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―第百五十六話― お嬢様
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……は?
「……は?」
思ったことが口からそのまま出てしまった。
……いや、当然の事であろう。
だって、扉から入ってきたのは……。
「ジャスミン!?」
「リア、大丈夫? ……お父様。まさか、私の大切な仲間を、苦しめるようなことはしてないでしょうね!?」
「い、いや、決してそんなことは……」
「ふん!!」
「がふっ!!」
エリスロニウムに大股で駆け寄ったジャスミンが、容赦なく平手打ちをかました。
「ねえ、私が家を出た時に約束させましたよね? 冒険のこと、仲間の事には口出ししないって……!!」
「いやあ、その……」
凄い剣幕で掴みかかるジャスミンと、しどろもどろなエリスロニウム。
「なあ、ジャスミン」
「ん? ちょっと待って! 今こいつを折檻するから!!」
「いや、先に状況を説明してくれよ!!」
◆
「うぐっ、ひくっ。も、申し訳ございませんでした……」
「い、いや、いいっすよ、そんな謝らなくても……」
結局折檻されたエリスロニウムは、地面に頭を擦り付ける勢いで謝ってきた。
「ごめんね、リア。このクソバカ親父が迷惑かけちゃって」
ぼろくそに言うじゃん。
可哀想だって。
「……それで、どういう状況なの、これは?」
「んーとね……。……はぁ。今まで話してなかったけど、私はこいつの娘なの。で、お父様が私にどうしても仕事を継げって言うから、無理やり家を出て、冒険者になったの」
「へ―……」
ちゅうことは、こいつは所謂お嬢様なのか?
…………。
「ふっ」
「ちょっ、今なんで笑ったの!?」
「い、いや、お前がまさか、お嬢様だったなんてな……。……フフッ」
「これが嫌だったから隠してたのよ!! ……まったく、それもこれもお父様のせいね。もう一発殴るわよ」
「ちょ、なんで!?」
「あんたがリアを攫わなかったら、そもそもこんな状況になってないでしょ!!」
またしてもぶん殴られるエリスロニウム。
「……それで、何のためにリアを攫ったの? 返答によっては、この家にあるもの全部壊して回るわよ」
「……はい。えーっとですね……」
◆
話が長いうえ、途中途中で殴られたりしてたから、三十分ほどして、ようやく俺を攫った理由の説明が終わった。
……つまり。
「おっさんは、娘があんまりにも帰ってこないから、俺を攫えば帰ってくるだろうと踏んだわけか。……そして、リーダーの俺を追い出すことで、ジャスミンが冒険者をやめてくれるのではないかと考えたんだな?」
「はい、その通りです」
「…………」
無言のまま、もう幾度目になるか分からない平手打ちを、エリスロニウムにかました。
……もう、顔面パンパンじゃん。
というか、ジャスミンのタフさは確実に父親譲りだな。
「……それで、お父様」
「は、はい!!」
「私達さ、ほんのちょーっとだけ、困ったことになってるの。力、貸してくれるわよね?」
「はい、何なりと」
……親父さん、弱すぎる……。
「……は?」
思ったことが口からそのまま出てしまった。
……いや、当然の事であろう。
だって、扉から入ってきたのは……。
「ジャスミン!?」
「リア、大丈夫? ……お父様。まさか、私の大切な仲間を、苦しめるようなことはしてないでしょうね!?」
「い、いや、決してそんなことは……」
「ふん!!」
「がふっ!!」
エリスロニウムに大股で駆け寄ったジャスミンが、容赦なく平手打ちをかました。
「ねえ、私が家を出た時に約束させましたよね? 冒険のこと、仲間の事には口出ししないって……!!」
「いやあ、その……」
凄い剣幕で掴みかかるジャスミンと、しどろもどろなエリスロニウム。
「なあ、ジャスミン」
「ん? ちょっと待って! 今こいつを折檻するから!!」
「いや、先に状況を説明してくれよ!!」
◆
「うぐっ、ひくっ。も、申し訳ございませんでした……」
「い、いや、いいっすよ、そんな謝らなくても……」
結局折檻されたエリスロニウムは、地面に頭を擦り付ける勢いで謝ってきた。
「ごめんね、リア。このクソバカ親父が迷惑かけちゃって」
ぼろくそに言うじゃん。
可哀想だって。
「……それで、どういう状況なの、これは?」
「んーとね……。……はぁ。今まで話してなかったけど、私はこいつの娘なの。で、お父様が私にどうしても仕事を継げって言うから、無理やり家を出て、冒険者になったの」
「へ―……」
ちゅうことは、こいつは所謂お嬢様なのか?
…………。
「ふっ」
「ちょっ、今なんで笑ったの!?」
「い、いや、お前がまさか、お嬢様だったなんてな……。……フフッ」
「これが嫌だったから隠してたのよ!! ……まったく、それもこれもお父様のせいね。もう一発殴るわよ」
「ちょ、なんで!?」
「あんたがリアを攫わなかったら、そもそもこんな状況になってないでしょ!!」
またしてもぶん殴られるエリスロニウム。
「……それで、何のためにリアを攫ったの? 返答によっては、この家にあるもの全部壊して回るわよ」
「……はい。えーっとですね……」
◆
話が長いうえ、途中途中で殴られたりしてたから、三十分ほどして、ようやく俺を攫った理由の説明が終わった。
……つまり。
「おっさんは、娘があんまりにも帰ってこないから、俺を攫えば帰ってくるだろうと踏んだわけか。……そして、リーダーの俺を追い出すことで、ジャスミンが冒険者をやめてくれるのではないかと考えたんだな?」
「はい、その通りです」
「…………」
無言のまま、もう幾度目になるか分からない平手打ちを、エリスロニウムにかました。
……もう、顔面パンパンじゃん。
というか、ジャスミンのタフさは確実に父親譲りだな。
「……それで、お父様」
「は、はい!!」
「私達さ、ほんのちょーっとだけ、困ったことになってるの。力、貸してくれるわよね?」
「はい、何なりと」
……親父さん、弱すぎる……。
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