215 / 234
―第二百十三話― 最強と最強
しおりを挟む
「ゴホッ、ゴホッ、ケハッ!!」
頭に付いた土を払い、何とか立ち上がる。
……うげっ、足がふらつく……。
腹もめっちゃ痛いし、ぶつけた背中も痛い。
……リアトリスの攻撃で、まさかここまでやられるとはな。
流石に想定外だぜ。
……相当土煙も立ってるし、ばれなさそうだな。
「《ディザスター》!!」
足元に魔力を流し、魔方陣を張る。
前に使った時は、必要な儀式殆どガン無視でやったから低威力だったが、これならどうだ……?
「《解》」
魔方陣から溢れ出した大量の魔力を手元に集め、球体を作る。
……よし、これで行くか。
球が緑色の光を発し始めたのを確認し、手のひらをリアトリスがいるであろう方向に向ける。
さて、リアトリスはどう対処してくるかな……?
「《発》!!」
そう呟くと同時に、魔力球がリアトリスめがけて弾け飛んだ――!
◆
…………。
全力を使った影響か、体がぎしぎしと痛む。
その上、頭もボーっとしてしまう。
……もうちょっとだけ休んでから、ルビーのところへ向かおう。
流石にまだ立ち上がれてないだろうしな。
「……!?」
……くそっ、まじかよ!?
どこからか、大量の魔力が放出されたのか、全身の毛が逆立った。
……ルビーの奴、もう起き上がってきたのか……。
何をしてくるつもりなんだ?
……いや、この感じだと、ディザスターだな。
しかも、この間のとは比にならないくらいの威力の。
まずい、どう受けようか。
ジャスミンの全力であの威力だったんだから、ルビーの全力とかマジで洒落にならん。
そうは思えど、体を思うように動かせない。
「《防御》」
……まだ全力は使えそうだな。
……だったら……!
腕を軽く伸ばし、魔力の中心の方へ手のひらを向ける。
恐らくは、そこにルビーがいるのだろう。
…………。
前に、夢物語だ、とあっさり切り捨てた思い付き。
もしかしたら、今ならできるのではなかろうか。
──能力と魔法の同時使用。
元々、そこそこの威力はある魔法と能力を組み合わせることで、さらに威力を高められるのではないか。
前に思いついたときは、絶対に無理だと思っていたが、今ならいけるのでは?
実際、ルビーのディザスターからも、能力と魔法、どっちもの魔力を感じる。
「……ふぅ」
一息つき、手のひらに全神経を集中させる。
…………。
「──《コメット》!!」
……!?
今までのよりも、数倍はでかい魔力塊。
それが猛スピードで飛び出し、一直線でルビーの方へ向かった。
それとほぼ同時に、ルビーの魔法が放たれたのも感じた。
……行け……!!
――ドォォオオオオン!!
ディザスターとコメット、二つの濃密な魔力がぶつかると同時に、凄まじい轟音が鳴り響いた。
……相殺、といったところかな?
「《移動》」
……いた!
パラパラと降りかかる土や石を、ルビーが鬱陶しそうに手で払っている。
今がチャンスだ……!
「《切断》!!」
「うわっ!? 《防御》!!」
不意打ちで短剣を振りかぶったが、ギリギリで受け止められてしまう。
だが、この距離なら……!
「《威力上昇》!!」
「うげっ!!」
短剣をパッと離し、下から抉るような角度で拳を撃ち出す。
流石にこれは防げなかったのか、口の端から血が零れだしていた。
「《斬撃》!!」
「《防御》!!」
お返しとばかりに飛んできた斬撃を、なんとか防ぐ。
……いや、完全に防ぐのは無理だった。
腕に軽い切り傷が付いた。
だが、これだけの損傷で抑えられたのは、成長の証だろう。
「はぁ、はぁ……。やるね、リアトリス」
「まあな」
……!
ルビーが踏み込むと同時に、ものすごいスピードの拳が降ってきた。
……くそっ……!
ほとんど勘で腕を動かし、なんとかそれを捌こうとする。
……二、三、五、七……!
くそっ、十発も喰らってしまった。
骨が折れてしまいそうだ。
だが、ルビーも疲れてきたのか、拳の速度が段々と落ちてきた。
「おい、いい加減終わらせようぜ!」
ルビーがそう叫び、拳を止めた。
……次の一撃でおわららせよう、ということなのだろう。
「いいぜ。ほら、来いよ……!」
拳を握り、魔力を籠める。
さあ、撃ってこい……!!
「「《威力上昇》」」
お互いが同時に能力を使い、ドンピシャで拳が撃ち出された――!
――バギッ!!
…………。
鼻からぼたぼたと血が流れ出す。
掠っただけで、これか……。
まずい、意識が朦朧としてきた……。
「ガフッ!!」
その瞬間、ルビーが血を噴き出して倒れた。
……勝った、のか……?
遂に、俺が……!?
「いよっしゃああああああ!!」
大きくガッツポーズを取り、勝利の喜びを噛み締める。
まさか、本当に……!!
……って、ああ!
喜びのあまり忘れてたけど、ルビー気絶したまんまじゃん!
「《回復》!!」
倒れたままのルビーと、そのルビーと同じくらいぼろぼろの俺に、どうにかこうにか絞り出した魔力で能力を使った。
頭に付いた土を払い、何とか立ち上がる。
……うげっ、足がふらつく……。
腹もめっちゃ痛いし、ぶつけた背中も痛い。
……リアトリスの攻撃で、まさかここまでやられるとはな。
流石に想定外だぜ。
……相当土煙も立ってるし、ばれなさそうだな。
「《ディザスター》!!」
足元に魔力を流し、魔方陣を張る。
前に使った時は、必要な儀式殆どガン無視でやったから低威力だったが、これならどうだ……?
「《解》」
魔方陣から溢れ出した大量の魔力を手元に集め、球体を作る。
……よし、これで行くか。
球が緑色の光を発し始めたのを確認し、手のひらをリアトリスがいるであろう方向に向ける。
さて、リアトリスはどう対処してくるかな……?
「《発》!!」
そう呟くと同時に、魔力球がリアトリスめがけて弾け飛んだ――!
◆
…………。
全力を使った影響か、体がぎしぎしと痛む。
その上、頭もボーっとしてしまう。
……もうちょっとだけ休んでから、ルビーのところへ向かおう。
流石にまだ立ち上がれてないだろうしな。
「……!?」
……くそっ、まじかよ!?
どこからか、大量の魔力が放出されたのか、全身の毛が逆立った。
……ルビーの奴、もう起き上がってきたのか……。
何をしてくるつもりなんだ?
……いや、この感じだと、ディザスターだな。
しかも、この間のとは比にならないくらいの威力の。
まずい、どう受けようか。
ジャスミンの全力であの威力だったんだから、ルビーの全力とかマジで洒落にならん。
そうは思えど、体を思うように動かせない。
「《防御》」
……まだ全力は使えそうだな。
……だったら……!
腕を軽く伸ばし、魔力の中心の方へ手のひらを向ける。
恐らくは、そこにルビーがいるのだろう。
…………。
前に、夢物語だ、とあっさり切り捨てた思い付き。
もしかしたら、今ならできるのではなかろうか。
──能力と魔法の同時使用。
元々、そこそこの威力はある魔法と能力を組み合わせることで、さらに威力を高められるのではないか。
前に思いついたときは、絶対に無理だと思っていたが、今ならいけるのでは?
実際、ルビーのディザスターからも、能力と魔法、どっちもの魔力を感じる。
「……ふぅ」
一息つき、手のひらに全神経を集中させる。
…………。
「──《コメット》!!」
……!?
今までのよりも、数倍はでかい魔力塊。
それが猛スピードで飛び出し、一直線でルビーの方へ向かった。
それとほぼ同時に、ルビーの魔法が放たれたのも感じた。
……行け……!!
――ドォォオオオオン!!
ディザスターとコメット、二つの濃密な魔力がぶつかると同時に、凄まじい轟音が鳴り響いた。
……相殺、といったところかな?
「《移動》」
……いた!
パラパラと降りかかる土や石を、ルビーが鬱陶しそうに手で払っている。
今がチャンスだ……!
「《切断》!!」
「うわっ!? 《防御》!!」
不意打ちで短剣を振りかぶったが、ギリギリで受け止められてしまう。
だが、この距離なら……!
「《威力上昇》!!」
「うげっ!!」
短剣をパッと離し、下から抉るような角度で拳を撃ち出す。
流石にこれは防げなかったのか、口の端から血が零れだしていた。
「《斬撃》!!」
「《防御》!!」
お返しとばかりに飛んできた斬撃を、なんとか防ぐ。
……いや、完全に防ぐのは無理だった。
腕に軽い切り傷が付いた。
だが、これだけの損傷で抑えられたのは、成長の証だろう。
「はぁ、はぁ……。やるね、リアトリス」
「まあな」
……!
ルビーが踏み込むと同時に、ものすごいスピードの拳が降ってきた。
……くそっ……!
ほとんど勘で腕を動かし、なんとかそれを捌こうとする。
……二、三、五、七……!
くそっ、十発も喰らってしまった。
骨が折れてしまいそうだ。
だが、ルビーも疲れてきたのか、拳の速度が段々と落ちてきた。
「おい、いい加減終わらせようぜ!」
ルビーがそう叫び、拳を止めた。
……次の一撃でおわららせよう、ということなのだろう。
「いいぜ。ほら、来いよ……!」
拳を握り、魔力を籠める。
さあ、撃ってこい……!!
「「《威力上昇》」」
お互いが同時に能力を使い、ドンピシャで拳が撃ち出された――!
――バギッ!!
…………。
鼻からぼたぼたと血が流れ出す。
掠っただけで、これか……。
まずい、意識が朦朧としてきた……。
「ガフッ!!」
その瞬間、ルビーが血を噴き出して倒れた。
……勝った、のか……?
遂に、俺が……!?
「いよっしゃああああああ!!」
大きくガッツポーズを取り、勝利の喜びを噛み締める。
まさか、本当に……!!
……って、ああ!
喜びのあまり忘れてたけど、ルビー気絶したまんまじゃん!
「《回復》!!」
倒れたままのルビーと、そのルビーと同じくらいぼろぼろの俺に、どうにかこうにか絞り出した魔力で能力を使った。
0
お気に入りに追加
129
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません
ひむよ
ファンタジー
「お詫びとしてどんな力でも与えてやろう」
目が覚めると目の前のおっさんにいきなりそんな言葉をかけられた藤城 皐月。
この言葉の意味を説明され、結果皐月は7個の能力を手に入れた。
だが、皐月にとってはこの内6個はおまけに過ぎない。皐月にとって最も必要なのは自分で考えたスキルだけだ。
だが、皐月は貰えるものはもらうという精神一応7個貰った。
そんな皐月が異世界を安全に楽しむ物語。
人気ランキング2位に載っていました。
hotランキング1位に載っていました。
ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる