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おわびに。 6
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6
取りあえず邪魔が入らなくなったのは本当の様でほっとする。水撒きを終えているので片付けることにした。
「彩華さん、先に中に入ってて下さい。これ片付けてきますから」
ブリキで出来たオレンジ色のジョウロを手に裏へと周り片付けに行く。裏の駐車場横の植物はホースで水を撒くのだが、表は水道が遠いので仕方なくジョウロを使っている。
浩介に言われた通り店の中へと入って行くと、既に秋庭と景山は来ていた。
「すみません、遅くなりました」
壁時計を見ると5分程遅刻したようだ。
「仕事お疲れ様、有難う来てくれて。良かったらこっちで一緒に座ってくれる?」
遼一に示されたのは、カウンター席。そこには、巧もいる。4つある椅子の空いている所に腰かけた。
2人の服装は、昼間とは違っているようだ。遼一は、オフホワイトのウエスタンシャツに濃紺のカツラギチノパンツを穿いている。巧は、黒のテーラードジャケットを椅子の背もたれに掛け、シャツはグレーに釦は黒。そして、黒のスラックス。昼には、あまり見ていなかった巧の顔だが、男の人なのだが綺麗と思わせる端正な顔立ちと、メタルフレームの眼鏡に二重の切れ長の目。まとう空気はシャープ。今まで見た事が無い程の美形だった。いつの間にか凝視していたのだろう、思わず視線が合ってしまい慌てて目を逸らした。丁度その時、裏の入り口から浩介が戻ってきた。
「着替えてきます。もう少し待ってて下さい」
そう言うと、キッチンの裏に消え、階段を上がる音が聞こえた。どうやら2階があるらしい。
「じゃあ、まず自己紹介から始めようか。秋庭遼一、イラストレーターやってます。で、これ名刺」
両手で渡され、同じく両手でぎこちなく頂いた。名刺には、P.Nの了(りょう)と本名、電話番号、住所と遼一が描いたものであろうイラストが印刷されている。女の子と動物キャラだ。そのイラストには、見覚えがある。去年放送されていたアニメで、彩華はあまりアニメの方は見ていなかったが、既に完結している原作の小説で新刊が出るたびに買う程好きなものだった。
「これ、知ってます。『CLOVER-Genuine』ですよね!私、原作好きで全部持ってます。動物のキャラも好きです。可愛くって」
2人は少し驚いた表情を見せた。
「マジ?どのキャラ好き?」
「うさぎのガーベラちゃんが好きです」
遼一はふんふん、と頷いている。動物は、皆花の名前が付いているのだ。
「はい、次は巧」
「景山巧です。『CLOVER-Genuine』の原作者です。」
名刺を受取ろうとしていたが、原作者という言葉に思わず口を開けたままポカンとして停止してしまった。
「げ、原作者?」
「PNは拓海で活動してます。橘さん、でしたよね?」
呆けている場合じゃなかった。名刺を受取り、自分も自己紹介しなければ。
「橘彩華です。たかやま手芸店で働いています。あの、すみません、私、名刺は持っていないんです」
そもそも作る必要が無いからだ。
「いいよ、そんなの気にしなくて。橘さん、女性に年齢聞くの失礼だけど聞いていい?」
遼一は、浩介に聞いても成人したとしか教えてくれなかったので、直接本人に聞いてみることにした。
「21です」
「若っ。高校卒業して、すぐ今の会社に?」
「いいえ、専門学校を今年の春に卒業してから今の会社に入社したばかりなんです」
「そっか。じゃあ誕生日早いんだ。あっ、そうそう浩介の誕生日って知ってる?」
誕生日どころか、電話番号すら知らない。
「いいえ、まったく何も知らないんです」
「えっ、何もって、電話番号もメアドも?」
「はい」
しょんぼりとうなだれる彩華を見て、何やってるんだ、あいつは・・・とぶつぶつ呟くと、
「番号とかは本人から直接聞いてもらうことにして、誕生日だけ教えとくよ。たぶん自分からは言わないと思うから。あいつ、8/3の日曜日が誕生日で28才になるよ。3人共同い年なんだよねー」
後4日すると誕生日。しかも、デートの予定日だ。知らなかったら何もあげる事が出来ずに一日が終わったかもしれない。教えてくれて助かった。
「有難うございますっ、秋庭さん」
付き合い始めての初めての誕生日。何かあげたいな。どうしよっかな?買うのもいいけど、手作りじゃダメかな・・・。1人悩んでいる彩華を、遼一は微笑んで眺め、巧はほっと息を吐いた。横でそれを見ていた遼一は、
「巧、安心したんだ?そりゃそうか」
学生の頃は遊びも含めてよく一緒に行動していた3人だ。浩介と付き合いたいと女性からアプローチを受けて付き合い始めても、巧を見て心変わりすることが何度かあった。おかげで浩介は恋愛において女性不審に陥ってるんじゃないかと2人は思っていたのだ。数年彼女と呼べる程の付き合いをしる女性が居なかったので、彩華と交際を始めたのを見てほっとした。巧の顔を見ても、アニメの原作者で彩華も好きな小説家と聞いても驚きはしたが、特に見惚れて心変わりするようでもなく、浩介の誕生日が近い事が分かってプレゼントの事で悩んでいるのが丸分かりな様子は、見ていると微笑ましい。
そこへ、着替えが終わった浩介が戻ってきた。
「お待たせしました」
濃いグレーのシングルテーラードジャケットにV字の黒カットソーで、ボトムはストレッチスキニージーンズの黒に、黒の革靴。身長が高い上に、細身のシルエットなのでモデルのように映える。
彩華は、浩介の私服を見るのは初めてで見惚れるばかり。
(カッコいい・・・足長い・・・あ、鎖骨・・・。いつものカフェの姿も好きだけど。・・・うっとり)
目の前に浩介が立っても反応が無いままなので、ひょいと屈み至近距離から顔を覗き込む。
「彩華さん?」
いきなりの至近距離に、ひゃっと驚き椅子から落ちそうになった。慌てて浩介は彩華の腕を支えた。
「ごめんなさい、ちょっと驚いて」
「大丈夫?ああ、吃驚した。こっちも脅かしたみたいでごめん」
支えた腕をそのままに、ゆっくりと椅子から立ちあがらせた。
「そろそろ行こうか」
「あ、はい」
立つときに手にまだ持っていた名刺がひらっと落ちた。浩介が落ちた紙を拾うと彩華の手に乗せた。
「名刺?ああ、遼一と巧のか」
「はい、イラストレーターと小説書いてるなんて素敵ですね。私も好きで買っている本だったので吃驚したけど、会えて嬉しいです」
名刺は自分のバッグに丁寧にしまう。
「そう彩華さんも本、読んでるんだ。俺も読んでるよ。あ、忘れないうちに俺の名刺と、彩華さんの連絡先とか教えてもらっていい?」
「はい!でも、私は名刺持ってないです」
浩介の名刺を貰ってから、携帯にお互い登録を済ませた。
「そろそろ店に行きたいんだけど、いいか?」
巧に言われて浩介は慌てて戸締りをした。クーラーを止め、電気を消し、全員外に出てから鍵を掛け、予約した店に向け歩き始めた。遼一と巧が先に歩き、彩華と浩介が後ろからゆっくりとついていく。
「そういえば、くろちゃんはどうしてるんですか?見えなかったですけど」
「夜は2階にいるよ。店まで暫く歩くけど、足、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。痛み全然ありませんし」
前の2人とは距離が開くがなるべくゆっくりな歩みで進んだ。18時を過ぎた頃だがまだ空は十分に明るい。7月下旬の今は夜になっても日中の熱が下がらず熱帯夜続きだ。
横に並んで歩いていた浩介は、外の気温が高く歩いて暑くなってきたからジャケットを脱いで手に持った。
「予約した店、天ぷらが美味しい所なんだけど、天ぷらは好き?」
「はい。自分ではあんまり作って食べないから嬉しいです」
自宅で揚げ物は出来れば避けたい。炒めものや、焼いたりは毎日だが。
「お兄さんと一緒に暮らしてるんだよね?家事や掃除はどうしてるの?」
「食事作るのは平日は私が殆どで、休みの日は交代が多いです。帰ってくるのは私の方が早いんで仕方なしです。お弁当はあまり作らないですけど。掃除は分けてそれぞれしてます」
「凄いね、ちゃんと自炊して」
「専門学校に行きたいって言った時、親からは兄の会社の近くにある専門学校に行く事と一緒に住む事を条件に行かせてもらったので。アパート代と防犯の事を考えての事だと分かってますけど、一人暮らしに憧れます」
「俺は大学に進学してからずっと1人暮らしだし、兄弟もいないから逆に羨ましいけどね」
「浩介さん、一人っ子なんですか?」
「そう。両親と3人家族。彩華さんは?」
「下にもうひとり高校生の妹が。3人兄妹で、両親と合わせて5人です。あ、県外ですけど母方のおじいちゃん、おばあちゃんもいます。時々野菜とか送ってくれたりするんですよ」
「そうなんだ」
お盆や正月に里に皆で帰省したときなど親類も集まるので、大家族となって大変賑やかだ。
「今度の日曜日の事なんだけど、行きたい所とかある?」
行きたい所。
友達や家族とは行った事があったとしても、彼氏が出来たら行ってみたいと思い描いている場所は幾つかある。王道と言える所ばかりだが、友達のデートした話を聞くとやっぱり楽しそうで羨ましかったから。
「えっとですね、映画に、遊園地、動物園、水族館とか、夏だから海や花火大会、夏祭りも行ってみたいです」
でも、ちょっと多すぎたかな?
「いっぱいだね。流石に一日では無理だけど夏の間に全部行ってみようか?」
くすくす笑いながら、
「取りあえず初デートは、ちょっと遠いけど水族館に行く?」
もちろん!
「はいっ!」
その日は、初デートということだけじゃなく、浩介さんの誕生日でもある。プレゼントをどうしようか悩み所もあるけど、楽しみで仕方ない。早く日曜日にならないかな。
「ああ、丁度店に着きましたね。あそこです」
指をさした方向を見ると、店の前で彩華達2人を待ってくれている遼一達の姿があった。慌ててその場所へと急いだ。
取りあえず邪魔が入らなくなったのは本当の様でほっとする。水撒きを終えているので片付けることにした。
「彩華さん、先に中に入ってて下さい。これ片付けてきますから」
ブリキで出来たオレンジ色のジョウロを手に裏へと周り片付けに行く。裏の駐車場横の植物はホースで水を撒くのだが、表は水道が遠いので仕方なくジョウロを使っている。
浩介に言われた通り店の中へと入って行くと、既に秋庭と景山は来ていた。
「すみません、遅くなりました」
壁時計を見ると5分程遅刻したようだ。
「仕事お疲れ様、有難う来てくれて。良かったらこっちで一緒に座ってくれる?」
遼一に示されたのは、カウンター席。そこには、巧もいる。4つある椅子の空いている所に腰かけた。
2人の服装は、昼間とは違っているようだ。遼一は、オフホワイトのウエスタンシャツに濃紺のカツラギチノパンツを穿いている。巧は、黒のテーラードジャケットを椅子の背もたれに掛け、シャツはグレーに釦は黒。そして、黒のスラックス。昼には、あまり見ていなかった巧の顔だが、男の人なのだが綺麗と思わせる端正な顔立ちと、メタルフレームの眼鏡に二重の切れ長の目。まとう空気はシャープ。今まで見た事が無い程の美形だった。いつの間にか凝視していたのだろう、思わず視線が合ってしまい慌てて目を逸らした。丁度その時、裏の入り口から浩介が戻ってきた。
「着替えてきます。もう少し待ってて下さい」
そう言うと、キッチンの裏に消え、階段を上がる音が聞こえた。どうやら2階があるらしい。
「じゃあ、まず自己紹介から始めようか。秋庭遼一、イラストレーターやってます。で、これ名刺」
両手で渡され、同じく両手でぎこちなく頂いた。名刺には、P.Nの了(りょう)と本名、電話番号、住所と遼一が描いたものであろうイラストが印刷されている。女の子と動物キャラだ。そのイラストには、見覚えがある。去年放送されていたアニメで、彩華はあまりアニメの方は見ていなかったが、既に完結している原作の小説で新刊が出るたびに買う程好きなものだった。
「これ、知ってます。『CLOVER-Genuine』ですよね!私、原作好きで全部持ってます。動物のキャラも好きです。可愛くって」
2人は少し驚いた表情を見せた。
「マジ?どのキャラ好き?」
「うさぎのガーベラちゃんが好きです」
遼一はふんふん、と頷いている。動物は、皆花の名前が付いているのだ。
「はい、次は巧」
「景山巧です。『CLOVER-Genuine』の原作者です。」
名刺を受取ろうとしていたが、原作者という言葉に思わず口を開けたままポカンとして停止してしまった。
「げ、原作者?」
「PNは拓海で活動してます。橘さん、でしたよね?」
呆けている場合じゃなかった。名刺を受取り、自分も自己紹介しなければ。
「橘彩華です。たかやま手芸店で働いています。あの、すみません、私、名刺は持っていないんです」
そもそも作る必要が無いからだ。
「いいよ、そんなの気にしなくて。橘さん、女性に年齢聞くの失礼だけど聞いていい?」
遼一は、浩介に聞いても成人したとしか教えてくれなかったので、直接本人に聞いてみることにした。
「21です」
「若っ。高校卒業して、すぐ今の会社に?」
「いいえ、専門学校を今年の春に卒業してから今の会社に入社したばかりなんです」
「そっか。じゃあ誕生日早いんだ。あっ、そうそう浩介の誕生日って知ってる?」
誕生日どころか、電話番号すら知らない。
「いいえ、まったく何も知らないんです」
「えっ、何もって、電話番号もメアドも?」
「はい」
しょんぼりとうなだれる彩華を見て、何やってるんだ、あいつは・・・とぶつぶつ呟くと、
「番号とかは本人から直接聞いてもらうことにして、誕生日だけ教えとくよ。たぶん自分からは言わないと思うから。あいつ、8/3の日曜日が誕生日で28才になるよ。3人共同い年なんだよねー」
後4日すると誕生日。しかも、デートの予定日だ。知らなかったら何もあげる事が出来ずに一日が終わったかもしれない。教えてくれて助かった。
「有難うございますっ、秋庭さん」
付き合い始めての初めての誕生日。何かあげたいな。どうしよっかな?買うのもいいけど、手作りじゃダメかな・・・。1人悩んでいる彩華を、遼一は微笑んで眺め、巧はほっと息を吐いた。横でそれを見ていた遼一は、
「巧、安心したんだ?そりゃそうか」
学生の頃は遊びも含めてよく一緒に行動していた3人だ。浩介と付き合いたいと女性からアプローチを受けて付き合い始めても、巧を見て心変わりすることが何度かあった。おかげで浩介は恋愛において女性不審に陥ってるんじゃないかと2人は思っていたのだ。数年彼女と呼べる程の付き合いをしる女性が居なかったので、彩華と交際を始めたのを見てほっとした。巧の顔を見ても、アニメの原作者で彩華も好きな小説家と聞いても驚きはしたが、特に見惚れて心変わりするようでもなく、浩介の誕生日が近い事が分かってプレゼントの事で悩んでいるのが丸分かりな様子は、見ていると微笑ましい。
そこへ、着替えが終わった浩介が戻ってきた。
「お待たせしました」
濃いグレーのシングルテーラードジャケットにV字の黒カットソーで、ボトムはストレッチスキニージーンズの黒に、黒の革靴。身長が高い上に、細身のシルエットなのでモデルのように映える。
彩華は、浩介の私服を見るのは初めてで見惚れるばかり。
(カッコいい・・・足長い・・・あ、鎖骨・・・。いつものカフェの姿も好きだけど。・・・うっとり)
目の前に浩介が立っても反応が無いままなので、ひょいと屈み至近距離から顔を覗き込む。
「彩華さん?」
いきなりの至近距離に、ひゃっと驚き椅子から落ちそうになった。慌てて浩介は彩華の腕を支えた。
「ごめんなさい、ちょっと驚いて」
「大丈夫?ああ、吃驚した。こっちも脅かしたみたいでごめん」
支えた腕をそのままに、ゆっくりと椅子から立ちあがらせた。
「そろそろ行こうか」
「あ、はい」
立つときに手にまだ持っていた名刺がひらっと落ちた。浩介が落ちた紙を拾うと彩華の手に乗せた。
「名刺?ああ、遼一と巧のか」
「はい、イラストレーターと小説書いてるなんて素敵ですね。私も好きで買っている本だったので吃驚したけど、会えて嬉しいです」
名刺は自分のバッグに丁寧にしまう。
「そう彩華さんも本、読んでるんだ。俺も読んでるよ。あ、忘れないうちに俺の名刺と、彩華さんの連絡先とか教えてもらっていい?」
「はい!でも、私は名刺持ってないです」
浩介の名刺を貰ってから、携帯にお互い登録を済ませた。
「そろそろ店に行きたいんだけど、いいか?」
巧に言われて浩介は慌てて戸締りをした。クーラーを止め、電気を消し、全員外に出てから鍵を掛け、予約した店に向け歩き始めた。遼一と巧が先に歩き、彩華と浩介が後ろからゆっくりとついていく。
「そういえば、くろちゃんはどうしてるんですか?見えなかったですけど」
「夜は2階にいるよ。店まで暫く歩くけど、足、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。痛み全然ありませんし」
前の2人とは距離が開くがなるべくゆっくりな歩みで進んだ。18時を過ぎた頃だがまだ空は十分に明るい。7月下旬の今は夜になっても日中の熱が下がらず熱帯夜続きだ。
横に並んで歩いていた浩介は、外の気温が高く歩いて暑くなってきたからジャケットを脱いで手に持った。
「予約した店、天ぷらが美味しい所なんだけど、天ぷらは好き?」
「はい。自分ではあんまり作って食べないから嬉しいです」
自宅で揚げ物は出来れば避けたい。炒めものや、焼いたりは毎日だが。
「お兄さんと一緒に暮らしてるんだよね?家事や掃除はどうしてるの?」
「食事作るのは平日は私が殆どで、休みの日は交代が多いです。帰ってくるのは私の方が早いんで仕方なしです。お弁当はあまり作らないですけど。掃除は分けてそれぞれしてます」
「凄いね、ちゃんと自炊して」
「専門学校に行きたいって言った時、親からは兄の会社の近くにある専門学校に行く事と一緒に住む事を条件に行かせてもらったので。アパート代と防犯の事を考えての事だと分かってますけど、一人暮らしに憧れます」
「俺は大学に進学してからずっと1人暮らしだし、兄弟もいないから逆に羨ましいけどね」
「浩介さん、一人っ子なんですか?」
「そう。両親と3人家族。彩華さんは?」
「下にもうひとり高校生の妹が。3人兄妹で、両親と合わせて5人です。あ、県外ですけど母方のおじいちゃん、おばあちゃんもいます。時々野菜とか送ってくれたりするんですよ」
「そうなんだ」
お盆や正月に里に皆で帰省したときなど親類も集まるので、大家族となって大変賑やかだ。
「今度の日曜日の事なんだけど、行きたい所とかある?」
行きたい所。
友達や家族とは行った事があったとしても、彼氏が出来たら行ってみたいと思い描いている場所は幾つかある。王道と言える所ばかりだが、友達のデートした話を聞くとやっぱり楽しそうで羨ましかったから。
「えっとですね、映画に、遊園地、動物園、水族館とか、夏だから海や花火大会、夏祭りも行ってみたいです」
でも、ちょっと多すぎたかな?
「いっぱいだね。流石に一日では無理だけど夏の間に全部行ってみようか?」
くすくす笑いながら、
「取りあえず初デートは、ちょっと遠いけど水族館に行く?」
もちろん!
「はいっ!」
その日は、初デートということだけじゃなく、浩介さんの誕生日でもある。プレゼントをどうしようか悩み所もあるけど、楽しみで仕方ない。早く日曜日にならないかな。
「ああ、丁度店に着きましたね。あそこです」
指をさした方向を見ると、店の前で彩華達2人を待ってくれている遼一達の姿があった。慌ててその場所へと急いだ。
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