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噂2
しおりを挟むお約束の展開だが。
第一王子の婚約したい相手というのが、ユーリだった。
どこかの夜会でユーリを見かけたらしく、焦げ茶の髪に黒い瞳が珍しく、さらに可愛らしい顔立ちだったのもあり、見染めたそうだ。
しかし周りには我が我がと女性達にかこまれ、声がかけられなかったそうで。
「……どっかで聞いたことある話ですね?」
ジト、とユーザがこちらを見る。
ま、よくある話だろうとそこには俺はスルーした。
とはいえここで大問題だ。
俺たちはまだ正式な婚約をしていないため、ユーリを王子が婚約者とする事ができてしまうのだ。
まだエルトー伯爵が自宅に戻ってないという事で、俺からの手紙も届いてない。つまり、俺と王子の婚約したいという連絡が、同じ日になってしまうという。
「普通に考えたら不利ですよねぇ」
空気も読まず、ユーザは独り言を言う。グサリと来ることも平気で言うのがこの男だ。
ましてや一国の王子だ。これは本気で参る……
ユーリは俺を好いていてくれてはいるが、エルトー伯爵がどう思うのか……
机に頬杖をつくと、髪をグシャリとする。
ユーリ、ユーリはどうするのか。俺は思い立ち、彼女の元へ急ぐ事にした。
ユーザは、ですよねーとばかりにひらひらと俺に手を振ってくる。
†††
エルトー邸についた。
御者には待つように伝え、ユーリを訪ねる。
ユーリは俺が来たのを知ると、嬉しそうに迎えに出てくれた。
「アリオス様、来てくださったんですね」
俺はユーリの顔を見ると、何となくホッとした。
「では、中にお入りください」
ユーリは俺を慣れたように迎え入れてくれる。サロンに通してくれた。
「噂のことですよね?」
サロンのシンプルなソファに向き合って座り、率直に聞いてきた。
「ああ。王子がユーリを所望しているのは本当か?」
「……ええ。ちょうどアリオス様と同じ日に手紙が届いて……侍女たちは王家からの誘いで舞い上がってしまって」
困ったように頬に手を当てて悩ましい顔をする。
「でも私は……」
ユーリは俺の目を見つめると、テーブルの上の俺の手を握りしめてくる。
「ありがとう、ユーリ。安心した。正直、分が悪いとは思っている」
地位的に。
「お父様が帰ってきたら、私からもお話してみます」
握りしめられた手は小さく、しっとりと温かい。指をそっと撫でると、ユーリは下を向いた。視線はドギマギと左右に揺れ、緊張しているように見える。
「ユーリ」
「あの、私の部屋に街で買ってきた本があるんですけど」
「あぁ、見せてくれ」
急に空気が変わる。俺が望んでいる事がわかるのだろう。拒否せず、うまく話を合わせてくれる。
再び侍女たちを払い、ユーリの部屋に入った。
ベッドに目をやると、前に買った大きな犬のぬいぐるみが枕元にある。
この前は余裕がなくて気づかなかったが……
俺はユーリの瞳を真っ直ぐ見つめる。
ユーリも俺の瞳を見つめ返してくる。
ユーリのベッドに俺は腰を下ろすと、手を差し出してユーリに膝に座れと促す。
横抱きにすると、ユーリが首の後ろに腕を回してきたので、そのしっとりした唇にそっと口付けた。
ちゅ、と何度か下唇をはみ、粘膜のあたりを舌でぺろりと舐め上げる。
舌を深く入れ撫でるようにゆっくりとからめ、片手はやわやわとふくらみを揉みあげる。
「あふ……ん……」
と、艶っぽい声でユーリが鳴く。
深いキスと触れられているのがたまらなくなるのだろう。
俺はスカートをめくり上げて腹部も撫で回す。そうっと触れたり、掴むように触れたり、思うがままに。
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