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―幕間・二ー とんでもない味方
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……ハァ……。
数度瞬きをし、大きな溜め息を吐く。
「まったく、リアトリスの奴は……」
「どうかしたんですか?」
隣にいたリリーが、珍しく興味ありげに聞いてくる。
こいつ、俺と話すときは、大抵無関心なのになあ……。
「いやさ、今、現の方見てたんだけどさ」
「仕事もせずに何やってるんですか」
「それでさ、なんか、とんでもないのを味方につけたなー、と思って」
「……とんでもないの?」
「ジャスミンだよ、ジャスミン」
「ああ、あの娘ですか」
「そ。ジャスミンちゃんから、ちょいちょいアドバイス貰ってるっぽいんだけど……。……はぁ。この調子だと、すぐにリアトリスに越されそうだなー、と思って」
「……あなたがですか……!?」
「うん」
成長速度がマジで速すぎるんだよ、リアトリスは……。
「……そうだ……! リリーも、リアトリスに修行を……」
「つけませんよ?」
「えー、いいじゃん、別に!」
「いやです! 私なんて、速攻ボコられて終わりですよ!」
「……嘘つけ」
本気でやれば、俺と変わらないくらいには、強いだろうが。
「じゃあ、ジャスミンちゃんの方に顔を出すのは?」
「……宗派が違うじゃないですか」
「いいじゃん、そのくらい。一回、力を貸してあげた仲なんだしさ!」
「あの時は、ジャスミンさんの能力で、無理やり取られただけですよ!! ……まあでも、少し考えておきます」
「よっしゃ!!」
……っと。
「やべ、もうそろそろ時間じゃん」
「あ、もう夜なんですか?」
「そうらしい」
リアトリスがソファに寝転がってるし、多分そのはず。
俺らがいる空間は、少しだけ時間の流れが違うから、あいつらの方の時間を把握しづらいんだよな……。
「さ、準備でも始めますかね」
腕に魔力を籠め、いつもの短剣を生み出す。
一本は腰に差し、もう一本は片手に持つ。
……よし、準備完了。
「見学したいなら、そのままいてもいいよ?」
「遠慮しておきます。それでは、また」
「おう」
ぱっとリリーの姿が消えたのを確認し、軽く溜め息を吐く。
…………。
体の内側から、一気に魔力を放出する。
……うん、このくらいかな。
さてさてさて、今日は、どんな戦法で来るのかな。
……俺もそろそろ、マジでやらないとヤバいからなあ……。
ディザスターはさすがに使うつもりないけど、覚悟はしておいたほうが良いかもな。
リアトリスの力は、俺にも計り知れない。
いや、マジで。
短剣を持っていない方の手をポケットに入れ、適当な格好でたたずむ。
あと数秒もすれば、リアトリスが来るだろう。
そう思うと、背筋がぞくぞくしてくる。
あいつとの修行は、ある種、俺の楽しみでもある。
成長を肌で感じられる分、やりがいのようなものが感じられるだろう。
「あ、ルビーさん」
「よっ! 今日も修行の時間だぜ?」
案の定現れたリアトリスに、短剣を投げ渡す。
「ええ。分かってますよ」
「……うん、それならいい」
指を鳴らし、いつもの草原を用意する。
うーん、のどかで気持ちがいいなあ……。
……そんなことを考えてる暇はないんだけどね。
「それじゃ、始めようか」
「はい、よろしくお願いします……!」
数度瞬きをし、大きな溜め息を吐く。
「まったく、リアトリスの奴は……」
「どうかしたんですか?」
隣にいたリリーが、珍しく興味ありげに聞いてくる。
こいつ、俺と話すときは、大抵無関心なのになあ……。
「いやさ、今、現の方見てたんだけどさ」
「仕事もせずに何やってるんですか」
「それでさ、なんか、とんでもないのを味方につけたなー、と思って」
「……とんでもないの?」
「ジャスミンだよ、ジャスミン」
「ああ、あの娘ですか」
「そ。ジャスミンちゃんから、ちょいちょいアドバイス貰ってるっぽいんだけど……。……はぁ。この調子だと、すぐにリアトリスに越されそうだなー、と思って」
「……あなたがですか……!?」
「うん」
成長速度がマジで速すぎるんだよ、リアトリスは……。
「……そうだ……! リリーも、リアトリスに修行を……」
「つけませんよ?」
「えー、いいじゃん、別に!」
「いやです! 私なんて、速攻ボコられて終わりですよ!」
「……嘘つけ」
本気でやれば、俺と変わらないくらいには、強いだろうが。
「じゃあ、ジャスミンちゃんの方に顔を出すのは?」
「……宗派が違うじゃないですか」
「いいじゃん、そのくらい。一回、力を貸してあげた仲なんだしさ!」
「あの時は、ジャスミンさんの能力で、無理やり取られただけですよ!! ……まあでも、少し考えておきます」
「よっしゃ!!」
……っと。
「やべ、もうそろそろ時間じゃん」
「あ、もう夜なんですか?」
「そうらしい」
リアトリスがソファに寝転がってるし、多分そのはず。
俺らがいる空間は、少しだけ時間の流れが違うから、あいつらの方の時間を把握しづらいんだよな……。
「さ、準備でも始めますかね」
腕に魔力を籠め、いつもの短剣を生み出す。
一本は腰に差し、もう一本は片手に持つ。
……よし、準備完了。
「見学したいなら、そのままいてもいいよ?」
「遠慮しておきます。それでは、また」
「おう」
ぱっとリリーの姿が消えたのを確認し、軽く溜め息を吐く。
…………。
体の内側から、一気に魔力を放出する。
……うん、このくらいかな。
さてさてさて、今日は、どんな戦法で来るのかな。
……俺もそろそろ、マジでやらないとヤバいからなあ……。
ディザスターはさすがに使うつもりないけど、覚悟はしておいたほうが良いかもな。
リアトリスの力は、俺にも計り知れない。
いや、マジで。
短剣を持っていない方の手をポケットに入れ、適当な格好でたたずむ。
あと数秒もすれば、リアトリスが来るだろう。
そう思うと、背筋がぞくぞくしてくる。
あいつとの修行は、ある種、俺の楽しみでもある。
成長を肌で感じられる分、やりがいのようなものが感じられるだろう。
「あ、ルビーさん」
「よっ! 今日も修行の時間だぜ?」
案の定現れたリアトリスに、短剣を投げ渡す。
「ええ。分かってますよ」
「……うん、それならいい」
指を鳴らし、いつもの草原を用意する。
うーん、のどかで気持ちがいいなあ……。
……そんなことを考えてる暇はないんだけどね。
「それじゃ、始めようか」
「はい、よろしくお願いします……!」
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