もが太鼓判を押すほどの方向音痴である彩華が項垂れるのを見て、全員が爆笑した。
「あっ、彩ちゃん。旦那さんに私が自宅までちっきりと送りますって連絡入れといてね」
・・・・・・。
もちろん目的地が駄目なら、自力で帰ることも無理だということは周知されている。
「有難うございます。今日もお世話になります」
また皆に爆笑された。くすん。
季節は例年より遅かった梅雨もようやく開け、じりじりと照り付ける太陽に辟易とする毎日に突入した。
仕事帰りだというのに日差しはまだまだ気を抜けない強さでもって彩華と葵に降り注いでいる。照り付ける太陽に日傘は欠かせない必需品となっている。妊婦の歩みに合わせゆっくりと目的の店へと向かっている。
「彩ちゃんとこうして買い物に出かけるのも久々だねぇ」
彩華は妊娠してからというもの、妊娠初期に悪阻があったせいであまり買い物に出かけなくなったからだ。今は安定期に入っているので、無理をしなければ多少の運動はしたほうがいいと病院の先生にも進められている。
「ほんとに久々かも。すみません、急に誘ったりして」
「いいの、いいの。私もそろそろ新しいの買いたいなぁと思ってたところだから」
急に買い物がしたいと思い立ったのは、ラジオ放送を聞いたから。
彩華が務めている手芸店「たかやま」ではラジオが流れているのだが、8月2日の今日は何の日かということが話題となっていた。
ネット販売を中心としているが実店舗でたまたまお客さんが居なかったために、その話題が彩華達もついその話で花が咲き、葵とこうして買い物に出かけることになったのだ。
「気に入るのあるといいねー」
「はい」
たまには女の子同士で買い物をするのも楽しい。蝉の声が聞こえる中、うきうきとしながら歩みを進めるのだった。
彩華達が向かっているのは、以前葵と今産休中の義理の姉である玉岡麻央(彩華の兄である陸と結婚し、兄は婿養子に入った)と買いに来たことのあるお店。
ランジェリーショップだ。
レディースが大半を占めているが、メンズもあって、割と会社から近くて行きやすいということで決めた店だ。
浩介さんと付き合ったばかりの頃に同僚二人に連れられてセクシーなベビードールを買ったことは今となってはいい思い出だ。
そう、今日ラジオで話題になっていたのは、8月2日は『パンツの日』ということ。下着メーカーの磯貝布帛工業(現在のイソカイ)が1984年に、自社ブランド『シルビー802』の商品名に因んで制定したとのこと。後に、トランクスメーカーのオグランも「パン(8)ツ(2)」の語呂合せでこの日を記念日とした。そうラジオで流れていたのだ。
そして、『女性が本命の男性にこっそりパンツをプレゼントする日』だということも。
実は明日の8月3日は、浩介さんの30歳の誕生日。
もちろん誕生日プレゼントは用意してある。一昨年は革のブレスレット。去年は浴衣。どちらも彩華の手作りだ。
今年は合成石を使ったアートクレイシルバーのペンダントだ。ペンダントトップに一昨年のブレスレットと同じ革紐を通したもの。蒼い石を使ったけど、気に入ってもらえるかな?とわくわくしながらもちょっぴり心配もあったりして。
でも、ラジオでパンツの日って聞いて誕生日前日にサプライズもいいかなぁなんて、思っちゃったのだ。
驚くかな?もしかして、笑いが取れたりするのかな?
毎年渡す誕生日プレゼントと違って、渡したときに中から出てきたパンツを見て、どんな顔をするのか今から楽しみで仕方ない。
「どんなのがいいかなぁ」
2年前まで誰とも付き合ったことすらなかったのに、今ではこうして男性物のパンツを買うことになっているのもなんだか不思議で可笑しい彩華だった。
「送信。っと」
お昼休みに彩華はメールを送った。
送り先は去年結婚したばかりの8才年上の旦那様である中崎浩介。新婚です!
身長が155cmのチビな私と30cm程の身長差があって、すごく優しくて、イケメンで、大好きな旦那様。現在はくろちゃんという猫(雄です)と一緒に暮らしてる。秋には家族は増える予定だけどね。私のお腹には新しい命が宿っている。
浩介さんはコーヒーショップを経営しているからこの時間はランチタイムで忙しい。だからきっとメールに気づくのは後数時間後だろうけど。遅くなると心配させてしまうからこうした連絡は必ず入れることにしているのだ。
「葵さん、私と帰り一緒に買い物に行くの大丈夫ですか?」
休憩室で浩介さん手製のお弁当を食べ終えて、まったりとしているところだ。彩華の買い物に5才年上の柳原葵が付き合ってくれることになったので、確認をとっているのだ。
「勿論!妊婦な上に方向音痴の彩ちゃんを一人で買い物に行かせるのは、私の心臓が持たないもの」
「酷―い」
葵のからかう言葉に彩華は唇を尖らせた。一緒にご飯を食べていた上司で主任の上条由希子さん、同僚の二人も彩華たちの会話を聞いてくすくすと笑っている。
「だって、彩華ちゃんを一人で行かせた場合、行方不明になった挙句、旦那さんに救出願いをする確率100%でしょ?」
「うっ、それを言われると何も反論できない自分が情けない・・・」
誰もが太鼓判を押すほどの方向音痴である彩華が項垂れるのを見て、全員が爆笑した。
「あっ、彩ちゃん。旦那さんに私が自宅までちっきりと送りますって連絡入れといてね」
・・・・・・。
もちろん目的地が駄目なら、自力で帰ることも無理だということは周知されている。
「有難うございます。今日もお世話になります」
また皆に爆笑された。くすん。
季節は例年より遅かった梅雨もようやく開け、じりじりと照り付ける太陽に辟易とする毎日に突入した。
仕事帰りだというのに日差しはまだまだ気を抜けない強さでもって彩華と葵に降り注いでいる。照り付ける太陽に日傘は欠かせない必需品となっている。妊婦の歩みに合わせゆっくりと目的の店へと向かっている。
「彩ちゃんとこうして買い物に出かけるのも久々だねぇ」
彩華は妊娠してからというもの、妊娠初期に悪阻があったせいであまり買い物に出かけなくなったからだ。今は安定期に入っているので、無理をしなければ多少の運動はしたほうがいいと病院の先生にも進められている。
「ほんとに久々かも。すみません、急に誘ったりして」
「いいの、いいの。私もそろそろ新しいの買いたいなぁと思ってたところだから」
急に買い物がしたいと思い立ったのは、ラジオ放送を聞いたから。
彩華が務めている手芸店「たかやま」ではラジオが流れているのだが、8月2日の今日は何の日かということが話題となっていた。
ネット販売を中心としているが実店舗でたまたまお客さんが居なかったために、その話題が彩華達もついその話で花が咲き、葵とこうして買い物に出かけることになったのだ。
「気に入るのあるといいねー」
「はい」
たまには女の子同士で買い物をするのも楽しい。蝉の声が聞こえる中、うきうきとしながら歩みを進めるのだった。
彩華達が向かっているのは、以前葵と今産休中の義理の姉である玉岡麻央(彩華の兄である陸と結婚し、兄は婿養子に入った)と買いに来たことのあるお店。
ランジェリーショップだ。
レディースが大半を占めているが、メンズもあって、割と会社から近くて行きやすいということで決めた店だ。
浩介さんと付き合ったばかりの頃に同僚二人に連れられてセクシーなベビードールを買ったことは今となってはいい思い出だ。
そう、今日ラジオで話題になっていたのは、8月2日は『パンツの日』ということ。下着メーカーの磯貝布帛工業(現在のイソカイ)が1984年に、自社ブランド『シルビー802』の商品名に因んで制定したとのこと。後に、トランクスメーカーのオグランも「パン(8)ツ(2)」の語呂合せでこの日を記念日とした。そうラジオで流れていたのだ。
そして、『女性が本命の男性にこっそりパンツをプレゼントする日』だということも。
実は明日の8月3日は、浩介さんの30歳の誕生日。
もちろん誕生日プレゼントは用意してある。一昨年は革のブレスレット。去年は浴衣。どちらも彩華の手作りだ。
今年は合成石を使ったアートクレイシルバーのペンダントだ。ペンダントトップに一昨年のブレスレットと同じ革紐を通したもの。蒼い石を使ったけど、気に入ってもらえるかな?とわくわくしながらもちょっぴり心配もあったりして。
でも、ラジオでパンツの日って聞いて誕生日前日にサプライズもいいかなぁなんて、思っちゃったのだ。
驚くかな?もしかして、笑いが取れたりするのかな?
毎年渡す誕生日プレゼントと違って、渡したときに中から出てきたパンツを見て、どんな顔をするのか今から楽しみで仕方ない。
「どんなのがいいかなぁ」
2年前まで誰とも付き合ったことすらなかったのに、今ではこうして男性物のパンツを買うことになっているのもなんだか不思議で可笑しい彩華だった。
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