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―第三十七話― 絶好調
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「リ、ア……?」
「よっ、帰ってきたぞ」
「ほ、本物なの?」
「ああ、正真正銘リアトリスさんだぜ」
おっと。
こちらに駆け出して来たジャスミンが、俺の胸元に顔をうずめて泣き出した。
「し、心配したんだから!! ……もう、心配かけないでちょうだい……!!」
「……ごめんな」
えっと、なんとなく頭をなでてしまったけど、これって大丈夫だよね!?
あとからセクハラとか言われないよね!?
「おい、二人とも! いちゃついている暇なんてねえぞ! 魔物どもがどんどん近づいてくる!」
「べ、別にいちゃついてなんかねえよ! ……ちょっとごめんな、行ってくる」
「うん」
「あ、それと。俺が死んでる間に、いろいろと言ってくれたよな。後でたっぷりお礼してやるからな?」
「あ……」
おい、目をそらすな。
「よーし、それじゃ、ちょっとあいつらしばいてくるから、宴会の準備でもして待っててくれ! ……大丈夫、すぐに終わらせてくるから」
今まで抑えていた魔力のすべてを開放する。
「《移動》」
◆
「お前か、俺を殺したのは」
「!? 貴様、なぜここに!?」
「あ? 普通に生き返ったんだよ。想像力働かせろ、アホめ」
「くっ。まあ、良い。もう一度殺せばいいだけの話だからな! お前ら、死んでもこいつを殺せ!!」
おお、前回に比べて魔物の数が増えていたんだな。
ざっと数え、二百体。
まあ、今調子いいし、ささっと片づけられるかな。
「《切断》」
短剣を抜き、能力の発動と同時に大きく横薙ぎに振るう。
……うん、なんというか。
「調子いいってレベルじゃねえな」
何が起こったのか理解できていないのか、リゲルとやらが周りを見渡す。
そして、ようやく状況が飲み込めたのか、膝から崩れるように倒れた。
そりゃあそうだよな。
だって、今の一撃でリゲル以外の奴ら全員を切り倒したのだから。
「さて、何か言い残すことはあるかな?」
リゲルの喉元に短剣を突きつけ、魔力のプレッシャーをかける。
俺を一度殺したのだ、その落とし前はつけてもらわないとだよなあ。
「おま、え、何者なんだ……?」
「俺の名前はリアトリス。『最弱の冒険者』の二つ名持さ。じゃ、次生まれてくるときは悪さするんじゃねえぞ」
「ひぇっ! た、助け……」
「おいおい、俺を問答無用で殺しておいて、今度は命乞いか? 許すわけねえだろ」
あ、そうだ。
「宣教師のような恰好をした魔物が魔王軍の中にいないか?」
その問いに対し、リゲルは大きく目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。
「し、知らない……」
「嘘つけ。……正直に答えれば、見逃さんこともない」
「い、いや、ダメだ。無理なんだ。俺は、何も話せない」
ち、ちょっと待て、こいつ、なんかおかしい……。
「あ、ああ、お助け下さい。お願いです、わたくしは何も情報は……」
「!! 《防護》ッ!!」
小さい魔力の動きを感知し、咄嗟に守りに入る。
その瞬間、リゲルを中心に高威力の魔力弾が弾けた。
「……あ、あぶねえ」
あと一瞬遅れていれば、俺も塵と化していただろう。
街の被害は……衝撃波が飛んだ程度か。
良かった。
……でも。
……なんか、嫌な予感がしてきたなあ。
それでも、今は。
今だけは。
「祝勝会と行きますかね!!」
◆
「!!!!!!」
「ほら、無理するから……」
うげえ、調子に乗って飲み過ぎたなあ。
こりゃあ、明日は二日酔いだな……。
「でもさあ、今日はなんだか心地が良いんだよ。こうやって、みんなで酒を飲んで、騒いで、暴れて……」
「……でも、よかったの?」
「何がだ?」
「能力について、私が話しちゃったじゃない」
「ああ、それは別にいいんだよ。隠す必要もなくなったからな」
「え、それってどういうこと?」
「ま、明日までのお楽しみ、ということで」
「よっ、帰ってきたぞ」
「ほ、本物なの?」
「ああ、正真正銘リアトリスさんだぜ」
おっと。
こちらに駆け出して来たジャスミンが、俺の胸元に顔をうずめて泣き出した。
「し、心配したんだから!! ……もう、心配かけないでちょうだい……!!」
「……ごめんな」
えっと、なんとなく頭をなでてしまったけど、これって大丈夫だよね!?
あとからセクハラとか言われないよね!?
「おい、二人とも! いちゃついている暇なんてねえぞ! 魔物どもがどんどん近づいてくる!」
「べ、別にいちゃついてなんかねえよ! ……ちょっとごめんな、行ってくる」
「うん」
「あ、それと。俺が死んでる間に、いろいろと言ってくれたよな。後でたっぷりお礼してやるからな?」
「あ……」
おい、目をそらすな。
「よーし、それじゃ、ちょっとあいつらしばいてくるから、宴会の準備でもして待っててくれ! ……大丈夫、すぐに終わらせてくるから」
今まで抑えていた魔力のすべてを開放する。
「《移動》」
◆
「お前か、俺を殺したのは」
「!? 貴様、なぜここに!?」
「あ? 普通に生き返ったんだよ。想像力働かせろ、アホめ」
「くっ。まあ、良い。もう一度殺せばいいだけの話だからな! お前ら、死んでもこいつを殺せ!!」
おお、前回に比べて魔物の数が増えていたんだな。
ざっと数え、二百体。
まあ、今調子いいし、ささっと片づけられるかな。
「《切断》」
短剣を抜き、能力の発動と同時に大きく横薙ぎに振るう。
……うん、なんというか。
「調子いいってレベルじゃねえな」
何が起こったのか理解できていないのか、リゲルとやらが周りを見渡す。
そして、ようやく状況が飲み込めたのか、膝から崩れるように倒れた。
そりゃあそうだよな。
だって、今の一撃でリゲル以外の奴ら全員を切り倒したのだから。
「さて、何か言い残すことはあるかな?」
リゲルの喉元に短剣を突きつけ、魔力のプレッシャーをかける。
俺を一度殺したのだ、その落とし前はつけてもらわないとだよなあ。
「おま、え、何者なんだ……?」
「俺の名前はリアトリス。『最弱の冒険者』の二つ名持さ。じゃ、次生まれてくるときは悪さするんじゃねえぞ」
「ひぇっ! た、助け……」
「おいおい、俺を問答無用で殺しておいて、今度は命乞いか? 許すわけねえだろ」
あ、そうだ。
「宣教師のような恰好をした魔物が魔王軍の中にいないか?」
その問いに対し、リゲルは大きく目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。
「し、知らない……」
「嘘つけ。……正直に答えれば、見逃さんこともない」
「い、いや、ダメだ。無理なんだ。俺は、何も話せない」
ち、ちょっと待て、こいつ、なんかおかしい……。
「あ、ああ、お助け下さい。お願いです、わたくしは何も情報は……」
「!! 《防護》ッ!!」
小さい魔力の動きを感知し、咄嗟に守りに入る。
その瞬間、リゲルを中心に高威力の魔力弾が弾けた。
「……あ、あぶねえ」
あと一瞬遅れていれば、俺も塵と化していただろう。
街の被害は……衝撃波が飛んだ程度か。
良かった。
……でも。
……なんか、嫌な予感がしてきたなあ。
それでも、今は。
今だけは。
「祝勝会と行きますかね!!」
◆
「!!!!!!」
「ほら、無理するから……」
うげえ、調子に乗って飲み過ぎたなあ。
こりゃあ、明日は二日酔いだな……。
「でもさあ、今日はなんだか心地が良いんだよ。こうやって、みんなで酒を飲んで、騒いで、暴れて……」
「……でも、よかったの?」
「何がだ?」
「能力について、私が話しちゃったじゃない」
「ああ、それは別にいいんだよ。隠す必要もなくなったからな」
「え、それってどういうこと?」
「ま、明日までのお楽しみ、ということで」
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