13 / 32
婚約話2
しおりを挟むあーイライラする。
あの野心。女とはいえ、気に入らない。俺の苦手とする自己主張の強すぎる女。権力や地位の好きな女。
俺はユーザに一通り話をした。ユーザは顎に手を当てて考える仕草だ。
「まぁ、彼女の見る目は確かだと思いますが……」
人間性が違いすぎますね、と続ける。
「ユーリに会いたい」
えぇ!? とユーザは唐突に言い出したアリオスを見る。
「そんな突然、ユーリ様だって邸にいらっしゃるかどうか……それに仕事がぁ」
今にも泣き出しそうに俺を引き止めようとする。
「ちょっと散歩に行ってくる」
俺は言うと、執務室を出て馬車を用意した。準備ができたらすぐに出立する。
諦めているのかユーザは出てこない。すまない、と、心の中で謝った。
エルトー邸に着くと、ユーリは驚きすぐに出てきた。何でと言わんばかりに目を丸くしている。俺は何も言わずにグイと抱きしめた。
「アリオス様、急にどうしたんです?」
嫌がりもせず、抱きしめられたままで聞いてくる。
「ちょっと、嫌なことがあった」
「そうなんですか? 私何か出来ることありま…ッ」
ユーリは言いかけたが、俺の唇がそれを遮る。
「ん……ンッ」
突然キスされて、ユーリはそっと目を閉じた。いつもと変わらないユーリとのキス。
「あ、あの、とりあえず私の部屋に……」
唇を離すと、俯いて恥ずかしがっている。
「ごめん」
俺は邸に入り、ユーリの部屋に上がらせてもらう。
侍女はとりあえず払ってくれた。
「あの、何かあったんですか?」
「……ああ、婚約話がきてな」
「えっ!」
ハッとした顔でユーリは固まってしまう。
「断っているんだが、なかなか理解しない女で」
忌々しげに俺は吐き捨てる。
俺といてユーリが幸せになれないと?ふざけるな。
ユーリは少し困った顔で、俺の服の裾を掴む。まるで小動物のような可愛らしさだ。
「でも俺は、お前と婚約したい」
ユーリを見据えると、真剣に自分の気持ちを伝える。
「はい、私もです」
ユーリはニコッとあっさりと答える。
俺はホッとして、ユーリの頬を手で覆う。綺麗な黒曜石のような瞳。
ユーリの前髪をどけておでこにキスをする。
うっすら開いた唇を見つめると、艶やかで吸い付きたくなる。
たまらず今度はその唇にキスをした。
「ん……」
上唇を喰み、ペロリとなめ、チュッと口付ける。されるがままのユーリの唇を甘噛み、吸う。
次第に舌を割り入れていく。
するとユーリの顔は徐々に桜色に染まっていく。
ぬるりとした感触を、ユーリのなかで感じる。暖かく、柔らかい。
俺の下腹部が疼き始める。
一通りキスをすると、ユーリを横抱きにすると、俺の首に腕を回して体を預ける。
そのまま彼女をベッドに連れて行き、壊れてしまわないようにそっとおろした。
5
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる