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―第百七話― 模倣

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 能力を使えるようになったとはいえ、このまま突っ込んでいってもまた負けてしまうだろう。
 ……さて、どうするか。

「おい、ツツジ。俺が能力を使えるようになったわけだが、どうする?」
「……どうするって?」
「降伏してくれたら、お前を殺すまではしない」
「……こないだは負けたくせに?」
「ああ」

 すると、ツツジは哄笑を上げた。

「お兄ちゃんが、私に勝てるわけないじゃん! 私の能力は、お兄ちゃんなんかよりも強いんだから!!」
「……へえ……」

 ……能力ねえ。

「『鑑定』」

 ぼそっと呟きながら、ツツジのステータスを確認する。
 ……!?
 ……なるほどな。

「ツツジ、やっぱりお前は俺に負けるぜ?」
「……なに言ってんの?」

「『移動』」

 ツツジの目の前に移動し、そのまま全力でボディーブローを入れる。
 ……が、それも当然のように避けられてしまった。

「……爆発」

 ……やっぱ、能力無効化してきたか。

「お兄ちゃんの能力なんて、そんなもんなのよ。人間の間だったら強いかもだけど、私の前では……!?」

「『爆ぜろ』!!」

 大量の魔力を絞り出し、無理やり爆発を起こす。
 ……はぁ。
 土埃で見えないが、恐らく避けられただろう。
 ……まあでも。

「ツツジ、お前の能力は分かってるんだ。やっぱり、お前は俺には勝てねえよ」
「……。『フレイム』」
「それは、一体誰のものまね・・・・なんだ?」

 手のひらに魔力を集中させ、火炎を薙ぎ払う。

「……うそ……」
「……なんだ、もうネタ切れなのか?」
「……『レッグ・ホールド・トラップ』!!」
「『壊れろ』!!」

 地面から現れた牙状のものを一瞬で破壊する。

「それは……、メイサ・・・のだったか?」
「…………」

 にやりと笑みを浮かべ、挑発的な口調でツツジに、

「おい。さっき、お前の能力の方が強いとか言ってたよな?」
「……その通りよ」

「だったら、今から俺の能力を真似してみろよ! お前の『模倣する能力』でな!!」

 そう、これがツツジの能力の正体だ。
 アサシンであるにもかかわらず、魔法を使いこなしたり、俺の能力を無効化したり。
 すべて、あいつの能力でコピーしたものにすぎない。
 まあ、元の使い手が誰かは知らんが。

「俺は今から、『爆発』を使う。お前も同じものを使ってこい。……ま、単純な力比べだ」
「……お兄ちゃん、あんまり舐めた事言ってると、本当に」
「本当に、なんだ? 自信があるんだったら、やるよなあ? それとも、負けるのが怖いのか?」
「……いいわよ! やってやろうじゃないの!!」

 よし、乗っかった!!

「ツツジのタイミングで撃ってきていいぜ? 合わせてやるよ」
「……お兄ちゃん、後悔しないでよ?」

 ツツジから、大量の魔力が溢れ出す。
 ……俺も集中しないとだな。
 魔力の流れを読み、タイミングを計る。
 ……三秒後だな。
 三、二……。
 同時に大きく息を吸い、魔力を放つ。

「「『爆発』!!」」
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