209 / 234
―第二百七話— 最強と最弱
しおりを挟む
短剣を抜き放ち、静かに構える。
……昼間、ジャスミンにあれだけ応援してもらったんだ。
大丈夫、いける。
…………。
「あ、身体強化忘れたんで、少し良いですか?」
「…………」
締まらねえな、などと呟きながら、ルビーが首を縦に振った。
◆
今度こそ、準備万端。
再び短剣を構え直し、ルビーに視線を向ける。
「……いつでもどうぞ」
「なら、遠慮なく……!」
ルビーに向かって、一直線で走る。
……下手に能力を使うよりも、こっちのほうが良いはず……!
「『威力上昇』!!」
「《防御》」
短剣を持っている方の腕を狙って、拳を思い切り振る。
が、易々と止められてしまった。
……計算通り……!
「『移動』」
ルビーの真後ろに回り込み、蹴りを入れる。
……よし、クリーンヒット!
「《威力上昇》」
「『移動』!!」
ヒュッと音を立て、ルビーの拳が空を切る。
……危ねえ、ギリギリ避けられた……。
「《移動》」
「……! 『防御』!!」
一瞬で距離を詰められ、そのままの勢いで蹴りが飛んでくる。
だがそれも、なんとか受け切れた……?
「うぐっ……!」
……威力高すぎるだろ……!!
って、まずい!!
――キンッ!!
涼しい音を立て、短剣同士がぶつかり合う。
……重たっ……!
この野郎!!
「『斬撃』!!」
短剣に魔力を流し、ルビーの手ごと弾き飛ばす。
……チャンス……!!
「『爆発』!!」
「《防御》!!」
ルビーの腹に拳を叩きこみ、そのまま軽めの爆発を起こした。
ダメージ自体はなさそうだが、それでも十分に距離は開いた……!
「『コメット』!!」
放出された魔力塊が、地面を抉るようにして飛ぶ。
結構な量の魔力を籠めたし、次の作戦の準備を……!?
「《斬》!!」
ルビーの声と同時に魔力塊が半分に割れ、、とてつもない速度の斬撃が飛んできた。
……まずい!
「『移動』!!」
先程まで俺のいた場所の地面が、パックリと割れた。
……だから、威力どうなってんだよ、おい!
「……ったく、やっぱ君は、とんでもないな……」
背後から聞こえてきた、ルビーの声。
反射的に短剣を振るうも、何の手応えも返ってこなかった。
「《威力上昇》!!」
「……ぐっ……!!」
背中に、ドンと大きな衝撃を加えられる。
……やばい、骨が三本くらい折れた……。
「ほら、もう一発……!」
ルビーがこぶしを振りかぶったのが見えた。
……まずい、また負けてしまう……。
……くそっ……!
それは嫌だ……!
「《移動》!!」
能力を使った、その一瞬。
俺は、世界の時間が止まったような感覚に襲われた。
そして、次の瞬間。
「!?」
気づけば俺は、ルビーから遠く離れた場所にいた。
……そんなに魔力使ってないのに、なぜだ……!?
いや、そんなことはどうだっていい。
とりあえず、このチャンスを活かさねば……!
全身の魔力を一気に開放し、能力の準備を整える。
……よし。
大きく息を吸い、魔力とともに大きく吐き出した――!
「《爆発》!!」
……昼間、ジャスミンにあれだけ応援してもらったんだ。
大丈夫、いける。
…………。
「あ、身体強化忘れたんで、少し良いですか?」
「…………」
締まらねえな、などと呟きながら、ルビーが首を縦に振った。
◆
今度こそ、準備万端。
再び短剣を構え直し、ルビーに視線を向ける。
「……いつでもどうぞ」
「なら、遠慮なく……!」
ルビーに向かって、一直線で走る。
……下手に能力を使うよりも、こっちのほうが良いはず……!
「『威力上昇』!!」
「《防御》」
短剣を持っている方の腕を狙って、拳を思い切り振る。
が、易々と止められてしまった。
……計算通り……!
「『移動』」
ルビーの真後ろに回り込み、蹴りを入れる。
……よし、クリーンヒット!
「《威力上昇》」
「『移動』!!」
ヒュッと音を立て、ルビーの拳が空を切る。
……危ねえ、ギリギリ避けられた……。
「《移動》」
「……! 『防御』!!」
一瞬で距離を詰められ、そのままの勢いで蹴りが飛んでくる。
だがそれも、なんとか受け切れた……?
「うぐっ……!」
……威力高すぎるだろ……!!
って、まずい!!
――キンッ!!
涼しい音を立て、短剣同士がぶつかり合う。
……重たっ……!
この野郎!!
「『斬撃』!!」
短剣に魔力を流し、ルビーの手ごと弾き飛ばす。
……チャンス……!!
「『爆発』!!」
「《防御》!!」
ルビーの腹に拳を叩きこみ、そのまま軽めの爆発を起こした。
ダメージ自体はなさそうだが、それでも十分に距離は開いた……!
「『コメット』!!」
放出された魔力塊が、地面を抉るようにして飛ぶ。
結構な量の魔力を籠めたし、次の作戦の準備を……!?
「《斬》!!」
ルビーの声と同時に魔力塊が半分に割れ、、とてつもない速度の斬撃が飛んできた。
……まずい!
「『移動』!!」
先程まで俺のいた場所の地面が、パックリと割れた。
……だから、威力どうなってんだよ、おい!
「……ったく、やっぱ君は、とんでもないな……」
背後から聞こえてきた、ルビーの声。
反射的に短剣を振るうも、何の手応えも返ってこなかった。
「《威力上昇》!!」
「……ぐっ……!!」
背中に、ドンと大きな衝撃を加えられる。
……やばい、骨が三本くらい折れた……。
「ほら、もう一発……!」
ルビーがこぶしを振りかぶったのが見えた。
……まずい、また負けてしまう……。
……くそっ……!
それは嫌だ……!
「《移動》!!」
能力を使った、その一瞬。
俺は、世界の時間が止まったような感覚に襲われた。
そして、次の瞬間。
「!?」
気づけば俺は、ルビーから遠く離れた場所にいた。
……そんなに魔力使ってないのに、なぜだ……!?
いや、そんなことはどうだっていい。
とりあえず、このチャンスを活かさねば……!
全身の魔力を一気に開放し、能力の準備を整える。
……よし。
大きく息を吸い、魔力とともに大きく吐き出した――!
「《爆発》!!」
0
お気に入りに追加
129
あなたにおすすめの小説
異世界に転生!堪能させて頂きます
葵沙良
ファンタジー
遠宮 鈴霞(とおみやりんか)28歳。
大手企業の庶務課に勤める普通のOL。
今日は何時もの残業が無く、定時で帰宅途中の交差点そばのバス停で事件は起きた━━━━。
ハンドルを切り損なった車が、高校生3人と鈴霞のいるバス停に突っ込んできたのだ!
死んだと思ったのに、目を覚ました場所は白い空間。
女神様から、地球の輪廻に戻るか異世界アークスライドへ転生するか聞かれたのだった。
「せっかくの異世界、チャンスが有るなら行きますとも!堪能させて頂きます♪」
笑いあり涙あり?シリアスあり。トラブルに巻き込まれたり⁉
鈴霞にとって楽しい異世界ライフになるのか⁉
趣味の域で書いておりますので、雑な部分があるかも知れませんが、楽しく読んで頂けたら嬉しいです。戦闘シーンも出来るだけ頑張って書いていきたいと思います。
こちらは《改訂版》です。現在、加筆・修正を大幅に行っています。なので、不定期投稿です。
何の予告もなく修正等行う場合が有りますので、ご容赦下さいm(__)m
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる