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―第百十話― 大活躍

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 ……よし、とうちゃ……く……。
 ……ぐっ、魔力不足で頭がくらくらする……。

「とりあえず、サントリナのとこに行くぞ……!」
「……リア、大丈夫……?」
「だ、大丈夫。少し魔力が切れただけだから……」

 寝たら治る……はず。



「おい、サントリナ……!!」

 扉を力いっぱい開きながら、サントリナの部屋に押し入る。

「……リアトリス!? おま、え、はあ!?」
依頼・・達成してやったぞ……!」
「依頼……? って、いやいや、そうじゃなくてさ、お前、捕まってたんじゃねえの!?」
「すまんが、あとはジャスミンとツツジから聞いてくれ。もう……げん……か、い」

 そう言い終わるか終わらないかの内に、俺の視界は真っ黒に染まっていった――



「よくやった、リアトリス!!」
「むぐっ……!!」

 白い部屋に来たと思った瞬間、なぜか俺はルビーにはぐされていた。

「ちょ、はな、離せ!! 暑苦しい!!」
「あ、ごめんごめん……。それよりも、本当によくやったな、お前は! 正直、俺の予想をはるかに超える活躍だったぜ!!」
「ま、俺にかかればこんなもんだぜ」
「そうだな」

 あ、あれ?

「お前の活躍は、本当に凄いんだ。マジでここまでできるとは、俺も思ってなかった」
「…………」
「……おい、俺が折角素直に褒めてやってるんだから、少しはリアクションしたらどうなんだ!?」
「いや、すまん。少し悪寒が走っただけだ」
「ひでえな、おい!!」

 っと、そういえば。

「なあ、この指輪って、結局なんだったんだ?」
「ん? あ、それ? 本当は、簡易的な防御結界を自動で開けるやつだったんだけどね。必要なかったっぽいな」
「ふーん。ま、別に要らねえし、お前に返しとくわ」
「いや、持っといて損はないし、俺は必要ないから、そのまま持っとけ」
「うーん、じゃ、ありがたく貰っとくわ」

 取り出したばかりの指輪を早々にしまう。

「さて、そろそろ起きたほうが良さそうだな。ツツジたちの話も終わってしまいそうだ」
「あ、まじか」
「てなわけで、また今度な。リアトリス」
「ああ」

 パチン、と指を鳴らす音を聞きながら、俺の意識は一気に覚醒し……。



 ……ここは……。
 俺が目を覚ましたのは、かつて俺が生活していた部屋だった。
 恐らく、サントリナの使用人が運んでくれたのだろう。
 ……よし、さっさとサントリナの部屋に行くか。



「おう、リアトリス! 目、覚めたのか」
「……ああ。で、話は聞いたか?」
「あらかたな」
「……それで、こっからどうする?」
「どうするって……、ツツジか?」

 サントリナの声に、ツツジが体をびくっと震わせた。

「どうするもこうするも、魔法で操られてたような奴には何の責任もねえよ」

 良かった、サントリナも俺と同じ考えのようだな。

「ってか、そんなのがまかり通ったら、洗脳魔法で犯罪犯し放題になっちまうしな」
「確かに、それは言えてるな」
「でもまあ、実際問題被害も出てるわけだし……」
「……なあ、サントリナ。カランコエさんって、まだサンビルに居るのか?」
「ん? ああ。多分、昨日俺が呑みに付き合わせたから、どっかの部屋で潰れてるよ」

 何をしてるんだ、こいつは。

「じゃ、カランコエさんを呼んでくれ。……ツツジ、お前のやったことの決着をつけるぞ」
「……はい」

 ちょっと、いい考えも湧いてきたしな。
 うまくいけば、事態は最高の方向に向かってくれるかもしれない。
 ……こっからは、俺とツツジの頑張り次第だな。
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