90 / 234
―第九十話― ルドベキア
しおりを挟む
「それじゃあ、また今度遊びに来ます」
「はい、いつでも来てください」
名残惜しくはあるが、俺たちにはしなくてはならないことができたからな。
早いところ、ここを出なくてはならない。
「ジャスミン、またね! 元気でね!」
「うん、アマリリスも!!」
…………。
「……ジャスミン」
「……うん、わかってる」
少し寂しげな顔を浮かべながら、ジャスミンはこちらに歩み寄ってきた。
「それでは、また今度。……『移動』」
◆
「…………えっ、ここどこ!?」
「どこって、そりゃあ王都に……あっ」
ジャスミンに伝えんの忘れてた。
◆
「――ツツジが王都に!?」
「そうらしい。……依頼も達成しなきゃだし、ちょうどいいだろう?」
「……でも、リアはいいの?」
「何がだ?」
「その、ツツジを捕まえるって……」
「俺の私情と仕事とは別だ。……いや、俺の感情としてもツツジを捕まえたい」
……そしてできれば……。
「とりあえず、城に向かうぞ。王様に直接話したほうが早いし、協力してもらえるかもしれないからな」
「……うん」
「……『移動』」
◆
城門前に行き、守衛に話を通して、国王のいる部屋まで案内してもらったのまではいい。
……いいのだが……。
「おっ、リアトリス。奇遇だな」
「なんでお前がいんの!?」
なぜか部屋には、王様とサントリナがいた。
「いや、王子の剣術指南、俺がやってるからさ」
初耳なんだが。
「それよりも、リアトリス殿とジャスミン殿は、どうしてここに?」
「あー、まあ、ちょっと昔の仲間が王都にいるらしいんで、顔だけでも見に行こうかな、と思ったんですけど……。探すのが面倒なので、国王陛下に手配すればいけないかなーと思ったんですよ」
「……リアトリス、本当にここにいるのか!?」
「……ああ」
濁して伝えたが、サントリナには伝わったようだな。
「……なるほど、人探しか。それなら、息子の能力が役立つかもしれん。おい、ルドベキアを呼んできてくれないか?」
「かしこまりました」
そういえば、俺が呼び出された時にも、俺の言ってることが嘘だなんだと騒いでたな。
うーん、全く能力の系統が分からん。
◆
「父上、どうかされたんですか?」
「おお、ルドベキア。すまんな、急に呼び出したりして」
「サントリナ先生と……。……リアトリスさんとジャスミンさんでしたっけ?」
「は、はい」
「お久しぶりです」
…………。
サントリナって、先生とか呼ばれてんのか。
「で、結局何の用なんですか? 訓練はさっき終わったじゃないですか」
「すまんが、人探しをしてくれんか? リアトリス殿の仲間が王都にいるらしくてな」
「……はあ」
…………。
(『鑑定』)
ぼそっと呟き、能力を発動させる。
…………。
くそっ、気付かれないように発動したせいで、上手く能力までは見えない。
ステータス自体はものすごく高いのが分かるが、それ以外はどうにも見えずらいな……。
「リアトリスさん、教えるにしても、明日になってからでいいですか? 能力の性質上、少し探すのに時間がかかりますから」
「あ、はい。分かりました」
「……それなら、今晩はここに泊っていかんか?」
「「えっ!?」」
「はい、いつでも来てください」
名残惜しくはあるが、俺たちにはしなくてはならないことができたからな。
早いところ、ここを出なくてはならない。
「ジャスミン、またね! 元気でね!」
「うん、アマリリスも!!」
…………。
「……ジャスミン」
「……うん、わかってる」
少し寂しげな顔を浮かべながら、ジャスミンはこちらに歩み寄ってきた。
「それでは、また今度。……『移動』」
◆
「…………えっ、ここどこ!?」
「どこって、そりゃあ王都に……あっ」
ジャスミンに伝えんの忘れてた。
◆
「――ツツジが王都に!?」
「そうらしい。……依頼も達成しなきゃだし、ちょうどいいだろう?」
「……でも、リアはいいの?」
「何がだ?」
「その、ツツジを捕まえるって……」
「俺の私情と仕事とは別だ。……いや、俺の感情としてもツツジを捕まえたい」
……そしてできれば……。
「とりあえず、城に向かうぞ。王様に直接話したほうが早いし、協力してもらえるかもしれないからな」
「……うん」
「……『移動』」
◆
城門前に行き、守衛に話を通して、国王のいる部屋まで案内してもらったのまではいい。
……いいのだが……。
「おっ、リアトリス。奇遇だな」
「なんでお前がいんの!?」
なぜか部屋には、王様とサントリナがいた。
「いや、王子の剣術指南、俺がやってるからさ」
初耳なんだが。
「それよりも、リアトリス殿とジャスミン殿は、どうしてここに?」
「あー、まあ、ちょっと昔の仲間が王都にいるらしいんで、顔だけでも見に行こうかな、と思ったんですけど……。探すのが面倒なので、国王陛下に手配すればいけないかなーと思ったんですよ」
「……リアトリス、本当にここにいるのか!?」
「……ああ」
濁して伝えたが、サントリナには伝わったようだな。
「……なるほど、人探しか。それなら、息子の能力が役立つかもしれん。おい、ルドベキアを呼んできてくれないか?」
「かしこまりました」
そういえば、俺が呼び出された時にも、俺の言ってることが嘘だなんだと騒いでたな。
うーん、全く能力の系統が分からん。
◆
「父上、どうかされたんですか?」
「おお、ルドベキア。すまんな、急に呼び出したりして」
「サントリナ先生と……。……リアトリスさんとジャスミンさんでしたっけ?」
「は、はい」
「お久しぶりです」
…………。
サントリナって、先生とか呼ばれてんのか。
「で、結局何の用なんですか? 訓練はさっき終わったじゃないですか」
「すまんが、人探しをしてくれんか? リアトリス殿の仲間が王都にいるらしくてな」
「……はあ」
…………。
(『鑑定』)
ぼそっと呟き、能力を発動させる。
…………。
くそっ、気付かれないように発動したせいで、上手く能力までは見えない。
ステータス自体はものすごく高いのが分かるが、それ以外はどうにも見えずらいな……。
「リアトリスさん、教えるにしても、明日になってからでいいですか? 能力の性質上、少し探すのに時間がかかりますから」
「あ、はい。分かりました」
「……それなら、今晩はここに泊っていかんか?」
「「えっ!?」」
0
お気に入りに追加
129
あなたにおすすめの小説
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
レイブン領の面倒姫
庭にハニワ
ファンタジー
兄の学院卒業にかこつけて、初めて王都に行きました。
初対面の人に、いきなり婚約破棄されました。
私はまだ婚約などしていないのですが、ね。
あなた方、いったい何なんですか?
初投稿です。
ヨロシクお願い致します~。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる