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―第百十八話― さぼり
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布団に寝転がりながら、眠りに落ちる直前のまどろみを味わう。
ここ最近、しっかり寝るというのをやってなかったからな。
ツツジのアジトにいた時も、常に警戒した状態で寝てたし。
「……疲れた……」
天井を見つめながら、しみじみとつぶやく。
今回ばかりは、俺もかなり頑張ったんじゃないか!?
……まあ、ツツジのためだったしなあ。
……さて、眠気も限界まで来たし、今日はもう寝よう。
明日は、面倒な事に巻き込まれてくれるなよ……!!
◆
…………。
……確かに、昨晩フラグっぽいことを言った俺も悪かった。
……だけど、だけどさ……!
「リア、お願いだから手伝ってよ!!」
「絶対に嫌だ! ツツジにでも頼んでおけ!!」
「ツツジは今ショッピング中だから、暇なのがリアしかいないの! ねえ、お願いだから!!」
俺は今、ジャスミンにカジノまで引きずられていた。
何でも、ベロニカさんがカジノに閉じこもって、ここ数日シスターとしての仕事を放棄しているらしい。
で、ベロニカさんをどうにか引きずり出してほしいらしい。
「それに、ベロニカはあんたの言うことは比較的聞きやすいっぽいから、もしかしたら……」
「知らん!」
「ねえ、お願い!! みんなが困ってるの! 解決してくれたら、ピザを……」
「二枚以上なら考えてやる」
「……じゃあ、三枚で……」
「よし来た。……カジノって、教会の裏のとこだな?」
「う、うん。……相変わらず、チョロ過ぎる……」
◆
カジノか……。
考えてみれば、今まで一度も入ったことないな。
多少興味はあれど、運は良くも悪くもない俺では損をするのが目に見えてるしな。
こういうので設けられるのは、相当な豪運の持ち主と、それなりの技術を持つ奴だけだ。
俺たち一般人は、いいカモにしかならない、
……特に、ジャスミンは運がないからな……。
「あ、いたわよ!」
「ん?」
ジャスミンの指さした方向を見ると……。
「赤、赤、赤、赤、赤……!! チックショー!!」
これはひどい。
目を血走らせて、次々とチップを賭けていくベロニカさんの姿は、まさしく狂鬼だった。
「あのー、シスター・ベロニカ……」
「なに、支配人!? 今良い所なんだから、邪魔しないで!!」
「いえ、その、ご友人殿がお伺いしておりまして……」
「友人!? どうせ借金の取り立てだから無視よ、無視!!」
常連故か、シスター・ベロニカ様は支配人との距離感も近いらしい。
……そんなシスター・ベロニカ様の後ろに、ゆっくりとジャスミンが近づき……。
「どうもー、友人のジャスミンでーす」
「……!? ちょ、ギブ! ギブ!!」
素早い手つきでベロニカの首を絞めたジャスミンは、そのまま猫を掴むような体勢でこちらにベロニカを連れてきた。
「あ、あれ!? リアトリス様!?」
「ど、どうも……」
「……あの、どこから見てましたか……?」
「赤に賭けて絶叫してるところからです……」
ゆっくりと膝から崩れ落ちたベロニカさんは、そのまま真っ赤に染まった顔を手で覆った。
「わ、忘れてください……」
「…………善処します」
「それ、絶対に忘れてくれない奴じゃないですか!!」
あ、ベロニカが立った。
「……それで、何しに来たんですか?」
「いや、ベロニカさんが仕事をさぼってカジノに引きこもったって聞いたんで……」
「……。……私は悪くないです」
「悪いわよ」
「悪くないです」
「悪い!!」
「悪くない!!」
子供みたいな言い合いをしながら手四つの構えをとる二人を引きはがし。
「それで、なんで引きこもってたんですか?」
俺の問いにベロニカさんは半泣きの表情で、
「教会の寄付金がなくなっちゃったんですよー!!」
そう泣き叫んだ。
ここ最近、しっかり寝るというのをやってなかったからな。
ツツジのアジトにいた時も、常に警戒した状態で寝てたし。
「……疲れた……」
天井を見つめながら、しみじみとつぶやく。
今回ばかりは、俺もかなり頑張ったんじゃないか!?
……まあ、ツツジのためだったしなあ。
……さて、眠気も限界まで来たし、今日はもう寝よう。
明日は、面倒な事に巻き込まれてくれるなよ……!!
◆
…………。
……確かに、昨晩フラグっぽいことを言った俺も悪かった。
……だけど、だけどさ……!
「リア、お願いだから手伝ってよ!!」
「絶対に嫌だ! ツツジにでも頼んでおけ!!」
「ツツジは今ショッピング中だから、暇なのがリアしかいないの! ねえ、お願いだから!!」
俺は今、ジャスミンにカジノまで引きずられていた。
何でも、ベロニカさんがカジノに閉じこもって、ここ数日シスターとしての仕事を放棄しているらしい。
で、ベロニカさんをどうにか引きずり出してほしいらしい。
「それに、ベロニカはあんたの言うことは比較的聞きやすいっぽいから、もしかしたら……」
「知らん!」
「ねえ、お願い!! みんなが困ってるの! 解決してくれたら、ピザを……」
「二枚以上なら考えてやる」
「……じゃあ、三枚で……」
「よし来た。……カジノって、教会の裏のとこだな?」
「う、うん。……相変わらず、チョロ過ぎる……」
◆
カジノか……。
考えてみれば、今まで一度も入ったことないな。
多少興味はあれど、運は良くも悪くもない俺では損をするのが目に見えてるしな。
こういうので設けられるのは、相当な豪運の持ち主と、それなりの技術を持つ奴だけだ。
俺たち一般人は、いいカモにしかならない、
……特に、ジャスミンは運がないからな……。
「あ、いたわよ!」
「ん?」
ジャスミンの指さした方向を見ると……。
「赤、赤、赤、赤、赤……!! チックショー!!」
これはひどい。
目を血走らせて、次々とチップを賭けていくベロニカさんの姿は、まさしく狂鬼だった。
「あのー、シスター・ベロニカ……」
「なに、支配人!? 今良い所なんだから、邪魔しないで!!」
「いえ、その、ご友人殿がお伺いしておりまして……」
「友人!? どうせ借金の取り立てだから無視よ、無視!!」
常連故か、シスター・ベロニカ様は支配人との距離感も近いらしい。
……そんなシスター・ベロニカ様の後ろに、ゆっくりとジャスミンが近づき……。
「どうもー、友人のジャスミンでーす」
「……!? ちょ、ギブ! ギブ!!」
素早い手つきでベロニカの首を絞めたジャスミンは、そのまま猫を掴むような体勢でこちらにベロニカを連れてきた。
「あ、あれ!? リアトリス様!?」
「ど、どうも……」
「……あの、どこから見てましたか……?」
「赤に賭けて絶叫してるところからです……」
ゆっくりと膝から崩れ落ちたベロニカさんは、そのまま真っ赤に染まった顔を手で覆った。
「わ、忘れてください……」
「…………善処します」
「それ、絶対に忘れてくれない奴じゃないですか!!」
あ、ベロニカが立った。
「……それで、何しに来たんですか?」
「いや、ベロニカさんが仕事をさぼってカジノに引きこもったって聞いたんで……」
「……。……私は悪くないです」
「悪いわよ」
「悪くないです」
「悪い!!」
「悪くない!!」
子供みたいな言い合いをしながら手四つの構えをとる二人を引きはがし。
「それで、なんで引きこもってたんですか?」
俺の問いにベロニカさんは半泣きの表情で、
「教会の寄付金がなくなっちゃったんですよー!!」
そう泣き叫んだ。
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