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―第五十九話― 鑑定
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「なあ、ジャスミン」
「むぐむぐ、どうかした? すみませーん、こっちに肉をもう一皿お願いしまーす!!」
修行を終えたお祝いということで、俺たちはいつもの居酒屋まで来ていた。
てか、こいつ食い過ぎだろ。
これで五皿目だぞ!?
「もしかしたらだけど、ステータス計れるかもしれない」
「ぶふっ!」
「ちょ、吹き出すなよ!!」
「だ、だって、ついこの間無理って結論がついたじゃない!?」
「いやさ、ルビーと昨日話してて思いついた方法があるんだよ」
「……というか、ルビーさんについて、私たち一回も話したことなかったわね」
あ、そういわれれば……。
もう、共通認識になっていたからだろうか。
「ジャスミンも、俺みたいにアドバイス貰ってるのか?」
「うん、そうよ」
「へー」
あいつ、そういう役回りをするのが好きなのか……?
「で、どうやってステータスを計るの?」
「ちょっと手を見せてくれ」
「え、なに? 占い的なので測るの?」
「違えよ! いいから、ほら早く!」
「はーい」
「お前、全然期待してないだろ?」
「うん」
こいつ、堂々と言いやがって……。
「『浄化』!!」
「……え?」
「はい、終わり」
「……え?」
「ステータス計れなかったの、ルビーの魔力かなんかが残ってたのが原因らしいぜ。だから、それを取っ払った」
「な、なるほど……?」
「とりあえず、これでステータスが見えるはずだから……。『鑑定』」
……………………。
「『鑑定』!!」
「なんで二回目!?」
「…………いや、流石にバグだよな」
「え、どういうこと?」
「『鑑定』、『鑑定』、『鑑定』、『鑑定』」
……………………?
………………。
よし、状況整理といこう。
俺は今、確かにジャスミンのステータスを計った。
つまり、今見えている数値はジャスミンのステータスだ。
ということは……。
「お前、ステータス全体が俺より二桁高いんだけど」
「!!?????!??!?」
「ちなみに俺、常時発動してる能力もステータスに反映されるから、人よりもかなり高い数値を持ってます」
「…………ふぁっ!?」
良かった、まだ生きてた。
「えっと、ごめん、理解が追い付かない」
「お前、俺より、ステータス、高い」
「そんな区切り区切り言われても……。え、ええっ!?」
そりゃその反応になるわ。
俺も理解が追い付かなかった。
ただまあ、原因は目星がついてる。
きっと、魔法の修行だろう。
こいつ、アホみたいな量の魔法を習得してたし、ステータスも跳ね上がるに決まってる。
それに、ジャスミンの場合は元々のステータスも群を抜いて高かったわけなんだし、このステータスになっても特段おかしいわけではない。
ただ問題が一つ。
「ジャスミン、一つ残念なお知らせがある」
「え、なに? なんか怖いんですけど」
「知能だけ一切上がってません。って、痛い!!」
テーブル飛び越えて殴ってきた!!
アクティブか!
「というか、知能のステータスだけ平均以下って、どういうことだよ!? 普通、魔法を覚えたら知能のステータスは上昇するもんだぞ!?」
「そんなこと、知るわけないでしょ?」
……いや、こいつあれだ。
野生の勘だけで魔法を習得したパターンだわ、絶対そうだわ。
てか、勘で魔法を習得って意味わからねえよ。
「もう、知能ステータスに関しては諦めろ。あと、胸の成長もあきら」
「もう一発拳を食らいたいの?」
「ひっ!! す、すみません」
いかんいかん、蛇足が身を滅ぼすところだった。
元々魔物級だった筋力が、今やオーガと同じレベルに上がっていることだろう。
流石の俺も、こんなところでは死にたくない。
「というか、能力は見えなかったの? 私、あれからずっと気になってるんだけど」
「あー、それは……。まあ、いい感じのタイミングで話すわ」
「いい感じのタイミングって何よ?」
「と、とりあえず、今はその時じゃないって感じだ。それで納得しとけ。な?」
「うーん、リアがそういうなら……」
今話したところで、ルビー以外に制御できないんじゃ意味がない。
というか、こいつに能力を教えたら、絶対に遊びだす。
しかも、その遊びで世界を滅ぼしかねないんだからな……。
まったく、神様もどうしてこんな奴に厄介な能力を持たせたのやら。
とりあえず、能力が暴走しないように目を光らせないとな。
「リア、そろそろ帰りましょう」
「お、おう。そうだな。今日は、ジャスミンのお祝いできたんだ。俺が奢ってやるよ!!」
「やった!! リア、ありがと」
「おうよ」
…………。
能力の暴走の前に、食欲の暴走を止めなければ。
随分軽くなった財布を見て、俺はそんなことを考えていた。
「むぐむぐ、どうかした? すみませーん、こっちに肉をもう一皿お願いしまーす!!」
修行を終えたお祝いということで、俺たちはいつもの居酒屋まで来ていた。
てか、こいつ食い過ぎだろ。
これで五皿目だぞ!?
「もしかしたらだけど、ステータス計れるかもしれない」
「ぶふっ!」
「ちょ、吹き出すなよ!!」
「だ、だって、ついこの間無理って結論がついたじゃない!?」
「いやさ、ルビーと昨日話してて思いついた方法があるんだよ」
「……というか、ルビーさんについて、私たち一回も話したことなかったわね」
あ、そういわれれば……。
もう、共通認識になっていたからだろうか。
「ジャスミンも、俺みたいにアドバイス貰ってるのか?」
「うん、そうよ」
「へー」
あいつ、そういう役回りをするのが好きなのか……?
「で、どうやってステータスを計るの?」
「ちょっと手を見せてくれ」
「え、なに? 占い的なので測るの?」
「違えよ! いいから、ほら早く!」
「はーい」
「お前、全然期待してないだろ?」
「うん」
こいつ、堂々と言いやがって……。
「『浄化』!!」
「……え?」
「はい、終わり」
「……え?」
「ステータス計れなかったの、ルビーの魔力かなんかが残ってたのが原因らしいぜ。だから、それを取っ払った」
「な、なるほど……?」
「とりあえず、これでステータスが見えるはずだから……。『鑑定』」
……………………。
「『鑑定』!!」
「なんで二回目!?」
「…………いや、流石にバグだよな」
「え、どういうこと?」
「『鑑定』、『鑑定』、『鑑定』、『鑑定』」
……………………?
………………。
よし、状況整理といこう。
俺は今、確かにジャスミンのステータスを計った。
つまり、今見えている数値はジャスミンのステータスだ。
ということは……。
「お前、ステータス全体が俺より二桁高いんだけど」
「!!?????!??!?」
「ちなみに俺、常時発動してる能力もステータスに反映されるから、人よりもかなり高い数値を持ってます」
「…………ふぁっ!?」
良かった、まだ生きてた。
「えっと、ごめん、理解が追い付かない」
「お前、俺より、ステータス、高い」
「そんな区切り区切り言われても……。え、ええっ!?」
そりゃその反応になるわ。
俺も理解が追い付かなかった。
ただまあ、原因は目星がついてる。
きっと、魔法の修行だろう。
こいつ、アホみたいな量の魔法を習得してたし、ステータスも跳ね上がるに決まってる。
それに、ジャスミンの場合は元々のステータスも群を抜いて高かったわけなんだし、このステータスになっても特段おかしいわけではない。
ただ問題が一つ。
「ジャスミン、一つ残念なお知らせがある」
「え、なに? なんか怖いんですけど」
「知能だけ一切上がってません。って、痛い!!」
テーブル飛び越えて殴ってきた!!
アクティブか!
「というか、知能のステータスだけ平均以下って、どういうことだよ!? 普通、魔法を覚えたら知能のステータスは上昇するもんだぞ!?」
「そんなこと、知るわけないでしょ?」
……いや、こいつあれだ。
野生の勘だけで魔法を習得したパターンだわ、絶対そうだわ。
てか、勘で魔法を習得って意味わからねえよ。
「もう、知能ステータスに関しては諦めろ。あと、胸の成長もあきら」
「もう一発拳を食らいたいの?」
「ひっ!! す、すみません」
いかんいかん、蛇足が身を滅ぼすところだった。
元々魔物級だった筋力が、今やオーガと同じレベルに上がっていることだろう。
流石の俺も、こんなところでは死にたくない。
「というか、能力は見えなかったの? 私、あれからずっと気になってるんだけど」
「あー、それは……。まあ、いい感じのタイミングで話すわ」
「いい感じのタイミングって何よ?」
「と、とりあえず、今はその時じゃないって感じだ。それで納得しとけ。な?」
「うーん、リアがそういうなら……」
今話したところで、ルビー以外に制御できないんじゃ意味がない。
というか、こいつに能力を教えたら、絶対に遊びだす。
しかも、その遊びで世界を滅ぼしかねないんだからな……。
まったく、神様もどうしてこんな奴に厄介な能力を持たせたのやら。
とりあえず、能力が暴走しないように目を光らせないとな。
「リア、そろそろ帰りましょう」
「お、おう。そうだな。今日は、ジャスミンのお祝いできたんだ。俺が奢ってやるよ!!」
「やった!! リア、ありがと」
「おうよ」
…………。
能力の暴走の前に、食欲の暴走を止めなければ。
随分軽くなった財布を見て、俺はそんなことを考えていた。
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