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第8話 ついに作画を"仕事として"意識した日! はじめての彼女――その恋の予感に震える!

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そして、目黒第一高校での最後の思い出――だ。

それは、目黒区上目黒在住の商社マンの長女――市川真紀子との関係だった。




初めての出会いは、二年の文化祭でのことだった。

なんとなく、眼と眼とが合い、気が付いたら、いつの間にか、お互いの距離は、ゼロに近いものになっていた。




好きになった相手に対して、こんなにも自分の肌を魅せることができるんだな。
そんな驚きすらあった。



元々、彼女は、校内コスプレ部での女子部員では、目立つ存在であり、光るアイコンでもあった。

いわゆるキャラが立っていたのだ。


母親は、横須賀市出身の篠原 奈津美――。
地元の短大のアパレル科卒業の下着専門モデルだった。


道理で、その母親の血を受け継いだのだから、相貌も体格もいいわけだった。


夫の市川 真樹雄とのなれ初めは、横浜での女性下着メーカーでの発表会だった。






あっという間に挙式へとなだれ込み、真樹雄が親から受け継いだ敷地に新居を構えて、新婚生活を始めた。





10代女子の性格を知る証拠には、その両親との関係を見ること――女性心理学の経験則があるが、その点でいえば、真紀子の性格形成は、十分、合格点だろう。


幼女期から、確かに両親の愛情をたっぷり受けて、育ち始めたらしいということは、見て取れる。



小学生になっても、それは同じだった。
こういう肉親との関係は、なかなか金を出しても買えるものじゃない。



特に思春期の人格形成においては、母親との関係は、重要だった。



真紀子は、このてんも余裕でクリアしていた。



父親との関係性も、問題無し。全く、うらやましいくらいだ。
グアム旅行中との肉親との距離感も、恐ろしいほどに近い。


更に、親戚付き合いも良好のようだった。

どの点を探しても、彼女の周囲には、幸福があふれていたと言っていい。




当然、進学先の目黒中央中学での友達付き合いも、すべてがスムーズだった。

これほどの女と付き合うのだ。

これは、気合を入れ直さなくてはならないと思った。


こんなキモヲタ風味丸出しの自画像イラストなんか、描いている場合じゃない。

よく晴れた日にJR南武線沿いの幹線道路を軽バイクで走っている姿なんか、どうでもいいのだ。



早速、新宿西口の家電量販店を回って、ワコムの液晶タブを買って、机に据えた。


やはり、恋愛を意識した漢が、描くなら、こんなモチーフだった。

最高のライバル関係を主軸に置いて、世界を見下ろすのだ。


俺らは、世界を獲れるかい?


「さあな……」
 ヤツなら、そう応えるかもしれない。


とにかく、何かを始めなくてはならない。
10代半ばともなれば、漢は、そう考えるものだ。


むろん、「一生の伴侶」も探す必要もある。
志を持った漢の側には、そんな美人妻が必要だ。


「ベイビィ、俺は、天下を獲れると思うかい?」
 また、そんな質問をしてしまうかもしれない。


 彼女は、どんな返答を返してくれるか――楽しみではある。


 そうして、作画の勉強しつつ、真紀子の肉体美を確認したいと思った。

関係が、うまく進展したら…もしかしたら、彼女こそ、「一生の伴侶」なのかもしれないからだ。


最初のビキニ写真は、大田区の真紀子の親戚マンション前の廊下だった。

最初は、彼女は、嫌がっていたが、母親譲りの自己顕示欲は強い。

最後は、満更でもない――表情でフレームに収まっていた。




一度、タブーが破れられると、そこからは、一気に加速がついた。

人目にはつかいな――目黒第一校内の裏手スペースでも、平気で脱げるようになった。


バイクで二人乗りしていった快晴の横浜港近くの大黒埠頭でも、段々、ためらいがなくなってきた。

もっとも、今から振り返れば、ここにこそ、最後のシーンへの伏線が敷かれていたのが……。


⇒ 新世代劇画作家出世ストーリー 第2巻 劇画は、事実より奇なりと――言えるのか? へとつづく!!!
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